21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。終値は135.01円と前営業日NY終値(134.25円)と比べて76銭程度のドル高水準だった。2月米製造業・サービス部門・総合PMI速報値が予想を上回ったことを受けて円売り・ドル買いが先行。米10年債利回りが3.9584%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録すると全般ドル買いが活発化した。24時前に一時135.23円と昨年12月20日以来約2カ月ぶりの高値を更新した。米国株相場の下落を背景にクロス円中心にリスク回避の円買いが強まると、ドル円も134.68円付近まで伸び悩んだが、下押しは限定的だった。
ユーロドルは続落。終値は1.0648ドルと前営業日NY終値(1.0686ドル)と比べて0.0038ドル程度のユーロ安水準だった。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「3月理事会では0.50%の利上げを予定」との考えを改めて強調するとユーロ買いが先行。米長期金利が上昇幅を縮めたタイミングでドル売りも強まり、一時1.0698ドルと日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値1.0705ドルが目先レジスタンスとして働くと失速した。ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだユーロ売りのフローも観測された。米2年債入札後に米長期金利が再び上昇すると、ユーロ売り・ドル買いがさらに進み一時1.0638ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は3日続伸。終値は143.78円と前営業日NY終値(143.42円)と比べて36銭程度のユーロ高水準。ドル円の上昇につれた円売り・ユーロ買いが出て一時144.16円と本日高値を付けたものの、ダウ平均が一時710ドル超下落するなど、米国株が軟調に推移すると上値が重くなった。
カナダドルは全面安。1月カナダ消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、カナダ利上げ休止観測が高まると全般カナダドル売りが広がった。対米ドルは一時1.3549カナダドル、対ユーロでは1.4435カナダドル、対円では99.54円まで値を下げた。
なお、カナダ中銀(BOC)は先月25日、政策金利を市場予想通り0.25%引き上げた際の声明で、これまでの利上げの累積効果を見極めるために利上げをいったん停止する可能性を示唆している。
本日のドル円は、上げ幅を広げている米債利回りに支えられ底堅い動きになりそうだ。米国経済指標は、1月雇用統計から始まりCPI、卸売物価指数(PPI)、小売売上高、そして昨日の2月PMIがそれぞれ強い結果となったことで、再びインフレ高進のリスクが増している。今週末24日に米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視する1月の個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控えていることで、24日にかけては多少のポジション調整が入る可能性もあるだろうが、それまでは大きくドルを売る要因が少ないことで、ドル円は底堅さを維持できそうだ。もっとも、円買い要因もあることで、昨年のような一方的なドル円の上昇にはなりにくい。日本国内のインフレが徐々に速度を上げて進んでいることもあり、植田日銀新総裁候補が、これまでの黒田路線からの変更を余儀なくされそうだ。海外投資家が本邦国債を大きく売り越し、国内投資家も外債を売却し、資金を国内に回帰させていることがドル円の上値を抑えそうだ。
ドル円以外では、本日はオセアニア通貨に要注目。豪州からは日本時間の9時半に10-12月期の賃金指数が発表される。昨日公表された今月7日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨では再利上げは示唆したものの、ロウRBA総裁は先週「数週間のうちに経済情勢を再評価する」とも発言している。本日発表される10-12月期賃金指数、明日発表予定の同期・民間設備投資、そして来週3月1日発表予定の同期・国内総生産(GDP)の結果次第で、RBAの政策スタンスが急変する可能性もある。
ニュージーランド(NZ)からは、NZ準備銀行(RBNZ)が金融政策委員会(MPC)終了後の日本時間10時に政策金利を公表する。市場では0.50%の引き上げ(4.25%から4.75%)予想が優勢となっている。今月襲来したサイクロン「ガブリエル」の経済的な影響が懸念される反面、NZ財務省はサイクロンの復興需要が同国の経済活動を後押しするとの見解を示している。利上げ幅にも注目だが、政府とRBNZの見解に相違があるかを確かめるため、声明文や日本時間11時頃に予定されているオアRBNZ総裁の会見にも目を向けたい。先週、ロバートソンNZ副首相兼財務相が「インフレがピークに達したという兆候がある」と述べているが、RBNZが同じ見解を示すのかに注目。
