14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。終値は134.22円と前営業日NY終値(133.21円)と比べて1円01銭程度のドル高水準だった。米国株相場が上昇して始まるとリスクオフの巻き戻しによる円売り・ドル買いが先行。米2年債利回りが41bp超上昇するなど、米金利上昇に伴う円売り・ドル買いも出て23時前に一時134.90円と日通し高値を更新した。
前日にかけて急落した銀行株が買い直されたことで、NYダウは一時480ドル超上昇した。2月米消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.0%上昇と市場予想通り8カ月連続で鈍化したことも投資家心理の改善につながり株買いを誘った面もあった。
ただ、NYダウが下げに転じるとドル円の上値も重くなり、4時過ぎには一時133.99円付近まで下押しする場面があった。米銀の相次ぐ破綻による金融システムへの不安は根強いようだ。
ユーロドルは小幅ながら4日続伸。終値は1.0733ドルと前営業日NY終値(1.0731ドル)と比べて0.0002ドル程度のユーロ高水準だった。日本時間夕刻に一時1.0679ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。複数の米銀破綻を受けて金融システムリスクへの警戒が広がる中、米金融当局が前週末に預金の全額保護や資金供給などの救済策を発表。この日の欧米株価が反発したことで、リスクオフの巻き戻しによるユーロ買い・ドル売りが優勢となった。4時前に一時1.0750ドルと日通し高値を更新した。
ユーロ円は4日ぶり反発。終値は144.05円と前営業日NY終値(142.96円)と比べて1円09銭程度のユーロ高水準。アジア株相場の下落を背景にリスク回避の円買い・ユーロ売りが入ると一時142.54円と日通し安値を付けたものの、欧米市場では一転買い戻しが進んだ。欧米株価の反発で投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが優勢になった。23時過ぎには144.41円と日通し高値を更新した。
昨日の2月米消費者物価指数(CPI)の結果を受けて市場では米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利上げに踏み切るとの思惑がやや強まった。先週、パウエルFRB議長の議会証言を受けて、市場は来週のFOMCで0.50%の利上げを決定するとの見方を織り込んでいたが、米中堅銀行シリコンバレーバンク(SVB)と地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻を受けて米金融システム不安が高まり、市場の利上げ見通しは急転した。0.50%利上げ思惑は消滅し、利上げをいったん停止するとの見方が台頭した。ただ、昨日は米銀行破綻に絡んだリスクオフの動きが一段落し、米株に買い戻しが入り、米長期金利も上昇した。それに米2月CPIが前年比で伸びは前月から減速するも2021年9月以来の穏やかな伸びになったことを受けて、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では0.25%利上げを織り込む動きが強まった。
米銀行破綻を背景とした市場の動揺はいったん落ち着き、FRBの利上げ停止思惑が後退し、ドル円の下押し警戒感は緩んだが、市場の信用不安への警戒感は払しょくされておらず、ドル円の上値は重く、引き続き値幅を伴った動きに警戒が必要。米インフレ指標や雇用関連統計は依然としてFRBによる積極的な金融引き締め継続を後押ししているが、銀行破綻を背景とした金融市場の混乱はFRBに来週のFOMCで難しい判断を迫っている。本日も米2月卸売物価指数(PPI)や同小売売上高などの注目指標発表が予定されており、利上げ観測を後押しする内容となれば、米長期金利の上昇に伴いドル円は上値を試す動きも期待できるが、信用不安関連のヘッドラインには引き続き注意が必要となる。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ☆ 1月17-18日分の日銀金融政策決定会合議事要旨
<海外>
○11:00 ◎ 2月中国鉱工業生産(予想:前年比2.6%)
○11:00 ◎ 2月中国小売売上高(予想:前年比3.5%)
○16:00 ◎ 2月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比11.7%)
◎ コア指数(予想:前月比0.7%/前年比9.2%)
○16:00 ◇ 2月独卸売物価指数(WPI)
○16:45 ◇ 2月仏CPI改定値(予想:前月比0.9%/前年比6.2%)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.4%/前年比0.2%)
○20:00 ◇ 1月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲2.0%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:15 ◇ 2月カナダ住宅着工件数(予想:22.00万件)
○21:30 ☆ 2月米小売売上高(予想:前月比▲0.3%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○21:30 ◎ 3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲8.0)
