3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。終値は135.87円と前営業日NY終値(136.77円)と比べて90銭程度のドル安水準タカ派とされるボスティック米アトランタ連銀総裁が前日に「21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げを支持」と述べたことで、0.50%の大幅利上げ観測が後退。米長期金利の低下とともにドル売りが優勢となり、一時135.81円まで下げた。
2月米ISM非製造業指数が55.1と予想の54.5を上回ったことが伝わると、136.42円付近まで下げ渋る場面もあったが戻りは限定的だった。週末を控えたポジション調整目的の円買い・ドル売りも入り、5時過ぎには135.75円と本日安値を更新した。
米連邦準備理事会(FRB)は、半期に一度の金融政策報告書を公表し、「FRBは高インフレが経済にもたらす課題を痛感しているとし、2%のインフレ目標達成を強く確約する」と表明した。また、「FOMCは対応のために急速な利上げを行い、保有証券の縮小を続けた」とし、「FF金利を継続的に引き上げることが適切と予想している」との見解を示した。
パウエルFRB議長は来週7-8日、同報告書をもとに米上下両院の委員会で議会証言を行う。
ユーロドルは反発。終値は1.0635ドルと前営業日NY終値(1.0597ドル)と比べて0.0038ドル程度のユーロ高水準だった。NY勢参入直後に一時1.0630ドルまで上げたものの、予想を上回る2月米ISM非製造業指数を受けてユーロ売り・ドル買いが強まると1.0589ドルと日通し安値を付けた。
ただ、米10年債利回りが3.95%台まで低下すると再びドル売りが優勢となり、5時過ぎには1.0639ドルと日通し高値を付けた。週末を控えたポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りも入った。
ユーロ円は続落。終値は144.50円と前営業日NY終値(144.94円)と比べて44銭程度のユーロ安水準。ユーロドルの上昇につれた買いが入った半面、ドル円の下落につれた売りが出たため一時144.30円と本日安値を付けた。その後の戻りも144.64円付近にとどまった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが3.95%台に低下していること、明日からの重要イベントに対するリスクシナリオ、そして3月期末決算に向けたレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)などで上値が重い予想される。
先週2日のドル円は、米10年債利回りが4.08%台まで上昇したことで137.09円まで上昇したものの、200日移動平均線(137.27円)の関門に阻まれた。3日は米10年債利回りが3.95%台まで低下したことで135.75円まで反落したものの、転換線135.58円で下げ止まった。200日移動平均線を上方突破するには、明日のパウエルFRB議長の議会証言でのタカ派発言、10日の黒田日銀総裁最後の日銀金融政策決定会合での現状維持、米2月雇用統計のポジティブサプライズなどを待たなければならないのかもしれない。
7日の米上院銀行委員会でのパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言では、2月のFOMC後の会見での「経済がFOMC当局者の予測通りに展開した場合、今年中の利下げは想定していない」というタカ派的な見解が予想される。すなわち、1月の雇用統計、小売売上高、物価指数(CPI、PPI、PCE)は物価下げ止まりの中での労働需給の逼迫と個人消費回復、すなわちゼロ・ランディングの可能性が示されたため、FOMC当局者の予測通りに展開している。パウエル議長がFF金利先物市場が示唆する3月、5月、6月の追加利上げと年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)5.25-5.50%を肯定する可能性が高まっている。
9日の衆議院での日銀正副総裁人事の採決は、2008年3月の武藤日銀副総裁の総裁昇格案は民主党の反対で否決されたが、今年は自民党が多数派のため可決される見通しとなっている。
10日の黒田日銀総裁にとっての最後の日銀金融政策決定会合では、3月の期末決算を控えて、国債価格の下落は望ましくないため、現状の金融政策の維持が予想されている。リスクシナリオとしては、新体制となる日銀が異次元緩和の出口戦略を円滑に進めやすくするため、緩和縮小に踏み切る可能性が警戒されている。3日のオプション市場では、イールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅再拡大に備えた1週間物のドルプット・円コールの取引が話題になっていた。
日本国債10年物利回りも、YCC許容変動幅上限の0.50%付近で高止まりしている。
そして今週の最大の注目ポイントである2月の非農業部門雇用者数は、1月の前月比+51.7万人が+20.0万人程度に増加幅が減少し、1月分も昨年同様に下方修正される可能性が警戒されている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○16:30 ◎ 2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○18:30 ◎ 2月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.1)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲1.8%)
○24:00 ◇ 2月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00 ◎ 1月米製造業新規受注(予想:前月比▲1.8%)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
3日06:16 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「今後の雇用とインフレデータが1月の強い数値から戻らない場合、FRBは12月時点のFF金利見通し5.1-5.4%を超える利上げが必要になる可能性」
「データは労働市場が緩むどころか引き締まっていることを示唆」
「FOMCはインフレを2%の目標に引き下げるために必要なことを行う」
「過度に逼迫した労働市場は物価安定への道を複雑にする」
「最近のデータはインフレに関しては想定ほど進捗していないことを示唆」
3日09:48 鈴木財務相
「日銀によるETF買い入れが個人の資産形成に悪影響を与えているとは考えていない」
「日銀のETF出口戦略は日銀に委ねられるべき。適切な政策運営を期待」
3日11:11 中国人民銀行総裁
「元相場と物価の安定を維持へ」
「元はより柔軟化した、経済安定に寄与」
3日18:28 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「インフレは年半ばまでに6%を下回る可能性」
「基調的なインフレはより安定的なまま」
「金融政策はすでに効果を出している」
3日18:37 ミュラー・エストニア中銀総裁
「3月の利上げが最後になることはほぼ無いだろう」
「しばらくの間金利は高い水準を維持するべき」
4日01:10 ローガン米ダラス連銀総裁
「市場の支持を得るため、債券購入の条件を明確にする必要」
*金融政策について言及せず
※時間は日本時間
<ドル円=転換線を念頭に3/1安値を支持に押し目買い>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陽線でも200日移動平均線を上抜けることが出来ず、抱き線で反落した。しかしながら転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は転換線135.58円を念頭に置き、1日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 137.48(2022/12/20高値)
レジスタンス1 137.36(200日移動平均線)
前日終値 135.87
サポート1 135.26(3/1安値)
サポート2 134.74(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロドル=転換線を挟み上下が続く、2/24安値が支持か>
陽線引け。雲の中で引けたものの、転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回っており、売りシグナルが優勢な展開。しかし、雲の下限で下げ止まり、孕み線で反発して転換線を上回って引けて続伸の可能性が示唆されている。
転換線を挟み上下が続いており、本日も同線1.0612ドルを念頭に置いた取引となるか。2月24日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0691(3/1高値)
前日終値 1.0635
サポート1 1.0536(2/24安値)
<ポンド円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。孕み線で反発して、僅かながらも転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 164.51(3/1高値)
前日終値 163.65
サポート1 162.32(日足一目均衡表・雲の上限)
<NZドル円=83円後半の基準線を支持に押し目買い>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開。2手連続陰線でも、依然として転換線を上回っては引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線84.45円や雲の上限84.60円を念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨みたい。83円後半の基準線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 85.28(3/3高値)
前日終値 84.53
サポート1 83.80(日足一目均衡表・基準線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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