先週は米国市場で大きな動きがあり、その結果現時点では米ドル安の動きが顕著になっている。米ドルはトレンドラインでのブレイクアウトを目指して2週間ほど奮闘していたものの、先週から値が戻り始め、今週に入ってからはさらに値下がりしてFOMC会合後には103を試すまでになり、ECBの金利決定の翌朝には弱気筋からのさらなる攻勢に遭った。
ドル指数は金曜には102にまで下がったが、ここは2021年~2022年の50%フィボナッチリトレースメントにあたる。おそらくさらに重要なのは、ここが先月のドルのブレイクアウト直前のレジスタンスエリアでもあったということだ。
現時点で強気筋はブレイクアウトの継続に失敗しているが、まだ完全に計算が外れたわけでもない。2023年の相場ですでに2回安値の維持に貢献している大きなサポートラインの101が迫っているからだ。
来週はFRBのジェローム・パウエル議長が、米国議会で年2回行われるFRBのハンフリー・ホーキンス報告書に関する証言に出席することから、米ドルの値動きの焦点は再びFRBの発言に移っている。この証言は水曜日と木曜日の2日間にわたって行われ、通常は初日に大きな反応が出ることが多い。パウエル議長は事前に準備された発言を公表する予定で、今週のイベントに対する市場の反応を見た後で意見を述べる重要な機会になるはずだ。その後は議会、つまり下院金融サービス委員会と上院財政委員会からの質問攻めを受けることになる。
テクニカル面の状況: 2月、さらに4月にも反発が見られたポイントであることから、101付近は依然として重要なサポートラインになっている。ここは過去に二重底の形成につながったが、このサポートが維持されれば再度の形成の可能性が残される。二重底となるには105.88のレベルを突破する必要があるが、6月初頭の相場で高値の維持につながっていた弱気のトレンドラインが依然として争点となっている。
弱気のトレンドラインは弱気の三角持ち合いの形成にもつながり、こちらは通常は二重底とは逆の方法でのアプローチを受ける。週の初めに検討したが、週の終わりまで依然として注意すべきポイントになっている。弱気の三角持ち合いは水平方向のサポートラインと値下がりの続く高値のレジスタンスラインで形成されるが、下の週足チャートを見るとドル指数ではその両方が存在している。ただし弱気の三角持ち合いが実際に形成されるにはサポートラインを割り込む必要があり、この場合は二重底の形成も無効となる。
つまりドル指数の100.87~101.00は次週、非常に重要なエリアとなるだろう。
米ドル – ドル指数週足価格チャート(参照用、Forex.comプラットフォームでは提供していません。)
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのデータによる
日足チャートでは、2023年の値動きがここまでほとんど平均回帰的であったことから、依然として合流の状態が続いている。短期的なアプローチで重要なのは102付近で、このレベルはブレイクアウトの前のレジスタンスラインであり、プルバック後の現在は強気筋が試されるポイントとなっている。
金曜日に102でのサポートが見られたことは、強気筋にとっては今週の売り相場から戻るための心強い第一歩となる可能性があるが、買い手が主導権を握るにはさらに努力が必要だろう。つまり水曜の相場で安値を支えた103まで値が戻ると、その後はトレンドラインが再び視野に入ってくる前に103.45がレジスタンスラインとなる。
米ドル – ドル指数日足価格チャート(参照用、Forex.comプラットフォームでは提供していません。)
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのデータによる
これと多少関連して、ユーロ/米ドルは週の初めに取り上げた1.0943ドルのレジスタンスまで押し上げられ、これまでのところは週末まで高値の維持につながっている。しかしこの週はユーロ/米ドルの強気筋が大いに存在感を見せつけ、再度1.1000ドルを試す可能性が出てきた。ユーロは米ドル指数を決める要素の57.6%を占めていることから、この値動きは指数にある程度影響を与える可能性がある。
より大きな問題は、このトレンドが続いてブレイクアウトまでつながるかどうかで、これは米ドルと米ドル指数のサポートラインを何らかの形で左右する可能性が高い。
ユーロ/米ドルでは、次のレジスタンスラインは心理的レベルの1.1000ドルで、その上は現在この通貨ペアの今年の高値にあたる1.1096ドルのスイングハイとなる。1.1000ドルはすでに近づきつつあることから、ここの上抜けを試す展開は起こりうるだろう。ただしより大きな問題は上抜けした段階で強気筋がサポートに入るかどうかで、ユーロ/米ドルの強気筋にとっては1.1065~1.1096ドルの31ピップスの範囲が正念場となるだろう。買い手がこのレベルを突破できれば、米ドルは下抜けして下向きの三角持ち合いが形成され、100近辺が再び視野に入ってくると思われる。
ユーロ/米ドル日足チャート
チャート作成: James Stanley、 Tradingviewのユーロ/米ドル
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