豪・NZ両国のイベントで、値動きで注目されるのが、豪ドル/NZドルの動き。今週20日には同通貨ペアは昨年10月後半以来の高値を更新している。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 1月企業向けサービス価格指数(予想:前年比1.5%)
○10:30 ◇ 田村直樹日銀審議委員、あいさつ
<海外>
○09:30 ◎ 10-12月期豪賃金指数(予想:前期比1.0%)
○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:4.75%に引き上げ)
○11:00 ◎ オアRBNZ総裁、記者会見
○16:00 ◎ 1月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.0%/前年比8.7%)
○16:45 ◇ 2月仏企業景況感指数(予想:102)
○17:30~ ◎ 10-12月期香港GDP確定値
○18:00 ◎ 2月独Ifo企業景況感指数(予想:91.2)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23日01:00 ☆ 10-12月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比▲4.6%)
○23日03:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○23日04:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月31-2月1日分)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
21日08:25 NZ財務省
「需要の高まりはインフレ率を高める」
「RBNZが金利をより長く維持する可能性」
21日09:40 黒田日銀総裁
「実質実効為替レートは内外物価上昇率を反映」
「長い目で見た物価上昇率は諸外国より低めに推移」
「為替レートは様々な要因で変動」
「政府と緊密に連携しつつ金融・為替市場の動向を十分注視」
21日19:19 プーチン露大統領
「2024年の大統領選挙を含め、選挙は予定通り実施される」
「ロシアは新戦略核兵器削減条約参加を停止へ」
22日00:26 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「3月理事会では0.5%利上げの予定」
「政策金利がどの程度まで上がるかはデータ次第」
「ヘッドラインインフレは鈍化し始めている」
「ユーロ圏で賃金スパイラルは見られない」
※時間は日本時間
<ドル円=抵抗となりそうな90日線へ徐々に近づく>
陽線引け。目先のすう勢を示す5日移動平均線の上昇をともなう上向きの流れが続いた。昨年12月20日以来、約2カ月ぶりの高値135.23円をつけた。
とはいえ、まだ90日線と一目均衡表・転換線に挟まれたレンジでじり高ペースの動き。本日136.27円前後で推移する90日線は低下が続いており、抵抗になると考えられる。上昇が進むにしても、久しぶりの高値圏で押し戻される場面を挟む展開を想定して臨みたい。
レジスタンス2 136.27(90日移動平均線)
レジスタンス1 135.76(2022/12/19安値)
前日終値 135.01
サポート1 134.47(5日移動平均線)
<ユーロドル=転換線による上値抑制の圧力が強まりそう>
陰線引け。今後の低下が予想される一目均衡表・転換線1.0708ドルを下回る水準で重い動きとなった。転換線は来週早々にも1.06ドル台へ低下し、より上値を抑制する圧力を強めてきそう。雲の中で重い推移が続くとみる。
レジスタンス1 1.0708(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0648
サポート1 1.0613(2/17安値)
<ユーロ円=再び90日線に近づいても転換線が支えに>
陽線引け。143円付近で低下中の90日移動平均線付近での停滞を脱して、一時144円台を回復した。143.47円前後で上昇中の5日線近辺での底堅さが続くか。再び90日線に近づく重い動きとなっても、現水準141.86円から、142円台、143円台と順次切り上がることが予想される一目均衡表・転換線がやがて下支えになってくるとみる。
レジスタンス1 144.23(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 143.78
サポート1 143.03(2/20安値、90日移動平均線)
<豪ドル円=21日線や転換線を支えに下振れ回避へ>
小陰線引け。相場の強弱を判断する上での分岐点となる200日移動平均線付近の攻防となっている。伸び悩んでいるが、91.93円前後で上昇中の21日線や、一目均衡表・転換線91.64円が支えとなり、下振れは回避できそう。転換線は明日にも上昇を再開して週末には92円台へ上昇する見込み。その後も上昇傾向を続け、底堅い推移を支援するとみる。
レジスタンス1 93.05(2/15高値=年初来高値)
前日終値 92.57
サポート1 91.93(21日移動平均線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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