◆ドル円、米 6 月雇用統計、ISM 製造業・非製造業景気指数に注目
◆ドル円、本邦通貨当局による円買い介入の可能性に警戒
◆ユーロドル、独 5 月鉱工業生産に注意
ドル円 142.00-147.00 円
ユーロドル 1.0700-1.1100 ドル
ドル円は、6 月の雇用統計や ISM 製造業・非製造業景気指数などを見極めて、7 月 25-26 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げの可能性を探ることになる。
6 月の雇用統計は、失業率が 3.6%と予想されており、5 月の 3.7%からは改善、非農業部門雇用者数は前月比 21.3 万人の増加と予想されており、5 月の 33.9 万人からは増加幅の減少が見込まれている。更には、雇用統計での平均時給や、6 月の ISM 製造業・非製造業景気指数での雇用や物価指数などに注目したい。これら数字を受けて、7 月 FOMC での追加利上げのほか、2 会合連続でのタカ派的スキップ(見送り)、あるいはポーズ(休止)の可能性を探ることになりそうだ。
また、日本サイドでは 6 月調査の日銀短観に注目。大企業・製造業の業況判断指数(DI)が低調な数字のままであれば、日本銀行による大規模な金融緩和策の長期化に繋がる。円売り要因となるだろう。
なお、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性にも引き続き警戒しておきたい。昨年秋のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーを抑制するために「ボリンジャーバンド+2σ付近」、そして IMM 通貨先物の非商業(投機)部門の円売り持ちポジションが 10 万枚を超えている時期に断行されている。また、介入の時間帯は、9 月 22 日が 17 時半頃の東京勢が退出した時間帯の 145 円台、10 月 21 日は 23 時半頃の欧州勢が退出した時間帯の 151 円台、10 月 24 日は 8時半頃の東京勢が本格参入する前の 149 円台だった。
ユーロドルは、ユーロ圏のリセッション入りにも関わらず、7 月 27 日の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利上げ観測から、底堅い展開が予想される。ただ、ユーロ圏の信用逼迫がスタグフレーションへの警戒感を高めており、上値は限定的となっている。第 2 四半期も低迷が懸念されているドイツの 5 月鉱工業生産には注意したい。
ポルトガルのシントラで開催された ECB フォーラムで、パウエル FRB 議長が「大半の当局者は年内にあと 2 回の利上げを見込んでいる。7 月、9 月の連続利上げの可能性を選択肢から排除しない」と述べた一方、植田日銀総裁は「基調的インフレ率が目標の 2%を下回っているため、金融緩和を続けている」と発言。ドル円は、週初の 142.94 円から週末にかけて 144.90 円まで上昇した。ユーロドルは、ラガルド ECB 総裁が 7 月理事会での追加利上げを示唆したことから 1.0977 ドルまで上昇したものの、米 1-3 月期 GDP 確定値の上方修正や好調な米雇用指標を受けて、1.0860ドルまで反落した。ユーロ円は日欧の金融政策の方向性の違いを背景に、155.75 円から 158.00円まで上昇している。(了)
◆豪ドル、5 月 CPI の大幅低下で上値は限られそう
◆RBA 理事会、据え置き予想も声明文などに注目
◆ZAR、中長期的には不安要素多い
豪ドル円 92.00-98.00 円
南ア・ランド円 7.60-7.90 円
豪ドルは上値が限られそうだ。今週発表された豪州の 5 月消費者物価指数(CPI)が市場予想の6.1%や 4 月の 6.8%を大幅に下回る 5.6%になった。この結果を受けて豪債利回りが低下したほか、7 月の豪準備銀行(RBA)の利上げ予想が大幅に後退した。インフレ警戒感が根強い米国との金融制政策の方向性の違いが、豪ドル/ドルの重しになりそうだ。また、日銀は低金利政策を維持しているが、6 月の日銀金融政策決定会合における主な意見では「(コア CPI は)年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い」と示された。今後のイールドカーブコントロール(YCC)の上限引き上げの思惑が高まれば、豪ドル円は上値が抑えられる可能性がある。
この状況下、7 月 4 日に RBA 理事会が行われる。市場予想通り金利が据置かれた場合でも、声明文には注意しておきたい。先月の理事会では、利上げと据え置きの主張が拮抗するなかで利上げに踏み切った。今回はメンバーの投票配分などにも注目が集まりそうだ。また、前日 7 月 3 日には 6 月のメルボルン・インスティテュート・インフレ率が発表されることにも注目。2 大都市のひとつであるメルボルンのインフレ進行具合が、5 月同様に低下するのか、または再び上昇するかにより、翌日の理事会に影響を与えそうだ。なお、7 月 3 日には 5 月住宅建設許可件数、7 月6 日には貿易収支が発表される。その他では、中国の株式市場や人民元(CNH)の動向も豪ドルの動きを左右するだろう。今週は CNH 安に対して中国人民銀行が元買い介入を行ったとされ、一時元安に歯止めがかかった。中国株も反発する場面があったが、再び元は年初来安値を更新しただけでなく、景気低迷のなかで市場が期待するような経済対策が表明されていない。中国経済の動向は、リスクの動きに敏感な豪ドル相場に影響を与えている。
