取引をする際にテクニカル分析を使うトレーダーであれば、MACDインジケーターをご存知かもしれません。ここではMACDの算出方法や市場での使い方など、MACDについて解説します。
MACDは、トレーダーが分析のために使用する人気のテクニカルインジケーターの一つです。MACDライン、シグナルライン、ヒストグラムを組み合わせ、取引価格の2つの移動平均線の関係からトレンドとモメンタムを把握し、売買シグナルを提供します。
MACDはMoving Average Convergence Divergence(移動平均収束発散法)の略です。取引価格の2つの指数平滑水準の移動平均の乖離を意味する名前で、この線(MACDライン)がシグナルライン(指数平滑法によるMACDラインの平均)とどのくらい乖離しているか、また収束しているかを表します。
移動平均線とは、過去のデータの平均値を線で表したものです。トレーダーがモメンタムを判断したり、トレンドを評価するために使います。たとえば、50日移動平均線は過去50日間の取引平均価格を表し、200日移動平均線は過去200日間の平均価格を表します。
トレーダーは複数の移動平均線を参考にし、短期・長期トレンドの詳しい情報を得ることができます。強気または弱気シグナルには、交差がよく使われます。短期の平均線が長期の平均線を上抜ければ「ゴールデンクロス」となり、強気のシグナルです。短期の平均線が長期の平均線を下抜ければ「デッドクロス」となり、弱気のシグナルです。
しかし、移動平均線のクロスのみを使ってマーケットを分析するのは不十分です。多くの場合、移動平均線の動きは現在価格に遅れることに加え、レンジ相場では、マーケットトレンドと反対の誤ったシグナルを出す可能性があるからです。
こうしたデメリットはあるものの、MACDでは、トレーダーは2つの移動平均線の関係から詳しい情報を得て、新規注文や決済を行う際に適切な判断をすることができます。
MACDの読み方ですが、MACDライン、シグナルライン、ヒストグラム、そしてシグナルがどのように作り出されるかに注意する必要があります。
MACDラインは、短期の指数平滑移動平均(EMA)から長期の指数平滑移動平均を減算した値です。これらの値の偏差を評定します。多くの場合、これらのEMAの各期間は12期間と26期間です。
移動平均の乖離が大きくなると、MACDラインの値が強くなります。
一方、シグナルラインはMACDラインの移動平均線のことで、インジケーターとして深みを追加するものです。このシグナルラインは通常、MACDラインの9期間の平滑化平均を表します。
最後に、ヒストグラムは、MACDラインとシグナルラインの関係を示します。
MACDラインがシグナルラインを上抜け、ヒストグラムの値がゼロより上に位置する場合、買いシグナルとなります。MACDラインがシグナルラインを超えて乖離すればするほど、ヒストグラムの値は高くなります。MACDラインがシグナルラインを下抜け、ヒストグラムの値がゼロより下に位置する場合は売りシグナルとなります。MACDラインがシグナルラインを下回って乖離すればするほど、ヒストグラムの値は低くなります。
MACDの使用方法ですが、トレーダーは、MACDラインがシグナルラインを上抜けていれば、通常、買いシグナルであることに気付くでしょう。他のテクニカル分析やファンダメンタル分析にもよりますが、このシグナルが点灯したら、ロングポジションを取ることを考えてもよいかもしれません。
逆に、MACDラインがシグナルラインを下抜けていれば、それは通常、売りシグナルであり、トレーダーはショートポジションを取ることを検討しましょう。
MACDヒストグラムは、MACDラインがシグナルラインから乖離するほど棒グラフが大きくなります。一方で、ヒストグラムが小さい棒グラフを形成するのであれば、トレーダーは、ヒストグラムが下がる方向にエントリーすることを検討しましょう。
MACDの使用を開始するには、ステップバイステップ・ガイドを参照するとチャートに簡単に適用できます。
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