10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は135.03円と前営業日NY終値(136.15円)と比べて1円12銭程度のドル安水準だった。日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めたことなどを背景に、20時前には136.99円まで円安・ドル高が進んだものの、2月米雇用統計の結果が伝わると米金利の大幅低下とともにドル売りが進み、134.12円まで大きく値を下げた。
2月米雇用統計では非農業部門雇用者数が31.1万人増と予想の20.5万人増を上回った一方、失業率が3.6%、平均時給が前月比0.2%/前年比4.6%と予想より弱い内容となった。今月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利上げ観測が後退し、ドル売りを促した。米金融政策の影響を受けやすい米2年債の利回りは29bpを超す大幅な低下となった。
米シリコンバレーバンク(SVB)の持ち株会社であるSVBファイナンシャル・グループの経営難が、金融システム不安につながりかねないとの警戒も相場の重しとなった。
なお、米連邦預金保険公社(FDIC)はこの日、SVBが経営破綻し事業を停止したと発表。FDICが破綻管財人となり、預金保護を発動する。
ユーロドルは続伸。終値は1.0643ドルと前営業日NY終値(1.0581ドル)と比べて0.0062ドル程度のユーロ高水準だった。米雇用統計で平均時給が市場予想ほど伸びず、賃金インフレへの警戒感が和らぐと、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ観測が後退した。米金融システム不安への警戒もドル売りを促し、1時前に1.0701ドルと日通し高値を付けた。引けにかけては1.0636ドル付近まで伸び悩んだ。
ユーロ円は続落。終値は143.70円と前営業日NY終値(144.08円)と比べて38銭程度のユーロ安水準。ドル円の急落をきっかけに円買い・ユーロ売りが先行。SVBの経営破綻が金融システム不安につながりかねないとの警戒から、ダウ平均が一時470ドル超下落したことも相場の重し。4時30分前には143.35円と日通し安値を更新した。
先週末に米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻したことを受けて金融システム不安への警戒感が高まるなか、早朝からドル売りが先行した。今回の破綻はリーマンショックが起きた2008年以来、最大規模だということでもあり、市場の不安が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)と米財務省は、「米連邦預金保険公社(FDIC)理事会とFRB、イエレン米財務長官はFDICによるシリコンバレーバンク(SVB)問題解決への措置を承認」「SVBの破綻に伴う損失を納税者が負担することはない」「銀行システムへの国民の信頼を強化することで米経済を守るための断固とした行動を取る」などの緊急声明を発表した。引き続き関連のヘッドラインに注目。
先週末のドル円は日銀金融政策決定会合と2月米雇用統計の結果を受けて荒っぽい動きとなった。黒田日銀総裁の最後となる日銀金融政策決定会合では市場予想通りに現行の緩和策の継続を決定した。ただ、一部では「次期総裁への置き土産として、緩和修正に向けた調整的な措置を講じる可能性がある」のとの期待もあり、日銀金融政策イベントを通過した後は円売りが優勢となった。一方、米2月雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を上回った一方で、同失業率と平均時給は予想より弱い結果となった。市場では今月の米FOMCでの0.50%の利上げ観測が後退し、米長期金利の低下に伴うドル売りに傾き、ドル円は大幅反落した。
パウエルFRB議長は先週の議会証言でターミナルレートの引き上げと利上げ幅再拡大の可能性を示唆したが、まだ利上げペースの加速を決めたわけではなく、「今後のデータ次第」とのコメントも加え、2月米雇用統計の結果に大きく反応する格好となった。市場ではパウエル議長の発言を受けて台頭した3月FOMCでの0.50%利上げ思惑が米雇用統計を背景に後退したが、確信につながったとはいえず、14日に予定されている2月米消費者物価指数(CPI)への注目度が一段と高まっている。インフレ高進を再燃させる内容でなければ、0.25%利上げを織り込む動きが加速するが、CPIが逆の結果となればFRBが再び0.5%利上げに踏み切るとの思惑が高まる。また、米SVBの経営破綻がFRBの政策運営に影響を与える可能性もある。本日は注目のイベントが予定されておらず、翌日に米CPIの発表を控え、米長期金利の動向や米SVB関連報道を眺めながらドル円は神経質な動きが続きそうだ。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 1-3月期法人企業景気予測調査
<海外>
○16:00 ◇ 1月トルコ経常収支(予想:100.0億ドルの赤字)
