7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は137.16円と前営業日NY終値(135.93円)と比べて1円23銭程度のドル高水準だった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控える中、「発言がタカ派寄りの内容になる」との思惑から全般ドル買いが先行し、しばらくは底堅く推移した。
パウエルFRB議長が米上院銀行委員会で「最新の経済データは予想より強く、金利の最終到達水準(ターミナルレート)が従来想定より高くなる可能性が高いことを示唆」「経済データが全体として、より速い引き締めペースを正当化するのであれば、利上げペースを加速させる用意がある」と述べたと伝わると、米金利の上昇とともにドル買いが活発化し、一時137.19円と昨年12月20日以来の高値を付けた。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時5.0190%前後と2007年6月以来の高水準を記録した。
なお、パウエルFRB議長の発言を受けて、短期金利先物市場では今月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利上げが決定されるとの観測が高まった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、0.50%の利上げ確率は70%を超えた。
ユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0549ドルと前営業日NY終値(1.0681ドル)と比べて0.0132ドル程度のユーロ安水準だった。独長期金利の低下などを手掛かりにユーロ売り・ドル買いが先行。パウエルFRB議長が議会証言で利上げペース加速や利上げ長期化の可能性を示唆すると、全般ドル買いが加速した。5時前に一時1.0546ドルと日通し安値を付けた。
ユーロ円は反落。終値は144.68円と前営業日NY終値(145.17円)と比べて49銭程度のユーロ安水準。22時過ぎに145.30円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。ユーロドルの下落につれた売りが出たほか、米国株相場の下落に伴うリスク回避の円買いが入り一時144.56円と日通し安値を付けた。
ユーロ円以外のクロス円も軟調だった。ポンド円は一時162.05円、豪ドル円は90.21円、NZドル円は83.65円、スイスフラン円は145.32円、南アフリカランド円は7.36円まで値を下げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、パウエルFRB議長の議会証言でのタカ派発言を受けて、200日移動平均線(※137.40円付近)の攻防が予想される。
ニューヨーク市場のドル円はパウエルFRB議長のタカ派発言を受けて、137.19円まで上昇したものの、200日移動平均線(※7日付け137.40円)は上方突破できていない。本日は、9-10日の日銀金融政策決定会合や10日の米国2月雇用統計の前に、200日線を上抜けることができるか否かに要注目となる。
パウエルFRB議長は、米上院銀行委員会での金融政策や経済情勢に関する半期に一度の議会証言で、政策金利を従来の想定より高い水準に引き上げる公算が大きく、必要であれば利上げペースを加速させる用意がある、と述べた。そして、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)時に示す最新のドット・プロット(金利予測分布図)では予測が上方修正される可能性が高い、とも述べている。
3月21-22日のFOMCでは、FF金利誘導目標が0.50%引き上げられ(5.00-25%)、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が12月時点の5.10%(5.00-25%)から5.60%(5.50-75%)程度まで引き上げられる可能性が高まっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、0.50%の利上げ確率が70%を超えている。
また、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは、一時5.019%まで上昇し、2007年以来の高水準を付けた。そして、米10年債利回りは一時4.003%まで上昇したものの、2年債と10年債の長短金利逆転(逆イールド)は100ベーシスポイントまで拡大しており、リセッション(景気後退)への警戒感を高めている。
2019年の逆イールドは、2020年2-4月のリセッション入りを警告していたが、当時は、パウエル第16代FRB議長とイエレン第15代FRB議長は、否定的だった。今回も、パウエルFRB議長とイエレン米財務長官は否定的だが、この両者は、2021年秋の時点で「インフレ高進は一時的」と述べており、物価や景気見通しへの信頼感は低い。
8時50分に発表される1月国際収支速報での経常収支(季節調整前)は8184億円の赤字と予想されている。1月の貿易赤字は3兆4966億円と発表されており、比較が可能な1979年以降、1カ月の赤字としては過去最大を記録していた。経常収支が赤字に転落することは、実需の円売りの拡大を反映しており、ドル円が1月16日の安値127.23円で下げ止まった背景となっている。
貿易赤字の拡大が継続した場合、経常収支が恒常的に赤字に転落する可能性が高まることで、円安トレンドが長期化する可能性を高めることになる。
2022年の経常黒字は11兆4432億円だったが、2021年の21兆5910億円からの黒字減少額10兆1478億円が比較可能な1986年以降で最大となっていた。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 1月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前8184億円の赤字/季節調整済8033億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:2兆9238億円の赤字)
○14:00 ◇ 1月景気動向指数速報値(予想:先行96.9/一致96.4)
○14:00 ◇ 2月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数49.0/先行き判断指数49.7)
<海外>
○16:00 ◎ 1月独鉱工業生産(予想:前月比1.4%/前年同月比▲3.7%)
○16:00 ◎ 1月独小売売上高(予想:前月比2.0%/前年比▲5.0%)
○18:30 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19:00 ☆ 10-12月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比横ばい/前年比1.9%)