○21:30 ◎ 2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比5.4%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比5.2%)
○23:00 ◇ 1月米企業在庫(予想:前月比横ばい)
○23:00 ◎ 3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:40)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○16日05:00 ◎ 1月対米証券投資動向
○16日06:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、イベントに参加
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
14日09:44 鈴木財務相
「足もとの金融市場ではリスク回避的な動きが指摘されているが、日本の金融システムは安定」
「日本の金融システムに重大な影響を及ぼす可能性は低い」
「金融政策への影響はコメントを控える」
14日16:17 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「米シリコンバレーバンク(SVB)破綻の影響は、ユーロ圏の金融機関にはない」
14日20:09 テデーン・リクスバンク(スウェーデン中銀)総裁
「スウェーデンのインフレ率は依然として高すぎる」
「4月に0.25%か0.50%の利上げを引き続き予想しているものの、足元の市場混乱を踏まえて、今後入手するデータが鍵を握る」
「シリコンバレーバンク(SVB)の破綻の影響は、現時点でスウェーデンの金融安定に対するリスクはないと考えている」
14日21:14 エリザベス・ウォーレン米上院議員
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の行動がSVBとシグネチャーバンクの破綻の直接的な要因となった」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線・基準線が交差する水準への収れん意識>
上影陽線引け。前日にNY終値で上回れなかった一目均衡表・雲の上限133.56円は強い抵抗にならず一時134.90円と、135円回復をうかがう水準まで戻す相場展開となった。ここからは一目・基準線133.86円が下支えとなるか。一方で今後の低下が見込まれる一目・転換線135.10円が目先の重し。両線に挟まれたレンジ内で推移し、切り上がりが予想される基準線と転換線の交差が想定される134円後半への収れんを意識しつつ、次に振れる方向を探る展開を見込む。
レジスタンス1 135.10(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 134.22
サポート1 133.86(日足一目均衡表・基準線)
サポート2 133.03(3/14安値)
<ユーロドル=雲の中で底堅い>
下影極小陽線引け。1.07ドル台から一時1.0679ドルまで押し戻されたものの、一目均衡表・雲の下限1.0662ドル手前の同水準から反発して1.07ドル台へ戻してNYを引けた。雲の中にとどまる範囲の動きだが底堅い。雲の下限をやや上回る一目・基準線1.0664ドルも支えとなるほか、雲を多少下抜けても転換線1.0638ドルや、1.0627ドル前後で上昇中の90日移動平均線も支えになりそう。下値の堅さを背景に雲上限を試す展開が期待できる。
レジスタンス1 1.0805(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0733
サポート1 1.0664(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=切り上がる基準線やがて支えとなり底堅さ維持>
陽線引け。抵抗だった一目均衡表・転換線143.41円をこなし、144円台へ戻した。今後多少切り下がる見込みの転換線は、反落した場合の強い支えにならないかもしれない。しかし、現水準142.57円からの上昇が予想される一目・基準線が代わってやがてサポートになると考えられ、底堅さを維持するとみる。
レジスタンス1 144.87(3/2・10高値を通る下落トレンドライン)
前日終値 144.05
サポート1 143.48(3/14レンジ半値水準)
<豪ドル円=5日線の底打ち待って戻す展開へ移行するか>
大陽線引け。下値を探る動きが続いてきたが、13日に年初来安値をつけた1月3日以来の安値87.80円まで下振れたところでいったん底打ちしている。 反発は90.10円までで、低下傾向の一目均衡表・転換線90.02円を上回る水準から押し返されて89円台でNYを引けた。目先のすう勢を示す5日移動平均線の底打ちを待って、本格的に戻りを試す展開へ移行できるか見定める局面といえる。
レジスタンス1 90.02(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 89.69
サポート1 89.33(3/14レンジ半値水準)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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