○21:00 ◎ 2月インド消費者物価指数(CPI、予想:前年比6.35%)
○21:00 ◇ 1月メキシコ鉱工業生産
○14日03:05 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○ユーロ圏財務相会合
○米国は12日から夏時間に移行済み
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
10日09:18 鈴木財務相
「日銀黒田体制10年、デフレでない状況作り出す大きな成果をあげてきた」
「今後の日銀には、引き続き政府との連携のもと経済・物価・金融情勢を踏まえ適切に金融政策が行われることを期待する」
「この間国債発行残高が1000兆円に達する状況となっていることは強く認識している」
10日11:36 日本銀行声明
「コアCPI、価格転嫁の影響減衰などで来年度半ばにかけプラス幅縮小していく」
「コアCPI、需給ギャップ改善や中長期的な予想物価上昇率・賃金上昇率の高まりで再びプラス幅緩やかに拡大」
「予想物価上昇率、上昇している」
10日15:37 黒田日銀総裁
「輸出や鉱工業生産は供給制約の影響緩和で横ばい」
「個人消費は物価上昇の影響を受けつつも感染症の影響が和らぎ緩やかに増加」
「感染症の影響を注視しつつ必要あれば躊躇なく追加緩和」
「消費者物価は来年度半ばにかけてプラス幅を縮小へ」
「大規模金融緩和、政府対策も相まり経済や物価の押し上げ効果発揮」
「副作用に対処しつつ持続的・効果的に金融緩和を実施してきた」
「(賃金動向)労使交渉に期待」
「次期総裁の物価安定・金融システム安定に向けた手腕発揮を期待」
「(任期中)2%物価目標の実現に至らず残念」
「大幅な金融緩和を続け、賃金を上げやすい環境を整えていくこと重要」
「金融市場や為替市場、経済や物価への影響を注視」
「2%物価目標や賃上げ伴う達成、少し近づいた」
「日本経済の潜在成長力が発揮され金融緩和は成功」
「副作用より効果が大きかった」
「出口戦略、論じるのは時期尚早」
「(出口戦略)目標達成時の経済や金融情勢に合わせるべき」
「新たな方針での金利形成定着にはある程度時間を要する」
「市場機能、徐々に改善へ」
「金融政策の副作用累積も、大きくなっていると思わず」
「金融政策の変化あったとすれば任期後半3年のコロナオペ」
「賃金や物価が上がらない慣行、予想より根強かった」
※時間は日本時間
<ドル円=戻しても転換線が重しとなりそう>
大陰線引け。下支えが期待された一目均衡表・転換線を下抜けた。週明けは一目・基準線133.86円を割り込む下振れもあった。基準線を下回る水準からいったん反発している。上昇が予想される同線に沿った戻りも期待できる。しかし、低下が見込まれる転換線が反発を抑制しそうだ。
レジスタンス1 135.24(21日移動平均線)
前日終値 135.03
サポート1 133.56(3/13オセアニアタイム安値)
<ユーロドル=基準線付近から下押す場面もあるか>
上影陽線引け。先週末は1.0701ドルまで上昇後に押し戻され、1.0643ドルで週の取引を終えた。しかし、週明けに再び1.07ドル台を回復する底堅さを示している。一目均衡表・基準線1.0665ドル付近での推移を期待するが、現状からすれば同線はまだ小幅に低下する余地を残す状態。下押す相場展開も想定しておきたい。だが、今後の切り上がりが予想される一目・転換線は支えになるとみられ、大きな下落は回避できるとみる。
レジスタンス1 1.0766(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 1.0643
サポート1 1.0614(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=下回った21日線の回復期待も、戻り鈍いか>
上影陰線引け。週明けも下落が続き、21日移動平均線143.85円を下回る水準の動きとなっている。上昇傾向の21日線を回復することも想定できる。しかし、上値に緩やかな低下が続く一目均衡表・転換線が抵抗として控えている。同線付近では戻りの流れが停滞しそうだ。
レジスタンス1 144.25(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 143.70
サポート1 142.93(3/13オセアニアタイム安値)
<豪ドル円=すう勢を示す5日線の低下をともない下落>
陰線引け。従来の豪ドル軟調に加え、円高も重しとなり下値を広げる動きとなっている。目先のすう勢を示す5日移動平均線の低下をともなう下振れ相場となっている。週明けは一時88.21円まで下落。1月19日以来の安値水準とあって相応に戻す場面はあるかもしれないが、低下傾向の一目均衡表・転換線が上昇を抑制しそうだ。
レジスタンス1 89.66(5日移動平均線)
前日終値 88.82
サポート1 88.12(1/19安値)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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