10日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは反落。終値は1.0678ドルと前営業日NY終値(1.0740ドル)と比べて0.0062ドル程度のユーロ安水準だった。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの観測が後退する中、米10年債利回りが一時3.7492%前後と1月6日以来の高水準を記録すると全般ドル買いが先行。米ミシガン大学が発表した2月消費者態度指数(速報値)が66.4と予想の65.0を上回り、併せて発表された1年先の期待インフレ率が4.2%と予想の4.0%を上回ったこともドル買いを誘った。2時前には一時1.0666ドルと日通し安値を更新した。
なお、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事は「さらなる利上げはインフレを目標に戻すのに寄与する」「インフレ率を2%の目標にタイムリーに戻すために、利上げ方針を維持」などと述べたが、相場の反応は限られた。
ドル円は3営業日ぶりに小反落。終値は131.36円と前営業日NY終値(131.59円)と比べて23銭程度のドル安水準だった。日銀の次期総裁人事を巡る報道を受けて、欧州市場序盤には129.81円まで急落する場面があった。ただ、NY市場に限れば底堅い展開だった。良好な米経済指標や米長期金利の上昇が相場を下支えし、一時131.60円付近まで持ち直した。
なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するハーカー米フィラデルフィア連銀総裁はこの日、「FRBはFF金利を5%超の水準に引き上げてから、利上げをいったん停止するべき」「FRBは現在、0.50%の利上げを必要としていない」などと発言した。
カナダドルは全面高。ロシアが原油減産の方針を発表したことでWTI原油先物価格が上昇すると、産油国通貨とされるカナダドルには買いが先行した。1月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が15.00万人増と予想の1.50万人増を大幅に上回り、失業率が5.0%と予想の5.1%より強い内容だったことが分かるとカナダドル買いが活発化。対米ドルでは一時1.3338カナダドル、対ユーロでは1.4243カナダドル、対円では98.58円まで値を上げた。
ユーロ円は3日ぶりに反落。終値は140.39円と前営業日NY終値(141.32円)と比べて93銭程度のユーロ安水準。ただ、NY市場に限ればもみ合いの展開だった。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、重要な経済指標や要人発言の予定がない中、明日14日に政府が日銀正副総裁の人事案を衆院議院運営委員会の理事会に提示することや米1月消費者物価指数(CPI)の発表を控えて動きづらい展開が予想される。
先週のドル円は、6日(月曜日)の「雨宮現副総裁に総裁を打診」との報道を受けて、132.90円まで上昇したが、10日(金曜日)の「元日銀審議委員の植田和男氏を起用する人事」との報道を受けて、129.81円まで下落した後、131円台に戻して引けている。
植田第32代日銀総裁が誕生した場合、FRB副議長やイスラエル中銀総裁を務めた著名経済学者スタンレー・フィッシャー氏のマサチューセッツ工科大学(MIT)の教え子として、バーナンキ第14代FRB議長、ドラギ第3代ECB総裁、ロウRBA総裁に続く4人目の中銀総裁となる。これまでの植田元日銀審議委員の見解を確認しておきたい。
■2023年2月10日
「現在の日銀の政策は適切であり、現状では金融緩和の継続が必要であると考えている」
■2022年7月日経新聞のコラム
「難しいのは、長期金利コントロールは微調整に向かない仕組みだという点である」
「異例の金融緩和枠組みの今後については、どこかで真剣な検討が必要だろう」
「拙速な引き締めは避けるべき」
「2%インフレの持続的な達成には程遠い」
「円安回避のための利上げは景気悪化招く」
「世界経済の減速が金融政策変更の重荷」
■2019年4月日経新聞のコラム
「低インフレ続きインフレ予想は低位安定」
「FRB検討の平均インフレ目標政策は疑問」
「危機対応の金融緩和が次のバブルの種に」
■2018年8月日経新聞のコラム
「長短金利操作やETF購入の副作用懸念」
「実質は極めて弱いフォワードガイダンス」
「物価低迷長引くほど対策の副作用は強く」
植田氏は、日銀審議委員時代に、日銀の金融引き締めのトラウマとなっている「ゼロ金利政策の解除」に反対しており、当時の反対理由も確認しておきたい。
・株式市場の動向等をもう少し見極めたい
・一定の前提に基づき試算した適正な金利水準が漸くゼロ近傍に達したという状況であり、これがもう少しはっきりとプラスになるまで待ちたい
・足許のインフレ動向から判断して、「待つこと」のコストは大きくない
<国内>
特になし
<海外>
○09:00 ◎ 10-12月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率0.3%)
○16:00 ◇ 12月トルコ経常収支(予想:55.0億ドルの赤字)
○16:30 ◎ 1月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○21:00 ◎ 1月インドCPI(予想:前年比5.90%)
○22:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○14日01:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
