17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発したものの、上値が重かった。終値は134.15円と前営業日NY終値(133.94円)と比べて21銭程度のドル高水準。今週発表の米物価指標の上振れを受けて米インフレの高止まりが意識されたほか、米連邦準備理事会(FRB)高官からタカ派的な発言が相次いだことで、米利上げが長期化するとの観測が高まりドル買いが進んだ。20時30分過ぎには一時135.10円と昨年12月20日以来約2カ月ぶりの高値を付けた。
ただ、135円台で上値の重さを確認すると持ち高調整目的の売りに押された。米国の3連休を控えた週末とあってポジション調整目的の売りも観測されると、5時過ぎに134.06円付近まで下押しした。もっとも、アジア時間に付けた日通し安値133.94円はサポートされた。
なお、ボウマンFRB理事は講演で「インフレは依然として高すぎる」「インフレを目標に戻すには長い道のり」「さらなる進展が見られるまで利上げを続ける必要がある」などと述べた。
ユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.0695ドルと前営業日NY終値(1.0674ドル)と比べて0.0021ドル程度のユーロ高水準だった。FRBによる利上げが当面続くとの観測からユーロ売り・ドル買いが先行し、21時30分前に一時1.0613ドルと1月6日以来の安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。一時は3.9252%前後と昨年11月10日以来の高水準を記録した米10年債利回りが3.80%台まで低下したことがドル売りを促し、5時過ぎには1.0698ドルと日通し高値を付けた。週末を控えたポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りも入った。ビルロワドガロー仏中銀総裁は講演で「欧州中央銀行(ECB)の政策金利は夏にかけて、遅くとも9月にはピークに達するだろう」と述べた一方、「年内の利下げは問題外」などと発言。市場では「ECBが金融緩和に転じる時期が遠のいた」との見方が広がった。
ユーロ円は反発。終値は143.27円と前営業日NY終値(142.97円)と比べて30銭程度のユーロ高水準。22時前に一時143.03円付近まで下押ししたものの、そのあとはユーロドルの上昇につれた買いが入り143.56円付近まで値を上げた。
先週末、年初来高値を更新したドル円だが、米金利の高止まりを背景に下値は支えられそうだが、24日に集中する複数の注目イベントを前に、過度な円安進行は難しいか。
先週はアジア時間に、時間外の米債が売り込まれ(利回りは上昇)したが、アジア時間の動きを米国入り後は全て吐き出すなど、アジア時間でトレンドを作る難しさを市場が改めて認識した動きになった。先週末の上値トライ失敗を考えると、本日もドルを更に買い上げるには材料不足と思われる。また、本日は米国市場がプレジデンツ・デーで休場ということもあり、新たなドル買いとなる材料も不足することで、大きな動きを期待するのも難しそうだ。
今週24日のイベントだが、東京時間午前には植田次期日銀総裁候補の衆議院での所信聴取と質疑応答が予定されている。同日午後には前金融庁長官の氷見野良三氏と日銀理事の内田眞一氏から所信を聴取したうえで、質疑を行う予定。また、所信聴取前の午前8時半には本邦の1月全国消費者物価指数(CPI)が発表されることで、インフレ高進となる中で、マイナス金利の弊害についての発言を避けて通ることができないこともあり注目度が高い。
週末18日の日経新聞では、「緩和継続、徐々に修正か」と、日銀内のリフレ勢力が弱まっていることも報じている。ここ最近の日経新聞は、昨年12月17日に「政府、日銀との共同声明見直し論」を報じ、実際に12月19-20の日銀政策決定会合で長期金利の許容変動幅を拡大した。今月6日には、雨宮日銀副総裁の総裁就任はならなかったが、日経新聞は「打診」と報じ、実際に打診はされたともされている。そして、今月10日に「植田和男氏に日銀総裁の人事を固めた」ことも日経新聞がまず報じ、実際に正副総裁候補が日経新聞の記事通りとなった。このように、すべて日経新聞の先取り記事が正しい結果となっていることを鑑みると、18日の日経報道通り政府および日銀の新総裁の主導のもと、大規模金融緩和から出口に向けた地ならしになっていくということも信じるに値し、円売りから円買いに流れが変わる可能性もある。なお、24日には米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している1月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表される予定で、日米ともに24日のイベント終了までは予断が許さない1週間となりそうだ。
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○16:00 ◎ 1月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲1.0%/前年比11.8%)
◎ コア指数(予想:前月比▲1.2%/前年比9.5%)
○19:00 ◇ 12月ユーロ圏建設支出
○24:00 ◎ 2月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲19.0)
○21日04:00 ◎ ウッズ英中銀(BOE)副総裁、講演
○米国(プレジデンツデー)、カナダ(ファミリーデー)、ブラジル(カーニバル)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
17日08:36 ロウRBA総裁
「豪準備銀行(RBA)の政策金利引き上げは、まだ終わっていない」
