14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。終値は133.16円と前営業日NY終値(132.42円)と比べて74銭程度のドル高水準。1月米消費者物価指数(CPI)が総合・コアともに前年比で予想を上回ると、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が改めて意識されてドル買いが優勢となった。米CPI発表直後には一時131.52円と日通し安値を付ける場面もあったが、下押しは限定的。FOMCで投票権を有するローガン米ダラス連銀総裁が「必要であれば予想以上に長く利上げを続ける用意がある」と述べたことも相場の支援材料となり、2時30分過ぎに一時133.32円と1月6日以来の高値を付けた。FOMCで投票権を有するハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が「FRBによる一連の利上げはまだ終わっていないが、近いうちに終了する可能性が高い」と述べたと伝わると132.85円付近まで上げ幅を縮めたものの、その後「本日のCPIデータはインフレが急速に下がらないことを示唆」と発言すると再び133円台に乗せた。ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「現在のインフレ率は依然として高すぎる」「インフレ率が2%に戻るには数年かかる」と述べたことも相場を下支えした。
ユーロドルは小幅ながら続伸。終値は1.0738ドルと前営業日NY終値(1.0723ドル)と比べて0.0015ドル程度のユーロ高水準。1月米CPIの上振れで米10年債利回りが一時3.7952%前後と1月3日以来の高水準を付けると全般ドル買いが優勢となり1.0707ドルと日通し安値を更新した。もっとも、ドル円と同様に米CPI発表直後にはドル売りが強まり、1.0803ドルと日通し高値を付ける場面があった。
ユーロ円は続伸。終値は142.92円と前営業日NY終値(141.99円)と比べて93銭程度のユーロ高水準。2時30分過ぎに一時142.95円まで値を上げた。日銀の次期総裁に起用される見通しとなった植田和男氏が先週、「当面は金融緩和を続ける必要がある」との認識を示したことで、金融緩和策の修正に対する警戒感が緩和しており、この日も円売りが出やすかった。
ポンド円は一時162.18円、豪ドル円は93.04円、NZドル円は84.42円、カナダドル円は99.81円、スイスフラン円は144.53円、メキシコペソ円は7.20円まで値を上げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米1月CPIを受けたFRBの利上げ継続観測と日銀による金融緩和路線の継続観測から堅調推移が予想される。
米1月CPIは前月比+0.5%で予想通りだったが、前年比は+6.4%で予想の+6.2%を上回った。WSJ紙「FEDウォッチャー」のニック・ティミラオス記者がツイートで警告していたように、「季節性残差(residual seasonality)」という統計的要因や新たな加重方法などで大幅に上振れることはなかった。しかし、予想を大幅に上回った1月の雇用統計や堅調な個人消費などと併せて、FRBの昨年からの4.50-75%までの断続的な利上げにもかかわらず、物価上昇圧力が緩和されていないことが示唆された。米国1月の雇用統計とCPIは、追加利上げと金利を当面高く維持する必要性を強調した米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やパウエルFRB議長の見解を裏付けており、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%以上になる可能性を高めている。ウィリアムズ米NY連銀総裁は、「現在のインフレ率は依然として高すぎる。年末のFF金利の見通しは5.0%から5.5%の間」と述べている。
また、バイデン米大統領は、ブレイナードFRB副議長をホワイトハウスの国家経済委員会(NEC)委員長に指名した。ブレイナードFRB副議長はNEC委員長として、イエレン米財務長官と共に、2024年の米大統領選挙に向けて経済政策運営で重責を担うことになる。当面の課題はインフレ抑制法(IRA)によるインフレの撲滅となることで、FRBに対してもインフレ抑制の圧力をかけ続けることになる。
ドル円、ユーロドル、ポンドドルのテクニカル分析では、米国のインフレ鈍化傾向やパウエルFRB議長の「ディスインフレ」への言及を反映した「半値戻し(押し)」までの調整を終えて、ドル高トレンドへの回帰が示唆されている。
ドル円は102.59円から151.95円までの上昇幅の半値押し127.27円付近で下げ止まり、ユーロドルは1.2349ドルから0.9536ドルまでの下落幅の半値戻し1.0943ドル付近で上げ止まり、ポンドドルも1.4248ドルから1.0350ドルまでの下落幅の半値戻し付近で上げ止まっている。すなわち、ドルの反落は調整局面に過ぎず、「半値戻し(押し)は全値戻し(押し)」の格言通りに、ドルの復活劇が示唆されている。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○13:30 ◇ 12月第三次産業活動指数(予想:前月比0.1%)
<海外>
○09:15 ◎ ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、議会証言
○16:00 ◎ 1月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.4%/前年比10.3%)
○16:00 ◎ 1月英CPIコア指数(予想:前年比6.2%)
○16:00 ◇ 12月英小売物価指数(RPI、予想:前月比▲0.2%/前年比13.2%)
○16:00 ◎ 10-12月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比0.8%)
○17:00 ◎ 1月南アフリカCPI(予想:前月比▲0.1%/前年比6.9%)
○18:30 ◎ 1月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.8%/前年比▲0.7%)
○19:00 ◇ 12月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前125億ユーロの赤字/季節調整済160億ユーロの赤字)
○20:00 ◇ 12月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲0.1%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:15 ◇ 1月カナダ住宅着工件数(予想:24.00万件)
○22:30 ◇ 12月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.8%)
○22:30 ◇ 12月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲1.8%)
