9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反落。終値は136.15円と前営業日NY終値(137.36円)と比べて1円21銭程度のドル安水準。アジア市場では一時137.38円まで買われる場面もあったが、200日移動平均線が位置する137.44円がレジスタンスとして意識されると失速した。明日の日銀金融政策決定会合や2月米雇用統計など重要イベントを前に、ポジション調整目的の売りも出た。
NY市場に入ると、前週分の米新規失業保険申請件数が21.1万件と予想の19.5万件よりも弱い内容だったことが伝わり、全般ドル売りが進行。22時30分過ぎに一時135.95円と日通し安値を付けた。
ただ、135円台では押し目を拾いたい向きも多く、売り一巡後は徐々に下値を切り上げた。米金融引き締めが長期化するとの観測から円売り・ドル買いが出やすい面もあり、2時過ぎには136.48円付近まで下げ渋った。
ユーロドルは3日ぶりに反発。終値は1.0581ドルと前営業日NY終値(1.0545ドル)と比べて0.0036ドル程度のユーロ高水準だった。明日の米雇用統計を前にポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが入ったほか、米10年債利回りが3.89%台まで低下したことが相場の支援材料となった。低調な米労働指標を受けて全般ドル売りが進むと、一時1.0591ドルと日通し高値を更新した。
ユーロ円は反落。終値は144.08円と前営業日NY終値(144.85円)と比べて77銭程度のユーロ安水準。22時30分過ぎに一時143.63円と本日安値を付けたものの、売り一巡後は144.28円付近まで下げ渋った。ドル円につれた動きとなった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、黒田日銀総裁にとっての最後となる日銀金融政策決定会合の結果を見極めることになる。
昨日のニューヨーク市場のドル円は135.95円まで下落し、米10年債利回りは3.89%台まで低下したが、市場は、本日の日銀金融政策決定会合や米国2月の雇用統計でのサプライズを警戒しているのかもしれない。
先週末には、10日の日銀金融政策決定会合での12月のようなサプライズに警戒して、円高をヘッジする1週間物のドルプット・円コールの取引が話題になっていた。米国2月の非農業部門雇用者数は前月比+20.5万人と予想されており、1月の前月比+51.7万人からの増加幅の減少、そして1月分も昨年と同様に下方修正される可能性が警戒されている。
8時50分に発表される2月の企業物価指数は、前年比+8.4%と予想されており、1月の前年比+9.5%からの低下が見込まれている。1月の輸入物価指数は前年比+17.8%と発表されており、昨年7月のピーク(前年比+49.2%)からは、原油価格の低下や円安基調の後退により、低下基調を継続していた。
2月の輸入物価指数が低下基調を辿るのか、それとも、下げ止まるのか、見極めることになる。
24日の衆議院での所信聴取での植田日銀総裁候補や25日のG20財務相・中央銀行総裁会議での黒田日銀総裁は、日本の物価上昇に関して、奇しくも「輸入物価上昇によるコストプッシュが主因であり、2023年度半ばにかけて2%を下回る水準まで低下する」と同じ認識を示していた。両者にとっては、原材料価格の高騰は金融政策や財政政策とは無関係であり、財政出動や金融緩和を続けても良いということらしい。20世紀を代表するノーベル経済学賞の受賞者ハイエクは1976年の著作『貨幣発行自由化論』で「コストプッシュインフレなるものなど存在しない」と切り捨てていたが、両者はケインズ派なのからもしれない。
日銀金融政策決定会合では、昨年12月会合のようにイールドカーブコントロール(YCC)の許容変動幅を拡大した場合、金融機関の3月期末決算に悪影響を及ぼすことから、現状の金融緩和策の維持が予想されている。また、黒田日銀総裁が重視している賃金に関しては、1月の実質賃金が前年同月比4.1%減少という2014年5月以来の大幅下落を記録し、10-12月実質国内総生産(GDP)改定値が前期比±0.0%に下方修正されたことも、現状維持の見通しの背景となっている。
しかし、リスクシナリオとして、日銀新体制への円滑な移行のために、あえてYCCの許容変動幅の再拡大を決定する可能性は、低いながらも残されており、12月同様のサプライズには警戒しておきたい。
白川前日銀総裁は、「日銀 宴の終焉」と題した東洋経済1月21日号で「政府・日銀『共同声明』10年後の総括」を寄稿し、国際通貨基金(IMF)の季刊誌に金融政策の新たな方向性に関する論文『変化の時(Time for Change)』を寄稿して、アベノミクスと異次元緩和を「壮大な金融実験」だったとして批判している。
黒田日銀総裁が最後の日銀金融政策決定会合でYCCの許容変動幅の再拡大を決定した場合、「壮大な金融実験」が失敗だったことを認めることになる。
日銀金融政策決定会合が予想通りに現状維持だった場合は、今夜の米国2月の雇用統計の発表を控えて、動きづらい展開が予想される。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 1月家計調査(消費支出、予想:前年比▲0.1%)
○08:50 ◇ 2月企業物価指数(予想:前月比▲0.3%/前年比8.4%)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表、予想:当座預金金利▲0.10%で据え置き)
○15:30 ☆ 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
<海外>
○16:00 ◎ 2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.8%/前年比8.7%)
○16:00 ☆ 1月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○16:00 ◎ 1月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲4.0%)