○19:00 ◇ 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○19:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○19:00 ◎ パネッタECB専務理事、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:15 ☆ 2月ADP全米雇用報告(予想:20.0万人)
○22:30 ◇ 1月カナダ貿易収支(予想:0.6億カナダドルの赤字)
○22:30 ◎ 1月米貿易収支(予想:689億ドルの赤字)
○24:00 ☆ カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○24:00 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○9日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○9日03:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○9日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○インド(水掛け祭)、ロシア(国際婦人デー)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
7日12:33 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「インフレ率が目標値に戻り、この高インフレの時期が一時的なものに過ぎないことを確認するために、さらなる金融引き締めが必要」(前回は今後数カ月の間にさらなる利上げ)
「将来の利上げの規模は、引き続き今後のデータとインフレ、労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決定」
「インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う」
「月次CPIは、豪インフレがピークに達したことを示唆」
「インフレ率は今年から来年にかけて低下し、2025年半ばには3%程度なると予想」
「今後2、3年の豪成長率はトレンドを下回ると予想」
「家計消費の伸びは金融環境の悪化により鈍化しており、住宅建設の見通しも軟化」
「労働市場、若干緩和したが引き続き非常にタイト」
「賃金の伸び、タイトな労働市場とインフレ率上昇を背景に上向きの動き続く」
8日00:02 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「新たなデータにより、最終的な金利水準は従来の予想よりも高くなる可能性が高いことが示唆された」
「正当化されれば利上げを加速させる用意がある」
「インフレが予想以上に進行していることを示唆」
「コアインフレが期待ほど減速していない」
「道のりは長い」
「データは過剰な引き締めを示唆していない」
「次回ドット・プロット(金利予測分布図)はピーク金利が12月から大幅上昇する可能性」
「3月FOMCまでに出る経済データが非常に重要」
8日03:33 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁
「インフレは非常に高すぎる」
「金利を引き上げることは可能だが、外貨を売却することもできる」
「金融政策を再び引き締めることは排除しない」
※時間は日本時間
<ドル円=137円台に乗せ、200日線が視野に入る>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は137.40円台に位置する200日移動平均線を睨んだ値動きか。取引きスタンスとしては、転換線を支持に押し目買いで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 139.89(2022/11/30高値)
レジスタンス1 138.17(2022/12/15高値)
前日終値 137.16
サポート1 135.63(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 135.26(3/1安値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けたことで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯した。2手連続陽線を打ち消す抱き線で反落し換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0614(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0549
サポート1 1.0484(1/6安値)
<ポンド円=転換線から7日高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。雲の中に入り込んだものの、転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回っているため買いシグナルが優勢な展開となっている。しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は163円後半の転換線から7日高値(163.87円)を抵抗帯に戻り売りスタンスで臨み、その水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 163.61(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 162.26
サポート1 161.37(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=転換線から雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回ったものの、雲の中で水準を落とし、遅行スパンは実線を下回った。転換線を下回って引け、4手連続陰線で下落トレンドを形成しており続落の可能性が示唆されている。
本日は、84円半ばの転換線から雲の上限を抵抗帯に戻り売りスタンスで臨み、それら水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 84.45(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 83.76
サポート1 83.25(日足一目均衡表・基準線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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