10日10:02 黒田日銀総裁
「賃金上昇率は高まっていくものと見ている」
「足もとの4%のCPI上昇率、輸入物価要因がほとんど」
10日10:06 ロドリゲス・メキシコ中銀総裁
「CPIの減速は予想よりも時間がかかる」
「インフレは第4四半期にピークを迎えた」
「次回の利上げ幅はより小さくなると予想」
10日10:55 立憲民主党の安住・国会対策委員長
「日銀総裁人事案、14日に国会提示」
「国会聴取は24日を軸に調整」
10日10:59 自民党の高木氏
「日銀人事、14日11時の議院運営委員会理事会で内示」
10日11:25 鈴木財務相
「日銀国債購入が前提の財政運営が適切とは全く考えていない」
「日銀との共同声明見直しは、今の時点で話すのは時期尚早」
「共同声明の取り扱いは、次期総裁とも議論する必要がある」
10日13:03 日本銀行
「2月14日に5年物の共通担保資金供給オペレーションを実施」
10日14:20 雨宮日銀副総裁
「あくまで持続的・安定的な物価目標の実現を目指す」
「持続的・安定的な物価目標の達成には距離がある」
「YCCには副作用がある」
「イールドカーブの歪みが残っているが、改善に向かっている」
「基本的に現在の金融緩和を維持することが適当」
「現段階ではさらなるYCCの柔軟化が必要とは考えていない」
「ETF処理含めた出口戦略について議論するのは時期尚早」
10日18:21 植田和男・元日銀審議委員、次期日銀総裁の有力候補
「現在の日銀の金融政策は適切、緩和の継続が必要」
10日19:34 ロシア中銀
「今後数回の会合で利上げを検討する可能性がある」
10日21:39 ナビウリナ・ロシア中銀総裁
「利下げは今日議論されなかった」
「ロシアGDPは今年の半ばにプラスに転じるだろう」
「主要銀行に対する追加の資本注入の必要性は低下している」
10日23:14 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「さらなる利上げはインフレを目標に戻すのに寄与する」
「インフレへの取り組みは我々の最優先事項」
「インフレ率を2%の目標にタイムリーに戻すために、利上げ方針を維持」
「金融政策を引き締めることで、高インフレに対抗する必要がある」
11日02:53 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「FF金利が5%を超えてから利上げを一時停止」
「私の基本的なシナリオではリセッションはない」
「FF金利が5%をどの程度上回らなければならないかは不明」
「FRBは現在、0.50%の利上げを必要としていない」
※時間は日本時間
<ドル円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。基準線が低下し転換線が同線を上回ったものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで売りシグナルが優勢な展開。しかし、抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は、130円半ばで横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 133.00(日足一目均衡表・雲の下限)
レジスタンス1 132.71(2/7高値)
前日終値 131.36
サポート1 130.50(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 129.12(2/2高値)
<ユーロドル=転換線が抵抗、三役好転が消滅の可能性も>
陰線引け。転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。本日1.0730ドル未満で引ければ、遅行スパンが逆転し三役好転が消滅する。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0850(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0678
サポート1 1.0612(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けているため、売りシグナルが優勢な展開。抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 141.28(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 140.39
サポート1 139.06(1/20安値)
<豪ドル円=2/7高値を抵抗に戻り売りスタンス>
下影陰線引け。雲の中で引けているものの、一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回っているため買いシグナルが優勢な展開。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線91.24円を念頭に置き、7日高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.95(2/7高値)
前日終値 90.91
サポート1 89.91(日足一目均衡表・雲の下限)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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