ユーロ/米ドルの値動きの幅は依然として狭い。2023年初頭からそれほど大きなトレンドを見せなかった過去6か月の相場にもこの見方はある程度当てはまるが、レンジ幅はますます狭まってきており、上下ともに重要な価格水準がいくつも控えている。
以下の4時間足チャートからは短期的な対称ウェッジを確認することができ、今朝のADPの公表直前には上側のトレンドラインのレジスタンスを試す動きも見られた。ADPの数値は予想をはるかに上回るもので、FRBのタカ派姿勢がさらに強まるという恐れが高まり(これは米ドルに関して昨日言及したもうひとつの類似のテーマだ)、米国10年物国債の利回りが3月9日以来初めて4ハンドルで取引された。
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チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
3月9日は米国の銀行危機が表面化した時期で、銀行の脆弱性からFRBが利上げから手を引くかもしれないという期待により、株価と利回りの上昇につながった。株価は依然として高値にほど近い水準を維持しておりそれほど大きな反応は出ていないが、利回りはこのところ急回復していたことから、株式と米ドルに第1四半期と同様の反応が見られるかどうかが大きな問題となっている。
FRBが利上げを見送るかもしれないとの見方は、ECBが声高にタカ派的であり続けたため、ドルを押し上げるのに役立った。3月9日、米国の銀行破綻のニュースが大きく報道された頃には、ユーロ/米ドルは1.0500ドル付近のレンジサポートを試していた。それから1か月も経たないうちに1.1000を超える水準まで上昇したが、この時期にレンジのレジスタンスが出現して上昇を抑え、その後6か月にわたる収束につながった。
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
相場がレンジを形成しているときは、しばしばすでに出そろっている材料に合わせて対策を立てるのが最善だ。そして現在の値動きの上側にも下側にも、平均回帰戦略への準備を整えておくための価格水準がいくつかある。
レジスタンスラインとしては、今日は1.0900ドル近辺が今日も有効で、その上では1.0930~1.0943ドルのゾーンが重要になる。さらに上では1.1000ドルと1.1100の間に長期レンジのレジスタンスがあり、このブロックの中にもいくつか注目すべき具体的な価格がある。
サポートラインは依然として、これまで言及してきた1.0843~1.0864ドル近辺となっていることから、売り手はさらなる下抜けを狙う前にここを割り込む必要がある。このゾーンが試される頻度は増えており、今朝も上述したトレンドラインからのレジスタンスの後に試されていた。このゾーンの下では1.0787ドル付近にもうひとつスイングローがあり、その後は1.0733~1.0740ドルが視野に入ってくる。ここ3か月での最安値が1.0636ドルの大台となり、これは5月の取引最終日にサポートラインとなった2020年からのスイングローだ。
弱気トレンドの再来が視野に入るには、売り手は上記の重要なスポットに立ち向かう必要がある。さらにすべてを乗り越えたとしても、今年初めの心理的レベルである1.0500ドル付近の水準が待ち構えている。
チャート作成:James Stanley、Tradingviewのユーロ/米ドル
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