南アフリカ・ランド(ZAR)はもみ合いとなりそうだ。電力の計画停電(負荷制限)の水準がやや弱まっていること、株式市場が堅調な動きを見せていることが ZAR の支えになっている。もっとも、国内の金融機関が今年の成長率を 0.1%上昇に下方修正するなど、南ア経済に対しての不安要素は全くぬぐえていない。また、ロシアとの深い関係を継続していることによる制裁の可能性も引き続き警戒しなければならず、中長期的には ZAR にとってはネガティブな予想が多い。来週は南アからは主だった経済指標の発表が無いが、主要国の株式市場の動向などが ZAR 相場を動かすことになりそうだ。
豪ドルは上値が抑えられた。5 月の豪 CPI が大幅に低下したこともあり、対円・対ドルともに軟調な動きとなった。中国による元買い介入で一時豪ドルが支えられる場面もあったが、再び元が対ドルで年初来安値を更新したことも豪ドルの重しになった。もっとも、対円ではドル円の上昇もあり値幅は限られた。ZAR はもみ合いとなった。ドル円が昨年 11 月以来となる水準まで上昇したことが支えとなり、ZAR 円も強含む場面もあったが値動きは限られた。(了)
◆介入警戒も円安の流れは変わらず、対円は堅調地合いを維持
◆ポンド、景気懸念で上値は重くなりそう
◆加ドル、6 月雇用データ次第で利上げ期待に変化
ポンド円 180.00-186.00 円
加ドル円 107.00-111.00 円
来週も日本政府の円買い介入を警戒しつつ、円安の流れが続くと想定され、ポンド、加ドル共に対円では堅調地合いを維持しそうだ。ポンドは英景気の先行きへの懸念、加ドルはカナダ中銀(BOC)の 7 月会合での利上げ思惑後退が材料視され、対ドルでは上値の重い動きが見込まれる。
イングランド銀行(英中銀、BOE)が 6 月会合で予想以上の 0.50%利上げに踏み切り、市場での利上げ見通しも上方修正されているが、ポンドは英景気の鈍化懸念で伸び悩んでいる。高インフレと景気への懸念は英国だけの問題ではないが、先進国のなかで英国はインフレが一番高止まりしており経済成長も鈍い。足もとでも労働市場とインフレ指標の双方が持続的インフレの明確な兆候を示している。BOE はリセッションの引き金を引きたくないとしつつも、積極的な引き締めを継続せざるを得なくなっている。短期金利市場では 12 月に政策金利が 6.25%まで引き上げられると織り込まれ、利下げに転じるのは来年 9 月ごろと見込まれているが、ベイリーBOE 総裁は「ピーク金利が市場予想以上の水準・期間になる可能性がある」ことを示唆している。インフレの高止まりが続いており、BOE がリセッションを招くことなくインフレを退治するというソフトランディングの夢はますます遠ざかりつつある。生活費が高騰し、個人消費が抑制され、景気への逆風が強いなか、高金利政策が長引けば金融安定に衝撃が発生するリスクは飛躍的に高まり、より厳しいリセッションに突入する可能性がある。ポンドは BOE の引き締めが支えとなるも、年末までの利上げ継続が織り込み済みの現状では景気関連のデータにより敏感となりそう。景気鈍化懸念の高まりを背景に売り圧力が強まる可能性がある。
加ドルは、やや上値の重い動きが見込まれる。カナダの 5 月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.4%と予想と一致するも、前月の+4.4%から伸びが鈍化した。伸び率は約 2 年ぶりの低い水準となり、BOC が重視するコア CPI も伸びが大幅に減少した。市場では 7 月会合での追加利上げ確率は 6 割超から 3 割超まで低下している。
来週は、6 月の雇用データに注目。BOC が予想外の利上げを実施した後に発表された 5 月の新規雇用者数は 1.73 万人減と 9 カ月ぶりに減少。失業率も 5.2%と予想以上に上昇して、こちらも 9カ月ぶりに悪化した。6 月も低調な結果となれば、失業率の上昇がインフレ圧力の緩和につながるとの見方が高まり、利上げ期待は一段と弱まりそうだ。家計は回復力を示しているが、貯蓄率がコロナ禍前の水準に戻りつつある。債務返済コストの上昇による消費の低迷も懸念されている。
今週のポンドは BOE の積極的な引き締めによる経済への悪影響への懸念が重しとなり、ポンドドルは 1.26 ドル割れに押し戻され、ポンド円は 183 円後半で上昇が一服した。加ドルは予想比下振れの加 5 月 CPI の結果が重しとなり、ドル/加ドルは 1.32 加ドル後半まで加ドル安が進み、加ドル円は 110 円手前で失速した。(了)
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