米ドルの強気基調は続いており、FOMCの9月の金利決定もこのトレンドを弱めるには至らなかったようだ。FRBは依然として2024年には利下げを実施することを見込んでいるが、過去の予想では4回だった利下げ回数の予想を2回に減らした。米国の経済データが好調を維持していることから、米国経済とその他の経済との乖離が拡大している。
欧州と英国での最近の金利決定は、各国の中央銀行が今回で利上げを終了する可能性があることを示している。
いずれの通貨もともに弱含みとなり、これがドル指数(DXY)の強さに繋がっている。DXY計算の57.6%をユーロが、11.9%を英ポンドが占めているためだ。
現時点で米ドルは、今年3月につけた2023年の高値に近づいている。DXY相場は今年の前半にこの高値を付けた直後、米国の地方銀行が危機の兆候を見せ始めたことから売り展開に転じた。これをきっかけに、銀行セクターがこれ以上ダメージを受けるリスクを冒すことはないだろうという思惑から、市場はFOMCの金利決定の予想を下方修正した。しかしそこから6ヵ月を経て、米国の経済データは強さを維持しており、欧州と英国の経済データは減速している。DXYは105のハンドルを上回り、今年の第4四半期にはブレイクアウトする可能性が出てきた。
米ドル – 米ドル指数(DXY)日足チャート(参考用、FOREX.comプラットフォームでは利用できません
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのデータによる
現時点での大きな疑問は、最近の米ドル高の復活によって、2021年と2022年の最初の9ヵ月間を通じて力強く続いた強気トレンドが戻ってくるかどうかだ。このトレンドは、FRBがもはや見過ごせないところまで米国のインフレ率が上昇したことから、金利の見通しの影響を大きく受けていた。
事態が変化し始めたのは2022年の第4四半期が始まる前後で、この動きは2種類の重要な事実に支えられていた。 米国のインフレ率が鈍化し始めたことで、FRBによる将来の利上げ観測が後退したのだ。ただしもうひとつの重要な要素は他国の中央銀行の動き、つまり欧州中央銀行など他の中央銀行がインフレ懸念を和らげるため、より積極的な利上げを始めたことだった。このため、昨年第4四半期を通じて米ドルの強気トレンドは反転し、ドル安(ユーロ/米ドルの値上がり傾向)は今年に入ってからも続いた。
下の米ドル週足チャートから、2023年前半の取引を通じた価格収束が弱気バイアスの形を取っていることが分かる。これは下降ウェッジと呼ばれるパターンを形成しており、しばしば強気反転を狙ってアプローチされる。
ここ6週間、米ドルの強気筋が価格を押し上げ続けているのがそれだ。
米ドル – 米ドル指数(DXY)週足チャート(参考用、FOREX.comプラットフォームでは利用できません
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのデータによる
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