ストキャスティクスは日本語で「推計統計学」と呼ばれる相場の過熱感を計測するオシレーター系のテクニカル指標です。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.3.3/9月15日取得
ストキャスティクスは指定した期間内の最高値と最安値を基に、現在の終値の水準を0から100の間で数値化して判断します。この数字が高いほど現在の価格は買われ過ぎとなり、低いほど売られ過ぎとなります。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.3.3/9月15日取得
ストキャスティクスには%Kと%D、スロー%Dの3つのラインがあります。この中で%Kは期間内における現在価格が下からどれくらいの%位置にいるのかを確認しています。例えば期間5とした場合、現在価格が5日間の中で1番高ければ100%となり、1番低ければ0%となります。つまり期間内の中での現在価格の立ち位置を確認しているということです。そして%Dは%Kのn期間の平均、スロー%Dは%Dのn期間平均を表しています。
期間内における現在価格の立ち位置を確認できるストキャスティクスは相場でどのように見ればいいのか解説します。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.1.3/9月15日取得
ファストストキャスティクスとは%Kと%Dの2本の線を描いたストキャスティクスのことを指します。感度が高く値動きに敏感に反応するのが特徴ですが、敏感すぎるのでダマシが多く相場分析に使われることはあまりありません。スキャルピングや利益確定時に効果が高いと言えるでしょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.3.3/9月15日取得
スローストキャスティクスとは%Dとスロー%Dの2本の線を描いたストキャスティクスのことを指します。%Kを平均したものをさらに平均していることで全体の動きが滑らかになり、ダマシが少なく相場の大まかな流れを確認することができます。通常、ストキャスティクスというとスローストキャスティクスのことを指すことが多いです。
ストキャスティクスの計算式は以下の通りです。
%K = (現在の終値 – 過去n日間の最安値) ÷ (過去n日間の最高値 – 過去n日間の最安値)
%D = (現在の終値 – 過去n日間での最安値)の過去x日間の合計値 ÷ (過去n日間での最高値 – 過去n日間での最安値)の過去x日間の合計値
スロー%D = %Dのx日間の移動平均
%Kは期間内における現在価格の位置、%Dは%Kを移動平均化したもの、スロー%Dは%Dを移動平均化したものと覚えておきましょう。
ストキャスティクスはレンジ帯での買われ過ぎ売られ過ぎを狙った逆張りだけでなく、トレンド転換時に根元を捉えるサインとして利用することもできます。実際のチャートを使ってどんな場面で活かせるのか解説していきます。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.3.3/9月15日取得
上図チャートは2023年8月のUSDJPYの15分足です。下降トレンドで推移していた価格は大きく下落した後に動きが停滞し下落トレンドの勢いは小さくなっているように見えます。そのタイミングでダブルボトムを形成するような動きを見せ右肩の位置でストキャスティクスが売られ過ぎゾーンに突入、トレンド転換の可能性を示唆しています。その後ストキャスティクスが売られ過ぎゾーンを脱出し、価格がダブルボトムのネックラインを超えて2つの根拠が揃った位置でエントリーです。
ストキャスティクスだけではダマシが多くダブルボトムだけでは根拠に乏しくなってしまいますが、この例のように重なる場面では強い転換サインとなりトレンドを根元から狙うことも可能になります。また転換の根元を捉えるので大きな値幅を狙える一方、損切り位置が明確で浅いことも特徴です。
出所:FOREX.com/Jppan225/1時間足/期間14.3.3/9月15日取得
上図チャートは2023年3月の日経225の1時間足です。前月から上昇トレンドが続いていましたが、価格の推移とストキャスティクスの間でダイバージェンス(逆行現象)が発生、トレンドの転換を示唆しています。その後押し安値を価格がブレイクしたところから売りでエントリーをしています。
ダイバージェンスは価格の転換を示唆するサインですが単体での信頼度はそれほど高くはありませんし、安値割れだけではトレンドは転換するとは限りません。2つが同時に重なることで強いシグナルとして機能します。トレンドの根元を捉えるときは根拠の重複を待つようにするのが勝率を高めるポイントです。
逆張りを行うときのストキャスティクスの欠点として、反応が早い分ダマシが多いことが挙げられます。一方で反応が早く相場の転換が早めにわかれば損切りも小さく済むという利点もあります。ここではダマシを少しでも減らすためにどうすればいいのか回避方法を解説します。
実例ではプライスアクションを組み合わせてストキャスティクスを使った取引解説をしましたが、ストキャスティクスのダマシを回避する1番簡単な対策は他のインジケーターと組合わせることです。特にトレンド系インジケーターとの組合わせは効果抜群で単体で使うよりもダマシを減らし、トレンド系インジケーターのサインよりも早く売買タイミングを取ることができます。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.3.3/9月15日取得
上図チャートは2023年5月のUSDJPY15分足にボリンジャーバンドとストキャスティクスを同時に表示したものです。価格はレンジを形成しておりレンジ内の逆張りを仕掛けたい場面です。緑丸は価格がボリンジャーバンド±2σをブレイクした位置とストキャスティクスの買われ過ぎ売られ過ぎのサインが同時に発生したところです。同時発生した場合その後の価格はすべてボリンジャーバンドの逆側のバンドまで到達しており、逆張りとして有効なサインを発しています。一方で青丸はストキャスティクスの買われ過ぎ売られ過ぎだけが発生した位置です。価格が素直に示唆方向に伸びたのは5回中2回のみで半分以上がダマシだったことがわかります。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/期間14.3.3/9月15日取得
またトレンド中でもインジケーターとの組み合わせは有効で、トレンドに対する押し戻しや横ばいからのトレンド継続の発生タイミングを知るときにも役立ちます。この使い方はストキャスティクスがメインではなく補助的な役割に回りますが上図チャートのような場面でも機能することを覚えておきましょう。
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