2日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反落。終値は1.0910ドルと前営業日NY終値(1.0990ドル)と比べて0.0080ドル程度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、市場予想通り政策金利を0.50%引き上げることを決めたと発表。声明では「金利は依然として安定したペースで大幅に上昇する必要がある」と指摘し、次回3月の理事会でもさらに0.50%の利上げを実施する意向を表明した。ただ、「その時点でその後の金融政策の道筋を評価する」とした。
また、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で「物価上昇圧力は依然として強い」としながらも、「インフレ見通しに対するリスクはより均衡した」「3月の0.50%利上げ後は経過をみていく」と発言。市場では「ECBが3月以降の利上げ停止、もしくはペース減速の可能性に道を開いた」と受け止められ、欧州債利回りの大幅低下とともに全般ユーロ売りが広がった。24時過ぎには一時1.0886ドルと日通し安値を更新した。
もっとも、ラガルド氏は「利上げは完了していないと認識」「インフレを2%の目標に回帰させるため、路線を維持する」と述べ、この日の決定は利上げサイクルが終わりに近いことを意味するという解釈を否定している。
ポンドドルは軟調。英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り政策金利を0.50%引き上げると発表。声明では前回の「一段のインフレ圧力の兆候に対し必要に応じて強力に対応する」としていた表現を「今後はより持続的なインフレ圧力の証拠があれば、一段の金融引き締めが必要になる」に修正した。また、世界的にインフレは高止まりしているものの、英国を含め多くの先進国でピークに達した可能性があると指摘した。市場では「BOEの積極的な利上げサイクルが終了に向かっている可能性が示唆された」と受け止められ、ポンド売りが優勢になった。取引終了間際には一時1.2223ドルと日通し安値を更新した。
ドル円は3日続落。終値は128.68円と前営業日NY終値(128.98円)と比べて30銭程度のドル安水準だった。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が今年後半に利下げに転じるとの観測が強まる中、円買い・ドル売りが先行。米長期金利の低下も相場の重しとなり、22時30分過ぎに一時128.09円と日通し安値を付けた。ただ、対ユーロ中心にドル高が進むと円に対してもドル買いが入り128.91円付近まで下げ渋った。
ユーロ円は反落。終値は140.42円と前営業日NY終値(141.70円)と比べて1円28銭程度のユーロ安水準。ECB理事会の結果を受けて、ECBの利上げサイクルが近く終了するとの見方が強まるとユーロ全面安の展開に。23時30分過ぎに一時140.09円と本日安値を付けた。その後の戻りも140.53円付近にとどまった。
本日の東京為替市場では、実質ゴトー日(5・10日)に絡んだ本邦実需筋のフローに振らされ、堅調だった欧州株や急騰した米ハイテク株を受けたアジア株動向を見定めながらの取引か。午後にかけては、今晩にも1月米雇用統計の発表を控えていることもあり、徐々に動意が鈍っていきそうだ。
ゴトー日に関してはドル買いを通常以上に意識する向きはいまだに多いもよう。確かにゴトー日は10時前の東京仲値にかけて底堅く推移することはあるが、決して常に同じサイドに偏るわけではない。先月30日の仲値では強引とも言えるドル売りが見られた。もし地合いと逆の動きであれば、あくまで超短期トレードとしてだが逆張りも1つの方法かもしれない。また、東京タイムの値動きを見ていると、11時や14時にかけて本邦実需による売り買いが強まる傾向があるようだ。もし目立った材料がなければ、その辺りの時間帯に向けた短期取引も面白いのではないか。
昨日は主要な欧州株式市場が堅調なまま終え、米国ではハイテク・グロース株の比率が高いナスダック総合が大きく上昇した。欧米金融当局による利上げサイクルが最終局面に入りつつあるとの見方が、買い安心感の広がりにつながっている。アジア株式市場も買い優勢となれば、リスクに敏感なオセアニアの通貨を中心に強含む展開もあるか。ただ、米株引け後に決算を発表した複数の主要ハイテク株が軟調に転じたのは気に留めておいたほうが良いだろう。
今週は米国が0.25%、英国は0.50%、そしてユーロ圏も0.50%、政策金利を引き上げた。もっとも「利上げ」を実施したにもかかわらず、インフレへの警戒感が以前より緩んだ声明や中銀総裁の会見を受けて、それぞれの金利が低下し通貨売りも進んだ。しかしながら若干の先走り過ぎ感もあり、本日発表の1月米雇用統計の結果次第では反動があるかもしれない。注目は、前回も鈍化で市場を驚かせた平均時給だろう。予想は前月比+0.3%と12月から横ばい、前年比は+4.3%と前回から0.3ポイント低下の見込み。
