13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。終値は133.21円と前営業日NY終値(135.03円)と比べて1円82銭程度のドル安水準だった。米中堅銀行シリコンバレーバンクに続き、地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻で金融システムリスクへの警戒が広がると、欧州株相場が大幅に下落。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが先行した。米銀2行の経営破綻を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が浮上したこともドル売りを誘った。22時前に一時132.29円と約1カ月ぶりの安値を更新した。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、4時過ぎには133.62円付近まで下げ幅を縮めた。一時は280ドル超下落したダウ平均が持ち直し、330ドル超上昇したことで、投資家の過度なリスク回避姿勢が後退し円売り・ドル買いが出た。3.41%台まで低下した米10年債利回りが3.58%台まで戻したことも相場を下支えした。
なお、バイデン米大統領はこの日の演説で「銀行システムも預金も安全なことは確実。私たちは必要なことは何でもしていく」と述べ、平静を呼びかけた。また、銀行システムの規制強化を議会に求めていく考えを示した。
ユーロドルは3日続伸。終値は1.0731ドルと前営業日NY終値(1.0643ドル)と比べて0.0088ドル程度のユーロ高水準だった。欧州株の急落を背景にリスクオフのユーロ売り・ドル買いが先行すると一時1.0651ドル付近まで下押ししたものの、週明け早朝取引で付けた日通し安値1.0640ドルが目先サポートとして働くと買い戻しが優勢となった。米銀2行の経営破綻を受けてFRBが利上げ継続に慎重になるとの見方が強まると、金融政策の影響を受けやすい米2年債の利回りが65bp近く急低下。欧米金利差が縮小し、ユーロ買い・ドル売りが進んだ。2時過ぎには一時1.0749ドルと約1カ月ぶりの高値を付けた。
ユーロ円は3日続落。終値は142.96円と前営業日NY終値(143.70円)と比べて74銭程度のユーロ安水準。22時前に一時141.37円と日通し安値を付けたものの、米国株が底堅く推移したことで、リスクオフの動きが和らぐと買い戻しが優勢に。4時過ぎには143.31円付近まで下げ渋った。
米SVBの経営破綻を背景に高まった金融システム不安に対し、米連邦準備理事会(FRB)と米財務省が全預金者の資金を保証するための措置を打ち出し、新しい融資プログラムを設定するなど迅速な対応を見せたことで、金融市場はいったん落ち着きを取り戻す場面もあったが、市場の不安は解消されていない。米SVBに続き、シグネチャー・バンクも経営破綻となり、複数の銀行株が記録的な大幅安に見舞われ、取引停止が続出するなど、業界全体に混乱が広がっている。市場は米当局が銀行システムを支えるため介入しても、銀行破綻が増える可能性に神経質になっており、投資家のリスクオフ志向は根強く、ドル円は乱高下を伴いながら上値の重い動きが続きそうだ。
本日は米2月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、市場の目線が銀行の経営破綻による金融システム不安へ向けられており、CPIの結果への反応は一時的にとどまる可能性がある。銀行破綻でFRBが利上げを続ける状況ではないとの見方も増えており、CPIの結果がどの程度FRBの金融政策見通しにつながるか見当がつかない。市場では3月のFOMCでFRBが金利の据え置きを決定するとの見方が3割超に増えた一方で、0.50%利上げ見込みはほぼなくなった。ゴールドマン・サックス・グループやナットウエスト・マーケッツなどもすでに金利の据え置きを予想している。東京タイムでは時間外の米長期金利の動向がドル円のポイントとなる。
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○08:30 ◇ 3月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○09:30 ◇ 2月豪NAB企業景況感指数
○16:00 ◎ 2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 11-1月英失業率(ILO方式、予想:3.8%)
○16:30 ◇ 2月スイス生産者輸入価格
○21:30 ◇ 1月カナダ製造業出荷(予想:前月比3.9%)
○21:30 ☆ 2月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比6.0%)
☆ エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比5.5%)
○欧州連合(EU)財務相理事会
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
13日07:24 米連邦準備理事会(FRB)
「今後生じる可能性のあるすべての流動性面の圧力に対処する用意がある」
13日09:49 バイデン米大統領
「歴史的な経済回復を守るため、耐性ある銀行システムをどう維持するか13日朝に発言する」
「大規模銀行に対する監督強化の取り組みを継続」
13日10:26 スナク英首相
「英金融システムは健全な状態にある」
「米シリコンバレーバンク(SVB)めぐり、間もなく何らかの発表」
13日10:45 習中国国家主席
「共同福裕で実質的進展を図る」
「発展と国家安全の調整を改善する
「質の高い発展を揺るがず推進」
「中国は科学技術の自立を強化する」
「台湾めぐる外部勢力の干渉に反対」
13日11:58 李強中国首相
「5%成長目標達成は簡単ではない」
「世界経済の今年の見通しは楽観的ではない」
「1-2月の経済は安定化し持ち直しつつある」
13日16:09 英財務省
「SVBの英法人をHSBCに売却、預金は全額保護・税金は投入せず」
13日22:08 バイデン米大統領
「政権の迅速な行動により、米国の銀行システムは安全であると米国人に確信させる」
「米国納税者の負担はなく、保険料から捻出される」
「銀行の投資家は保護されない、法の上に立つ者はいない」
「議会と規制当局に銀行規制の強化を求める」
「必要なことは何でもする」
※時間は日本時間
<ドル円=雲の上限が重し>
上影大陰線引け。一時132.29円と、2月14日以来の水準まで下落幅を広げた。一目均衡表・雲の中で反発して133円台を回復したものの、雲の上限133.56円は上回ることができずにNYの取引を終えている。
今週末に132.70円へ低下する雲の上限が目先の重しとなり、さえない推移が続くか。昨日安値132.29円や2月14日安値131.52円といった水準をめどに下値を探る展開が予想される。
レジスタンス1 134.01(3/13レンジ61.8%水準)
前日終値 133.21
サポート1 132.29(3/13安値)
サポート2 131.52(2/14安値)
<ユーロドル=基準線や雲の下限を支えとした底堅さ想定>
陽線引け。一目均衡表・雲の中で底堅く推移した。一時1.0749ドルと、2月14日以来の高値をつけた。上昇の反動による下押しがあっても、しばらく横ばいが続く見込みの一目・基準線1.0664ドルや上昇基調の雲の下限が支えとなりそう。押し目が深くなっても、一目・転換線1.0637ドルが下値に控えており、底堅さを維持できるだろう。
レジスタンス1 1.0805(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0731
サポート1 1.0662(日足一目均衡表・雲の下限)
<ポンド円=90日線を上回る水準では動き重そう>
下影極小陰線引け。一時160.05円まで大きく下振れ、2月13日以来の160円割れをうかがう様相となった。大きく反発して一目・基準線161.72円を回復し、162円台に戻してNYを引けた。基準線や昨日のレンジ半値水準などを目先の支えとして、さらに戻す展開も想定できる。しかし、162.55円前後で低下中の90日移動平均線を上回る水準では動きが重くなりそう。戻りは、昨日の下振れ幅を回復するかどうかといったところまでか。
レジスタンス1 163.08(3/13高値)
前日終値 162.29
サポート1 161.56(3/13レンジ半値水準)
<NZドル円=基準線と低下中の転換線が重なり抵抗に>
83円台へ反発したものの、同大台を維持できずにNYを引けた。戻りを試すのは昨日高値83.33円前後までか。その上には基準線と低下中の転換線が83.65円に重なって位置しており、強い抵抗となる。
レジスタンス1 83.33(3/13高値)
前日終値 82.84
サポート1 82.02(3/13安値)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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