◆ドル円、FOMC と日銀金融政策決定会合に注目
◆米 5 月 CPI や 5 月貿易赤字にも注意
◆ユーロドル、ECB 理事会で追加利上げへの言及がポイント
ドル円 137.00-141.00 円
ユーロドル 1.0500-1.0900 ドル
ドル円は、13-14 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と 15-16 日の日銀金融政策決定会合での金融政策を見極める展開となる。米財務省が 6 月末までに約 3500 億ドルの米財務省短期証券を発行すると発表しており、米国債利回りの上昇はドル買い要因となるが、新発債の大量発行を受けた既発債の流動性減少はドル売り要因となるため注意しておきたい。
FOMC では、FF 金利の誘導目標 5.00-25%の据え置きが予想されている。注目ポイントは、「経済・物価見通し(SEP)」やドットプロットでの年末までの見通し、声明文や会見で 7 月 FOMC での0.25%利上げへの言及があるかどうか。2 日発表の 5 月雇用統計と 13 日に発表される 5 月消費者物価指数(CPI)が判断材料となるが、雇用統計では非農業部門雇用者数が 33.9 万人の増加だったものの、失業率は 3.7%へ上昇。平均時給も伸び率が低下した。金利先物から算出される「フェドウオッチ」では、「6 月 FOMC で据え置き、7 月に 0.25%利上げ(5.25-50%)した後、9 月は据え置き。11 月は 0.25%の利下げ(5.00-25%)で 12 月は据え置き」のシナリオが示されている。
また、日銀金融政策決定会合では、現状の大規模な金融緩和策の維持が予想されているが、一部で憶測が台頭している「7 月会合でのイールドカーブコントロール(YCC)の上限拡大への言及」があるかどうかに注意したい。日銀が注目している 4 月のコアコア CPI は、前年比 4.1%となり、41 年 9 カ月ぶりの上昇幅を記録した。ただ、一方で 4 月の毎月勤労統計では、実質賃金は前年比3.0%低下となり、13 カ月連続で減少している。更に、実需の円売り圧力を計る上でも、5 月の日本の貿易赤字にも注目しておきたい。
ユーロドルは、ユーロ圏のリセッション(景気後退)入りを受けて、欧州中央銀行(ECB)の利上げペースが鈍化するとの思惑から上値が重い展開が予想される。4 月のユーロ圏消費者インフレ期待は、今後 3 年間で 2.5%まで低下し 2%のインフレ率目標に近づいており、利上げを停止する可能性を高めている。ただ、ラガルド ECB 総裁は「利上げサイクルを継続する必要」との見解を示しており、6 月 ECB 理事会では 0.25%の利上げはほぼ既定路線だろう。7 月理事会での利上げへの言及が注目ポイントとなりそうだ。
ドル円は、米国の債務上限が 2025 年 1 月まで適用停止となったことで週明けに 140.45 円まで上昇したものの、新規失業保険申請件数が 26.1 万件まで増加していたことなどから 138.76 円まで反落した。ユーロドルは 1.0667 ドルから 1.0787 ドルまで買い戻されている。ユーロ圏 1-3 月GDP 確定値が-0.1%へ下方修正され 2 四半期連続のマイナス成長。りリセッション入りが確認された。ユーロ円は 150.20 円から 148.64 円まで下落した後、150.04 円まで反発した。(了)
◆豪ドル、予想外の利上げで対円では底堅い
◆豪ドル、利上げの負の側面にも注意
◆ZAR、弱いファンダメンタルズと制裁リスクが重し
豪ドル円 92.00-96.00 円
南ア・ランド円 7.00-7.50 円
豪ドルは対円では底堅いが、対ドルは振幅が激しいだろう。今週、豪準備銀行(RBA)理事会では、政策金利を据え置きとの予想に反し 4.10%へ引き上げた。豪日の金融政策スタンスの違いで、対円は堅調地合いが予想される。対ドルでは米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれることもあり、その結果やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見などで激しく上下することになりそうだ。RBA は 4 月に政策金利を一時据え置いたが、5・6 月に連続で政策金利を引き上げた。豪州の月次の消費者物価指数(CPI)の発表が開始されたのは昨年 10 月からだが、昨年 12 月の 8.4%をピークに今年 3 月には 6.3%まで低下した。しかし、4 月には再び 6.8%まで上昇するなど、インフレ圧力が後退していない。このまま、インフレ高進となれば、RBA の声明文でも示されたように、金融政策の更なる引き締めを行う可能性が高く、豪ドルの支えとなりそうだ。
もっとも、警戒が必要なのは高金利の負の側面。先月末に発表された 4 月の住宅建設許可件数は 11 年ぶりの低水準を記録した。兼ねてから豪議会は RBA の利上げによる経済の悪影響を指摘しており、利上げに対して政治的な圧力が増す可能性には要注意。また、中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、景気判断の分岐点とされる 50 を 4 カ月ぶりに下回るなど、中国経済の足踏みが続くような場合も豪ドルの重しになる。