※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:45 ◎ 1月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:51.0)
○16:00 ◎ 1月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比3.80%/前年比53.50%)
○16:45 ◇ 12月仏鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○17:50 ◎ 1月仏サービス部門PMI改定値(予想:49.2)
○17:55 ◎ 1月独サービス部門PMI改定値(予想:50.4)
○18:00 ◎ 1月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.7)
○18:30 ◎ 1月英サービス部門PMI改定値(予想:48.0)
○19:00 ◎ 12月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲0.4%/前年比22.5%)
○21:15 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○22:30 ☆ 1月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18.5万人/失業率3.6%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.3%)
○22:45 ◎ ビスコ伊中銀総裁、講演
○23:45 ◎ 1月米サービス部門PMI改定値(予想:46.6)
○23:45 ◎ 1月米総合PMI改定値
○24:00 ☆ 1月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:50.4)
○4日04:30 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)・ウクライナ首脳会議
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
2日10:35 若田部日銀副総裁
「物価目標をあいまいにすることは金融政策が追求すべき目標をあいまいにし、政策効果を損ないかねない」
「物価目標の持続的・安定的な達成にはなお時間がかかる」
「12月のYCC運用見直し、金融緩和継続の日銀のコミットメント全く変わっていない」
「10年にわたる大規模金融緩和、様々な成果上げてきた」
「物価目標を持続的・安定的に実現するため、引き続き金融緩和を着実に進めていく必要」
「物価はまだ下に戻る可能性もあり、安心できない」
「政策の検証より、政策をきちんと遂行しなければならない」
2日21:02 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「MPCのメンバー7人は0.50%の利上げを支持、残り2人は据え置きを支持」
「前回の見通しよりも短く浅いリセッションを見込む」
「インフレリスクは大きく上振れ方向に傾く」
「インフレが根強ければ、さらなる引き締めが必要になる可能性」
「インフレはピークに達した可能性が高い」
「インフレ率は2023年第4四半期までに3.92%に低下と予想(前回は+5.20%)」
2日21:34 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレが転機を迎えた最初の兆しが表れている」
「インフレは今年低下し続けるだろう」
2日21:49 ブロードベント・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁
「インフレリスクは依然上向きであり、金利のピークを知ることは明白ではない」
「次が利上げか利下げかどちらの方向になるかは明確でない」
「MPCは依然として非常に注意深い」
「6%の賃上げは2%のインフレと整合性がない」
「我々はインフレのコーナーを曲がったが、それは政策金利に関するコメントではない」
2日22:20 欧州中央銀行(ECB)声明
「制限的な金利は時間の経過とともにインフレを低下させる」
「必要に応じてPEPP再投資の柔軟性を継続する」
「金利は依然として安定したペースで大幅に上昇する必要がある」
「理事会はすべての手段を調整する準備ができている」
「3月も0.50%の利上げを実施する意向」
2日22:24 ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁
「困難で厳しい状況になるだろうが、景気後退は予測より穏やか」
「英国経済の潜在的な供給の伸びが、世界金融危機以前のように安定しているとは仮定できない」
