8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。終値は131.40円と前営業日NY終値(131.07円)と比べて33銭程度のドル高水準だった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が前日のインタビューで「ディスインフレのプロセスが始まった」と発言したことが意識されて、欧州市場では一時130.60円まで値を下げた。
ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢に。米10年債利回りが一時3.6904%前後と約1カ月ぶりの高水準を記録したことがドル買いを誘ったほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁がイベントで「インフレ抑制には数年間、十分に制限的な政策スタンスを維持する必要」と述べたことが相場の支援材料となった。1時前に一時131.54円と日通し高値を更新した。
10年債入札が好調だったことを受けて米10年債利回りが低下に転じると、ドル円も131.09円付近まで伸び悩んだものの、下押しは限定的だった。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「一部の人々が予想しているよりも長い間、高い金利が必要になる可能性がある」と述べたことが相場を下支えした。
ユーロドルは小幅下落。終値は1.0712ドルと前営業日NY終値(1.0726ドル)と比べて0.0014ドル程度のユーロ安水準だった。欧州序盤に一時1.0761ドルまで値を上げたものの、前日の高値1.0766ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。FRB高官らのタカ派的なコメントも相場の重しとなり、一時1.0710ドルと日通し安値を更新した。
なお、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁はこの日、「市場はインフレ傾向に関して楽観的すぎる可能性」「3月以降の追加利上げを除外しない」と述べたほか、クノット・オランダ中銀総裁は「5月に0.50%の利上げが必要になる可能性」などと発言。また、カザークス・ラトビア中銀総裁は「3月以降の利上げを休止または停止する理由はない」と語ったが、相場の反応は限られた。
ユーロ円は反発。終値は140.77円と前営業日NY終値(140.60円)と比べて17銭程度のユーロ高水準。20時30分過ぎに一時140.38円付近まで売られたものの、アジア時間に付けた日通し安値140.29円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。1時前には141.03円と日通し高値を更新した。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入った。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米10年債利回りの動向を睨みながらの展開が予想される。
テクニカル分析で、それぞれの現在位置を確認しておきたい。
ドル円は、昨年10月21日の高値151.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成しつつあり、ネック・ライン(1)130.41円を巡る攻防戦が続いている。
現状は、第3波動(102.59円~151.95円)の半値押し127.27円が1月16日の安値127.23円で示現して、「半値戻し(押し)は全値戻し(押し)」の相場格言通りに反発し、ダブル・ボトム(127.23円・128.09円)を完成させつつあることで、上昇トレンドが再開する可能性(第5波動?)が高まりつつある。
米10年債利回りも昨年10月21日の4.335%を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成しつつあり、ネック・ライン3.558%の攻防戦となっている。
日本国債10年物利回りは、ダブル・ボトム(▲0.291%・▲0.289%)が完成しており、上昇基調にある。
ユーロドルは、0.9536ドルから61.8%戻しの1.1274ドルを目処とする反発局面にあるが、ベアリッシュ・ウェッジ・フォーメーションを形成しつつあることで、反落の可能性が高まりつつある。
ポンドドルは、反発局面を形成していたものの、ダブル・トップ(1.2446ドル・1.2448ドル)が完成しつつあることで、反落の可能性が高まりつつある。
昨日発表された2022年暦年の経常収支は、11兆4432億円の黒字となり、前年の21兆5910億円から10兆1478億円減少した。原油価格の上昇や円安による輸入物価の上昇で、貿易赤字が21兆3881億円に拡大したことが背景にある。「第一次所得収支」(対外金融資産による利子・配当金)は35兆3087億円まで大幅に拡大したものの、海外の金利上昇を受けた本邦資本筋の債券売却が19兆2710億円だった。
本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は9兆1880億円で、9月22日(2兆8382億円)、10月21日(5兆6202億円)、10月24日(7296億円)の3営業日に行われ、円安を阻止している。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 1月マネーストックM2
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:01 ◇ 1月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲45)
○16:00 ◎ 1月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.8%/前年比8.9%)
○17:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○17:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:3.00%に引き上げ)
○18:45 ◎ ベイリー・イングランド銀行(英中銀、BOE)総裁、議会証言
○21:00 ◎ 1月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比7.89%)
○21:00 ◎ 1月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比5.80%)
○21:00 ◎ 12月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.4%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.0万件/165.8万人)
○10日02:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○10日03:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○10日03:00 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○10日03:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○10日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:10.75%に引き上げ)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、10日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
8日11:12 バイデン米大統領
「債務上限問題で米国をデフォルト(債務不履行)させない」
8日11:50 岸田首相
「日銀総裁人事、金融市場への影響に細心の注意を払いつつ人選中」
「経済政策の基本的方向に関わるもので、発信力が格段に重要になってきている」
8日13:53 ダス・インド中銀総裁
「2024年度のインフレは目標の4%を上回り続けると予想」
「2024年度のGDP成長率は+6.4%と予想」
「6名中、4名が0.25%利上げに賛成した」
「2023年度のインフレ率は+6.5%、2024年度は+5.3%と予想」
「インフレリスクは概ね均衡」
8日14:34 格付け会社フィッチ・レーティングス
「2023年の中国GDP成長率を+4.1%から+5.0%に上方修正」
8日19:51 ノバク露副首相
「EUのロシア産石油製品への制裁に対抗する措置を3月1日までに決定する予定」
「2月のロシアの石油生産量は1月の水準に沿ったもの」
8日22:16 ハリス米副大統領
「バイデン大統領は2024年の大統領選に出馬の意向」
8日23:10 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「市場はインフレ傾向に関して楽観的すぎる可能性」
「賃金スパイラルは回避しなければならない」
「3月以降の追加利上げを除外しない」
8日23:27 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「インフレ制御のため、まだやるべきことがある」
「5-5.25%のピークレートは依然として妥当な見解」
「インフレ抑制には数年間、十分に制限的な政策スタンスを維持する必要」
8日23:56 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレは依然として高すぎる」
9日00:08 クノット・オランダ中銀総裁
「5月に0.50%の利上げが必要になる可能性」
9日02:41 カザークス・ラトビア中銀総裁
「3月以降の利上げを休止または停止する理由はない」
「金利は大幅に制限的な水準に達しなければならない」
9日03:11 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「今年のある時点でFF金利が5%を超えると予想」
「リセッションを引き起こしたくはないが、我々にはやるべきことがある」
9日03:44 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレは依然として非常に高いため、さらに多くのことを行う必要」
「一部予想よりも長い間、高い金利が必要になる可能性」
「見通し変更前に、さらなるインフレの緩和が必要」
「しばらくの間、引き締め政策を維持する必要」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯した。しかし、孕み線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 132.93(日足一目均衡表・雲の下限)
レジスタンス1 132.71(2/7高値)
前日終値 131.40
サポート1 130.50(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 129.12(2/2高値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、5手連続陰線で下落し転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0851(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0712
サポート1 1.0634(1/9安値)
<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開。孕み線で反発したものの、転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 141.47(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 140.77
サポート1 139.94(2/3安値)
<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開。しかし、5手連続陰線で下落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 91.56(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 91.00
サポート1 90.47(日足一目均衡表・基準線)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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