○16:00 ◎ 1月英製造業生産高(予想:前月比▲0.1%)
○16:00 ◇ 1月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:177.50億ポンドの赤字/71.00億ポンドの赤字)
○16:00 ◇ 1月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.7%)
○16:00 ◇ 1月トルコ失業率
○16:00 ◎ 2月ノルウェーCPI(予想:前月比0.8%/前年比6.8%)
○16:45 ◇ 1月仏貿易収支
○16:45 ◇ 1月仏経常収支
○18:00 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00 ◎ 1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.0%)
○21:00 ◎ 2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.54%)
○22:30 ☆ 2月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.00万人/失業率5.1%)
○22:30 ◇ 10-12月期カナダ設備稼働率
○22:30 ☆ 2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.5万人/失業率3.4%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.7%)
○11日01:00 ◎ 2月ロシアCPI(予想:前月比0.5%)
○11日04:00 ◎ 2月米月次財政収支(予想:2560億ドルの赤字)
〇米・欧州連合(EU)首脳会談(ワシントン)
〇12日 米国が夏時間に移行
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
9日16:41 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「インフレは現在から6月がピークと予想」
10日04:37 ロジャース・カナダ中銀(BOC)上級副総裁
「インフレ率が依然として目標を大幅に上回っていることから、BOCは上振れリスクを懸念している」
「金融政策がインフレを2%に戻すのに十分制限的かどうかを評価するには、より多くの証拠を確認する必要がある」
「短期的な欧米の成長とインフレ見通しは予想を上回っており、これはカナダのインフレ圧力が高まっていることを示唆している可能性」
「経済が予測通りに進展すれば、追加利上げは必要ないだろう」
※時間は日本時間
<ドル円=200日移動平均線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、高値圏での抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線136.59円を念頭に置き、200日移動平均線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 137.91(3/8高値)
レジスタンス1 137.50(200日移動平均線)
前日終値 136.15
サポート1 135.26(3/1安値)
サポート2 134.06(2/24安値)
<ユーロドル=三役逆転 点灯中、転換線が抵抗水準>
陽線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。抱き線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日も1.06ドル前半に位置する転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0610(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0581
サポート1 1.0484(1/6安値)
<ポンド円=雲の上限を意識、転換線を抵抗に戻り売り>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、僅かながらだが雲の上で引けていることで三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、孕み線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は162.32円付近で横ばいの雲の上限を念頭に置いた取引。スタンスとしては転換線を抵抗に戻り売りで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 163.82(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 162.36
サポート1 161.37(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=転換線が抵抗水準、雲を割り込んで引ける>
陰線引け。転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。また83.40円台の雲の下限も意識したい。
レジスタンス1 84.14(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 83.06
サポート1 82.62(2/7安値)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
フォレックス・ドットコムでは、ノックアウトオプション、FX、株価指数CFDを取引いただけます。
口座開設は以下のステップで行えます。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。