7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。終値は131.07円と前営業日NY終値(132.66円)と比べて1円59銭程度のドル安水準だった。しばらくは132.00円を挟んだもみ合いの展開が続いていたが、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円買いのフローが観測されると、前日の安値131.52円を下抜けた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がエコノミック・クラブ・オブ・ワシントンDCのイベントでインタビューに応じ、「ディスインフレのプロセスが始まった」との認識を改めて示し、「2023年はインフレが大幅に鈍化する年になる見通し」などと述べると、米長期金利の低下とともにドル売りが活発化。3時前に一時130.48円まで下げ幅を広げた。
ただ、パウエル議長が前週末の1月米雇用統計について「あれほど強いとは予想していなかった。インフレが2%に戻るまでに長い道のりがあることを明確に示した」と発言し、「好調な労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性がある」との考えを示すと、一転ドルを買い戻す動きが優勢となった。4時前には131.48円付近まで下げ渋った。
なお、3時前に3.59%台まで低下した米10年債利回りは上昇に転じ、6時過ぎには3.6886%前後と約1カ月ぶりの高水準を記録した。
ユーロドルは横ばい。終値は1.0726ドルと前営業日NY終値(1.0726ドル)と同水準だった。欧州時間発表の12月独鉱工業生産が予想を下回ったことで全般ユーロ売りが先行。カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が「インフレ抑制に必要な金利のピークは引き続き5.4%前後と予想する」と発言したことなども相場の重しとなり、24時30分過ぎに一時1.0669ドルと1月9日以来の安値を更新した。
ただ、パウエル議長が「ディスインフレのプロセスが始まった」と述べ、前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で示したインフレ減速の見方をおおむね維持すると、ユーロ買い・ドル売りが優勢に。3時前には1.0766ドルと日通し高値を更新した。
もっとも、パウエル議長が労働市場のデータ次第ではピーク金利がさらに上昇する可能性を示唆すると、1.0688ドル付近まで押し戻された。
ユーロ円は3日ぶりに反落。終値は140.60円と前営業日NY終値(142.28円)と比べて1円68銭程度のユーロ安水準。独経済指標の下振れをきっかけに円買い・ユーロ売りが先行。ロンドン・フィキシングに絡んだ円買いのフローが観測されると一時140.29円と日通し安値を更新した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、11時から予定されているバイデン米大統領の一般教書演説を聞きながら、日米10年債利回りの動向に連れた展開が予想される。
昨日のドル円は、東京市場では12月の名目賃金の上昇が円買い要因となり、ニューヨーク市場ではパウエルFRB議長のディスインフレへの言及がドル売り要因となったことで、月曜日に空けた窓(131.20円-131.52円)を埋めて、130.48円まで下落した。
パウエルFRB議長は、「ディスインフレのプロセスが始まった。2023年はインフレが大幅に鈍化する年になる見通し」というハト派発言、「好調な労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性がある」というタカ派発言を織り交ぜており、市場を混乱させている。
来週発表される米国1月の消費者物価指数(CPI)で米国のインフレ動向を見極めて、ドルの方向性を確認することになるのかもしれない。
日本の昨年12月の名目賃金(現金給与額)が前年同月比+4.8%増加し、物価変動の影響(▲4.8%)を除いた実質賃金はボーナスの増加幅拡大の影響で+0.1%と9カ月ぶりにプラスに転じたことで円買いが優勢となった。すなわち、黒田日銀総裁が利上げの条件としている「賃金上昇を伴う物価上昇」にやや近づいたことで、円買い要因となった。
本日8時50分に発表される日本の12月国際収支では、12月の貿易赤字が減少していたことで、前月比で黒字幅の増加が見込まれている。昨日発表された日本の1月の上中旬の貿易赤字は、3兆1452億円となり、昨年同時期の1兆7097億円から84%増加しており、1月のドル円の下値を支える要因となっている。2022年の貿易赤字は19兆9713億円となり、過去最大を記録して円安要因となった。
経常黒字は、2022年1-11月までで(で)11兆4100億円で、2021年の21兆5910億円からほぼ半減している。経常黒字の縮小(貿易赤字拡大)は、円安要因、拡大(貿易赤字縮小)は円高要因となることで、今年も要注目となる。
財務省は昨日、昨年10-12月分の日次ベースの介入実績を発表し、10月21日の介入金額が1日当たりで過去最大の5兆6202億円、10月24日の7296億円と合わせて、10月合計では6兆3499億円となり、月間での最大記録を更新していることが判明した。
9月22日には2兆8382億円の介入が行われており、合計9兆1880億円のドル売り・円買い介入が実施されたことで、ドル円は昨年10月21日の高値151.95円から反落した。
しかし、実需の円売りである貿易赤字は、年間で過去最大の19兆9713億円だったので、過去最大の円買い介入9兆1880億円でも、10兆円超打ち消すことが出来ず、ドル円が下げ止まる要因となっている。円買い介入の原資である外貨準備高は、1月末で1兆2502億ドル(@132円=約165兆円)もあることで、ドル円の上値は限定的なのかもしれない。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 12月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前984億円の黒字/季節調整済1兆2363億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:1兆1157億円の赤字)
○14:00 ◇ 1月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数48.2/先行き判断指数47.6)
<海外>
○11:00~ ◎ バイデン米大統領、一般教書演説
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%に引き上げ)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:15 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、イベントに参加
○23:30 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○24:00 ◇ 12月米卸売売上高(予想:前月比▲0.3%)
○24:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○24:00 ◎ バーFRB副議長(金融監督担当)、ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○9日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○9日01:00 ◎ 12月ロシア失業率(予想:4.0%)