「製造業の生産性の低さは、公式データの最新の修正で特に顕著になった」
2日22:55 ラガルドECB総裁
「次回会合で0.50%の利上げを実施し、評価する」
「政策金利の決定はデータに依存する」
「経済活動は著しく減速した」
「短期的には弱い状態が続くと予想」
「経済は今後数四半期で回復する見通し」
「経済は予想以上に底堅い」
「失業率は今後数四半期で上昇する可能性」
「物価上昇圧力は依然として強い」
「インフレ見通しに対するリスクはより均衡した」
「成長見通しに対するリスクはより均衡した」
「最近の賃金データは昨年12月の予想にほぼ一致」
「利上げ完了していないと認識している」
「3月利上げに関する意向は撤回不可能ではない」
「あらゆる合理的なシナリオで大幅な利上げが必要」
「基調的なインフレ圧力は継続」
「現時点では景気抑制的な水準には至っていない」
「景気抑制的な水準にとどまる必要がある」
3日03:17 ジョーダン・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁
「スイスでは賃金と価格の上昇は見られない」
「SNBは追加利上げを除外せず」
※時間は日本時間
<ドル円=切り下がる見込みの転換線が戻りの鈍さ示唆>
下小陰線引け。一時128.09円と1月19日以来の安値まで下落が先行した。
128円割れを前に下げ渋ったものの陰線で引けており、重さを払しょくしきれない。上値に控える一目均衡表・転換線は129.61円へ低下し、今後も切り下がる見込み。戻りの鈍さを示唆している。
レジスタンス1 129.21(1/30安値)
前日終値 128.68
サポート1 127.76(1/19安値)
サポート2 127.23(1/16安値=年初来安値)
<ユーロドル=転換線を下回る水準で底堅さ示すか>
上影陰線引け。1.1033ドルまで年初来高値を更新する動きが先行した。しかし、昨年4月4日以来の同高値圏では調整の売り圧力が強まった。1.0918ドルへ切り上がった一目均衡表・転換線をやや割り込んでNYを引けている。上昇傾向の同線を下回った水準では底堅さを示すとみるが、戻しきれないようであれば、1.0830ドル台で推移する21日移動平均線を試すことになる。
レジスタンス1 1.1000(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 1.0910
サポート1 1.0838(21日移動平均線)
<ユーロ円=転換線や雲が抵抗>
大陰線引け。一時140.09円と、1月20日以来の140円割れに近づく場面もあった。終値では一目均衡表・基準線140.13円を回復できた。同線は今後切り上がることが期待でき、前後のレンジにおける底堅さを示唆している。ただ、一目・転換線や、今後の低下が予想される一目・雲の下限が抵抗となるため、値動きは限定されそうだ。
レジスタンス1 141.20(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 140.42
サポート1 139.70(ピボット・サポート1)
<豪ドル円=雲付近での底堅さ維持できず>
陰線引け。一目均衡表・雲の上限91.39円で何度か下げ渋ったものの、昨日は91.08円と下回ってNYの取引を終えた。再び戻すことも想定できるが、上値に控える一目・転換線は本日91.85円へ切り上がったところから、やがて低下へ転じる見込み。抵抗となり、雲を抜けたところでの戻りを重くするだろう。一方、下値は一目・基準線90.12円が支えとなり、大きな下振れは回避できるとみる。
レジスタンス1 91.85(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 91.08
サポート1 90.58(ピボット・サポート1)
情報提供元:DZHフィナンシャルリサーチ社
フォレックス・ドットコムでは、ノックアウトオプション、FX、株価指数CFDを取引いただけます。
口座開設は以下のステップで行えます。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。
本レポートに記載されている情報や見解は、一般的な情報としての使用のみを目的としたものであり、FX、CFD、その他あらゆる金融商品の購入や売却に関する勧誘や依頼の意図は全くありません。本文書に記載されている見解や情報は、予告や通知なく変更されることがあります。本文書は、特定の投資目的や背景、特定の受領者の意思などに沿って書かれ配布されたものではありません。本文書内で引用・言及されている過去の価格データは、当社独自の調査や分析に基づいており、当社はそのデータの提供元やそのデータそのものの信頼性につき、いかなる保証もせず、また筆者や訳者、各国の支社・ 支店も、本文書の内容の正確性や完全性についても一切保証しません。本文書の内容に基づく直接または間接の損失、そして本文書を信頼したことにより生じた損失についても、当社は一切その責を負いません。