米ドルは今年前半は価格が収束しレンジ相場で推移したが、先週はついにこのテーマが崩れ、売り手が価格を押し下げて今年の安値を更新した。その過程で弱気の三角持ち合いが形成され、二重底の形成は無効となった。これにより弱気筋が主導権を握ることになり、彼らがこの動きを続けられるかどうかが目下の焦点になっている。
Webセミナーでは、目先の値動きについて参照しておくべきいくつかのエリアを考察した。現時点での価格は金曜日と同じ安値を維持している。ここから短期的な二重底につながり、弱気テーマでのプルバックが起きる可能性があるが、この場合焦点はチャート上の過去のサポートラインにあたる100.80~101付近だ。
売り手が積極的な姿勢を維持すれば、より安値圏での高値レジスタンスラインとしてこの価格帯は理想的なエリアとなる可能性がある。もし売り手が失敗した場合にはもう少し上、2021~2022年の主な動きの50%にあたる102近辺が注目すべき水準になる。
米ドル – ドル指数(DXY)日足チャート(参考用、Forex.comプラットフォームでは利用できません)
チャート作成:James Stanley、データ提供:Tradingview
ユーロ/米ドルにも同様の動きがあり、先週、水曜日に発表された消費者物価指数(CPI)を受けて力強い上向きのブレイクアウトを見せた。木曜日にもこの動きは続いたが、金曜日には1.1250の心理的レベルのすぐ下で失速し、月曜日の取引でもこの水準が維持された。火曜日には当初強気筋が高値の更新を目指したもののすぐにはねつけられ、2021~2022年の主な値動きの61.8%のフィボナッチリトレースメントにあたる1.1274ドルがレジスタンスラインになった。
このレジスタンスの維持は今日これまでの売り手の強さと相まって、買われ過ぎの動きを示している。先週のブレイクアウトを踏まえると理にかなっているが、より大きな問題は強気筋が利益を取ってより大きなプルバックを引き起こすかどうか、またそれと関連して、このプルバックのシナリオでより高い安値のサポートを維持するために強気筋が参入するかどうかだ。
ユーロ/米ドルでは、強気筋が非常に積極的な姿勢を維持した場合、1.1186ドル近辺がより高値圏での安値サポートとして機能する可能性がある。しかし強気筋の勢いが続かず、価格の揺り戻しが進んだ場合には、過去のレジスタンスにあたる1.1000~1.1100ドル付近が広く注目エリアになる。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成:James Stanley、 Tradingviewのユーロ/米ドル
米ドル/円は7月の取引に突入し、日銀周辺には政策変更の兆しはほとんど見られない。FRBが利上げを喧伝し続けたことで日米の金利の乖離が続き、キャリーは依然としてロングサイドに傾いている。強気トレンドが続く限りキャリートレードは魅力的だが、反転の兆しがある場合には、キャリートレードの出口はそれほど広くなく、過去数週間で見られたような、また米ドル/円の第4四半期の流れにも近い積極的なプルバックにつながる可能性がある。
先週、安値がどこになるかを検討した際に米ドル/円の主要なサポートレベルに言及したが、その後、この価格がサポートにつながっている。これは137.68円付近で、11月にサポートとなった後は今年前半に何度もレジスタンスラインになった。
この価格は金曜日にサポートを維持するのに役立ち、今朝になって再び視野に入ったが、この2回目のアプローチが安値の引き上げにつながった。このため反発のシナリオの可能性がまだ残っており、次の大きな節目は140.0円のハンドル付近である。この水準は140.30円のフィボナッチレベルに近く、より安い高値でのレジスタンスラインとなる可能性がある。
売り手がより安い高値でのレジスタンスラインを維持しつつも、140.0円のレジスタンスを維持できなければ、キャリートレードの要素が依然として問題になっていることから、反転シナリオがより魅力的に見え始めるだろう。
米ドル/円日足チャート
チャート作成: James Stanley、Tradingviewの米ドル/円
金はここ3年以上続いている長期のレンジ相場で推移している。このレンジの上限は2,000ドル付近でだが、過去数カ月にわたって相場での弱気筋の影響力が増すにつれ、重要な試金石となっていた。
数週間前には1,900ハンドル付近で下値が試され、同時期に弱気筋が失速し始めた。週足チャートでは安値が上昇し、2週連続で同事線が形成され、買い手が主導権を取り戻し先週の強気な値動きへとつながった。
今朝はこのブレイクアウトが継続し、1,980ドルのレジスタンスレベルを再び試した。これにより、1,968ドルに当たる過去のレジスタンスラインが、より高い安値でのサポートラインになる可能性があり、心理的レベルである2,000ドルを再度試す可能性も出てきている。
その後はどうだろう?この2,000ドルのレジスタンスラインは、このところの上値追いの足かせとなっていることから、仮にこのラインを試すようなことがあれば、弱気筋がどの程度強く反応するかを見極める必要がある。
金先物 – 日足チャート(参考用)
チャート作成:James Stanley、 Tradingviewの金価格
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