○22:30 ☆ 1月米小売売上高(予想:前月比1.8%/自動車を除く前月比0.8%)
○22:30 ◎ 2月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:▲18.0)
○23:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:15 ◎ 1月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
◇ 設備稼働率(予想:79.0%)
○24:00 ◇ 12月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○24:00 ◎ 2月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:37)
○16日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○16日03:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○16日06:00 ◎ 12月対米証券投資動向
○北大西洋条約機構(NATO)国防相会議(ブリュッセル、最終日)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
14日09:32 西村経産相
「(日銀総裁人事について)デフレから脱却し、アベノミクスを仕上げていくことを期待する」
14日09:35 鈴木財務相
「(10-12月期GDPについて)ウィズコロナのもとで景気が緩やかに回復していること示された」
「景気の持ち直しが期待されるが、海外景気の下振れが日本への下押しリスク」
14日16:16 松野官房長官
「日銀人事、適切な金融政策運営行う方を念頭に検討した」
「日銀には引き続き適切な金融政策運営を期待」
14日16:42 植田和男・元日銀審議委員
「国会承認得られれば、誠心誠意頑張る」
14日21:14 マクルーフ・アイルランド中銀総裁
「ECBの金利はある水準に達したら、しばらく留まると予想」
「今年の利下げ観測はまさに行き過ぎた考え」
「3.5%を超える金利の引き上げあり得る」
14日23:51 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「我々が望まない高インフレ継続の可能性」
「インフレを目標に戻すにはしばらく時間がかかる」
「インフレが落ち着いた場合、金利はピークに達しない可能性。すべてはデータ次第」
15日01:10 ローガン米ダラス連銀総裁
「必要であれば予想以上に長く利上げを続ける用意がある」
「インフレ率が持続可能に2%へ低下するという証拠を確認するまで緩やかな利上げを継続する必要」
「政策金利のピークや金利の道筋を固定化すべきではない」
15日03:17 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「GDP成長率は緩やかだが、リセッションを予測せず」
「今年の失業率はわずかに4%を超える見込み」
「今年のある時点で、政策金利は十分制限的になり、維持されると予想」
「FRBの行動はまだ完了していないが、近づいている」
「本日のCPIデータはインフレが急速に下がらないことを示唆」
「(金利)5%をどれほど超える必要があるかはデータ次第」
「金利上昇で労働需要が弱まるだろう」
「しばらくの間、0.25%利上げ継続で5%を超える必要」
15日04:47 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「FRBにはまだインフレを制御する方法がある」
「インフレ率の低下は成長率の低下と失業率の上昇を意味」
「現在のインフレ率は依然として高すぎる」
「基調的なインフレ率も高すぎる」
「今年のコアPCEインフレ率は3%に達すると予想」
「インフレ率が2%に戻るには数年かかる」
「失業率は今後1年間で4-4.5%に上昇すると予想」
「雇用市場は非常に逼迫、賃金は上昇」
「最近のデータはさらなる利上げの主張をサポート」
15日 06:11
「しばらくの間、制限的な金利が必要」
「年末のFF金利の見通しは5から5.5%の間」
「インフレ率の低下を反映して2024年もしくは25年に利下げする可能性」
※時間は日本時間
<ドル円=2/14安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。雲の中で引けたものの、転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回っているため買いシグナルが優勢な展開となっている。2手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は133.00円の雲の下限を念頭に、14日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 135.76(2022/12/19安値)
レジスタンス1 134.77(1/6高値)
前日終値 133.16
サポート1 131.52(2/14安値)
サポート2 130.83(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を下回ったものの、遅行スパンが実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開。2手連続で陽線を作っている。しかし、転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0845(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0738
サポート1 1.0620(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロ円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。くわえて2手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は142円前半の雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 143.82(2022/12/19安値)
前日終値 142.92
サポート1 142.26(日足一目均衡表・雲の上限)
豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。2手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 94.14(2022/11/23高値)
前日終値 93.01
サポート1 91.64(日足一目均衡表・転換線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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