「インフレ率の上昇は景気を悪化させるため、必要な措置をとる」
「雇用指標がさらに悪化した場合、労働市場の逼迫という見方を再考」
「金融政策を緩やかにする必要があれば、行うだろう」
「数週間のうちに経済情勢を再評価する」
「政策見通しには偏見はない」
「RBAは政策調整に柔軟性がある」
17日08:58 鈴木財務相
「金融理論・実務両面で高い見識の植田氏が次期日銀総裁に最適任」
「政府・日銀共同声明は新総裁決まっていない段階で申し上げること控える」
「G7財務相会合開催については適切に判断。各国との調整は最終段階」
17日09:12 メスター米クリーブランド連銀総裁
「インフレ以外のリスクあるが、引き続きインフレが焦点」
「リセッションは起こる可能性あるが、自身の予想では織り込まず」
17日09:29 ロバートソン・ニュージーランド(NZ)副首相兼財務相
「(サイクロンによる損害について)政府はインフラ再築のための費用を分担する」
「(サイクロンは)初期インフレに影響を及ぼすだろう」
「インフレがピークに達したという兆候がある」
「高インフレは全ての国民へ悪影響」
17日16:56 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「3月会合での0.50%利上げがかなり必要である」
「市場がインフレを過小評価する危険性を指摘」
「広義のディスインフレプロセスはまだ始まっていない」
17日21:32 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「コミュニケーションでより予測可能になることを目指す必要」
「政策について短期の見通しを示すこともできる」
「インフレは持続する可能性がある」
17日23:02 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「需要が正常化し、インフレに一定の進展が見られる」
「労働市場は依然としてかなり強い」
「前回のFOMC会合では25bpの利上げを支持」
「データに柔軟な対応が可能である25bpずつの利上げが望ましい」
17日23:53 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「経済状況に関する多くの一貫性のないデータが見られる」
「インフレに関して必要なことは見えていない。数字が振れている」
「インフレを目標に戻すには長い道のり」
「インフレは依然として高すぎる」
「さらなる進展が見られるまで利上げを続ける必要がある」
「利上げのコストは需要と供給のバランスをとるために必要」
「金利はまだ十分に高くない」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線・90日線に挟まれ次の方向うかがう>
上影小陽線引け。一時135.10円と昨年12月20日以来、約2カ月ぶりの高値をつけた。135円台では相応の戻り売り圧力にさらされ、押し戻されて週の取引を終えている。
テクニカル的には上昇傾向の一目均衡表・転換線132.46円と、136.59円前後で低下中の90日移動平均線に挟まれたレンジでしばらく推移し、次に動き出す方向を探るような状態に見える。動きにくさは感じられるが目先のすう勢を示す5日移動平均線が133.94円前後と、まだ上昇中であり、上値を試す流れは続いているともいえる。
レジスタンス1 135.10(2/17高値=年初来高値)
前日終値 134.15
サポート1 133.61(2/16安値)
サポート2 132.46(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線が重し、1.07ドル台に定着しにくいか>
下影小陽線引け。1.0613ドルまで下振れた。しかし一目均衡表・雲の中に入った同水準で下げ渋り、雲の上へ浮上して週引けとなった。本日1.0679ドルに位置する雲の上限付近の底堅さを期待するが、低下が予想される一目・転換線1.0708ドル前後では動きが重くなりそう。1.07ドル台への定着は容易ではないと予想する。
レジスタンス1 1.0745(2/15高値)
前日終値 1.0695
サポート1 1.0613(2/17安値)
<ユーロ円=90日線に追随するような下押しも視野>
下影小陽線引け。143.10円台で低下中の90日移動平均線を上回ったものの、同抵抗をこなしても上昇に弾みがつくような状態にはなっていない。90日線の低下に追随するように調整の下押しが進む展開も視野に入れて臨みたい。ただ、一目均衡表・雲の上限142.25円や上昇が予想される一目・転換線141.62円が控えており、大きな下振れは回避できそう。16日安値なども、下げ渋りのポイントになるか。
レジスタンス1 144.02(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 143.27
サポート1 142.86(2/16安値)
<豪ドル円=下押しが転換線付近までにとどまるか注目>
下影小陽線引け。93円台で推移する200日移動平均線を回復しきれなかったところから下押しが進み、92.10円付近で低下中の90日線前後の攻防となっている。90日線とともに下値を探る展開が想定しやすい。上昇が先行しそうな一目均衡表・転換線付近で下げ渋ることができるかが焦点か。
レジスタンス1 92.74(2/16高値)
前日終値 92.28
サポート1 91.64(日足一目均衡表・転換線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
フォレックス・ドットコムでは、ノックアウトオプション、FX、株価指数CFDを取引いただけます。
口座開設は以下のステップで行えます。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。