○9日02:30 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○9日03:00 ◎ 米財務省、10年債入札
○9日03:45 ◎ ウォラーFRB理事、討議に参加
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
7日05:10 米ホワイトハウス報道官(一般教書演説ファクトシート公表)
「バイデン大統領は企業の自社株買いへの追加課税を促す。ビリオネアへの最低課税を提案へ」
7日05:34 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「雇用統計の結果はピークレートの一段の上昇の可能性を高める」「FRBの主要な仕事はインフレ制御」
「あと2回の利上げが基本シナリオ」
7日09:58 松野官房長官
「(日銀正副総裁人事提出方法や時期について)国会で決めるものと承知」
7日10:06 鈴木財務相
「為替介入は投機による過度な変動に適切に対応」
「為替介入は一定の効果があった」
「(日銀総裁人事)最適な方を選任する。報道は承知、事実関係は何も聞いていない」
7日12:33 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「インフレ率が目標値に戻り、この高インフレの時期が一時的なものに過ぎないことを確認するために、今後数カ月の間にさらなる利上げが必要」
「将来の利上げの規模は、引き続き今後のデータとインフレ、労働市場の見通しに関する理事会の評価によって決定」「インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはなく、そのために必要なことを行う」
「強い内需が経済の多くの分野でインフレ圧力に拍車をかけている」「今年は、世界的な要因と内需の成長鈍化の双方により、インフレ率は低下すると予想」
「今年のCPIは4.3%に低下し、2025年半ばには3%程度になると予想」「2023年と2024年にかけてGDP成長率は1.5%程度に減速すると予想」
「労働市場は依然として非常にタイト」
「労働コストと価格設定の動向を引き続き注視」
7日19:10 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「インフレのピークからそれ程離れてはいない」
7日20:46 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「1月の雇用統計に驚いた 」
「我々の行動が労働市場に与える影響はあまり見られない」「今のところ金利の予測は変えていない」
「インフレがもっと下降傾向にあるという証拠をもっと見たい」「サービス部門は依然として非常に堅調」
「労働市場を均衡させなければならないが、まだ十分にできていない」
「誰も一つの報告書に過剰反応すべきではないが、サービス部門の底力はある」
「賃金の伸びが緩やかな中で、強い雇用の増加が起こるとは想像しがたい」
7日23:35 ナーゲル独連銀総裁
「一段の大幅利上げが必要」
「早期利上げを止めてはならない」
「金利はまだ制限的な領域にはない」
「インフレの問題が解決したと考えるのは危険」
「利下げは予見可能な将来の議題にない」
8日02:25 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「3月は0.50%の利上げを行う意向」
「インフレのモメンタムは依然として非常に高い」
「コア・インフレを特に注視」
「インフレの減速はまだECBの政策とは関係がなく、むしろエネルギーによるもの」
8日02:35 マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁
「過度の景気減速を避けるため、利上げ停止が必要」
「賃金の伸びは4%から5%の間で横ばい」
「消費の伸びは2022年下期に大幅に鈍化」
「労働市場の逼迫は2022年半ばにピークに達した」
「CPIが期待通りに低下しない場合、再び利上げする準備ができている」
8日02:46 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「さらなる利上げを行う必要があるだろう」
「商品部門でディスインフレ・プロセスが始まった」
「ディスインフレのプロセスはおそらく不安定になるだろう」「ディスインフレ・プロセスにはまだ長い道のりがある」
「利上げ継続は適切」
「十分に景気抑制的な金利水準にはまだ達していない」
「2%のインフレ目標の変更は考えていない」
「インフレが2%に近づくのは2024年以降になるだろう」
「労働市場が軟化することを期待」
「強い労働市場のデータが続けば、ピーク金利は上昇する可能性」
「インフレ率2%達成には長い道のり」
※時間は日本時間
<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開。抱き線で反落し窓を埋めたものの、転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 133.36(日足一目均衡表・雲の下限)
レジスタンス1 132.90(2/6高値)
前日終値 131.07
サポート1 130.50(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 129.12(2/2高値)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
寄引同事線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。しかし、3手連続陰線で下落した後、寄引同事線で下げ止まったものの、転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0851(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0726
サポート1 1.0634(1/9安値)
<ポンド円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 158.74(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 157.90
サポート1 156.74(2/3安値)
<NZドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。一目・転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の下で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開。しかし、抱き線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 83.66(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 82.90
サポート1 81.81(1/19安値)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
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