来週の経済指標では、15 日発表予定の 5 月雇用統計に注目。4 月は、それまで 2 カ月間 3.5%に抑えられていた失業率が 3.7%まで上昇。新規雇用者数も減少し、常勤雇用者もマイナスに転じるなど非常に弱い指標結果だった。RBA は雇用情勢の悪化をある程度は織り込んでいるようだが、予想よりも指標が弱い場合には利上げ継続が難しくなる可能性もあるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が重くなりそうだ。国際通貨基金(IMF)の年次協議では、南アについて「経済的および社会的困難が増大していると警告する」報告書が発表され、「成長の鈍化、企業や消費者の信頼感の低下、政治リスクの高まりが政府財政に影響を与えている」ことにも言及した。ファンダメンタルズが悪化する中、南ア政府がプーチン露大統領に外交特権を与えようとしていることに対し、いつ米国や諸外国から制裁を受けるかが不透明。リスク回避で 5月に南ア債が大幅に売られたように、資金流出傾向が続いている。ZAR は引き続き頭の重い動きだろう。経済指標では、14 日の 4 月小売売上高に注目。3 月の弱い結果には、ZAR がこれまで以上に売りで反応したことから、注意したい。
豪ドルは堅調な動きとなった。RBA が利上げを行ったことが支えとなり、対円では 93 円半ばまで上昇し年初来高値を更新した。対ドルでも 0.67 ドル台を回復。戻りを試す動きだった。ZAR は1 日に対ドルで過去最安値を更新した以降は、調整の買い戻しが優勢となっている。対ドルでは 5月中旬以来となる 19 ランドを割り込んだ。(了)
◆米・欧・日の金融政策会合に注目
◆ポンド、政策決定会合控え、雇用・賃金データに注目
◆加ドル、利上げと OPEC プラスの減産延長合意が支え
ポンド円 171.50-176.50 円
加ドル円 102.50-106.50 円
ポンドは 22 日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表を控え、来週は米・欧・日の金融政策会合を見極める相場展開となる。最近は主要中銀の金融政策見通しをめぐり不透明感が増しており、市場では金融政策の先行きに対する当局の見解に注目が集まっている。
ポンドは、BOE の利上げ継続観測と英景気後退懸念に挟まれ、方向感に乏しい動きが続いている。BOE は 5 月会合で景気とインフレ見通しを引き上げたが、先行きの政策に対して明確な手がかりは示さなかった。インフレの高止まりが長引くとの見方が強まっており、市場では 6 月会合での 0.25%利上げを完全に織り込むなか、その後は「年内に利下げを開始する」との見方から「年末までに利上げを継続する」との見方に転換している。引き締め継続の思惑がポンドの支えとなっているが、市場の利上げ期待に行き過ぎ感も出て来ているなか、利上げの経済への悪影響が鮮明になってくるようであれば、ポンドは再び売りに押される可能性もある。来週は 5 月雇用・賃金データや 4 月 GDP にも注目。最近の雇用・賃金データでは失業率が低水準にとどまり、賃金上昇率が高止まり。労働需給のひっ迫が引き続き物価上昇圧力を強めていることを示す内容となっている。また、1-3 月期の GDP はマイナス成長こそ回避したが、3 月はマイナス成長に落ち込み、4 月もさえない結果となれば英景気回復の弱さが意識され、ポンドに売り圧力が強まるだろう。
加ドルは、国内で主な経済指標や注目のイベントはなく、金融政策決定を受けたドルや円の動きに左右されそうだが、カナダ中銀(BOC)による予想外の利上げと石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPEC プラス」の協調減産の延長を背景とした原油の底堅い動きが下支えとなりそうだ。
BOC は今週 7 日に予想外の 0.25%利上げを決定した。利上げは 3 会合ぶりで政策金利を 22 年ぶりの高水準となる 4.75%に引き上げた。声明では「インフレの高止まりに懸念が強まった」とし、市場では 7 月か 9 月会合での追加利上げの思惑が強まっている。また、「OPEC プラス」は 4 日に閣僚級会合を開き、現在の協調減産の枠組みを 2024 年末まで延長することで合意した。サウジアラビアが市場安定化のため「7 月に日量 100 万バレルの原油供給を追加削減する」と表明した。「OPEC プラス」が生産調整に協力して取り組む姿勢を示すことが原油相場の下支えとなる。
来週に米 FOMC を控え相場全体の方向感が鈍く、ポンドドルは 1.24 ドルを挟んで小幅の動きが続いたが、週末にかけては 1.25 ドル台半ばまで上昇した。ポンド円は 2016 年 2 月以来の 175 円の大台復帰がお預けとなるも、172 円後半で下げ渋り、再び高値圏まで買い戻されている。BOE は量的緩和(QE)の一環として買い入れた 200 億ポンドの社債をほぼ売却し、売却プログラムの完了を発表した。加ドルは BOC の予想外の利上げも支えに底堅い動き。ドル/加ドルは 1.33 加ドル前半まで加ドル高となり、加ドル円は一時昨年 11 月以来の 105 円台復帰直前まで迫った。(了)
フォレックス・ドットコムでは、ノックアウトオプション、FX、株価指数CFDを取引いただけます。
口座開設は以下のステップで行えます。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。