トレンドの方向性と勢い(ボラティリティ)を視覚的に把握するためのテクニカル指標です。
DMIの特徴としては次の3つが挙げられます。
● トレンドの方向とボラティリティの把握
● トレンドの転換点予測
● 売買タイミングの判別
主にオシレーター系のテクニカル指標と合わせて使用されます。DMIによってトレンドの有無や値幅の大きさを計測することで、オシレーター系の弱点であるトレンド状態や一時的な大きな値幅推移での取引を回避することができます。
メタトレーダーを使用している方は同じようにトレンドの方向や勢いを知るためのテクニカル指標としてADXが思い浮かびますが、実際の中身は同じものです。ADXはAverage Directional Movement Indexを略したもので計算式なども全て同じです。登録名が違うだけと認識しましょう。
DMIは+DIラインと-DIライン、ADXの3本の線を使って相場を分析します。DMIを使ってトレンドの状態を把握するにはそれぞれをどう見ればいいのか解説します。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間14/9月16日取得
+DIラインは上昇トレンドの強さを表しているため、価格が上昇すると+DIも上昇し価格が下落すると+DIも下降します。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間14/9月16日取得
-DIラインは下降トレンドの強さを表しているため、価格が上昇すると-DIは下降し価格が下落すると-DIは上昇します。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間14/9月16日取得
2本の線でラインの位置関係やクロスによって売買方向やタイミングを知ることもできます。+DIが-DIを下から上へ抜けたとき、または+DIの方が-DIよりも上にあるときは買いサインとなり、+DIが-DIを上から下に抜けたとき、または-DIが+DIよりも上にあるときは売りサインを示しています。
また、クロスではありませんが両ラインの間が乖離していれば強いトレンドとなり、収縮していれば価格の膠着となることも覚えておきましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間14/9月16日取得
ADXはトレンドの強さを示していますので、トレンドが強い場合は上昇し、トレンドが弱い場合は下降します。上がれば上昇トレンド、下がれば下降トレンドというわけではないので注意が必要です。
DMIの計算式は少し複雑ですので、手順を追いながら解説していきます。
DMIはトレンドの方向性や勢いを測るオシレーターですが、いくつもの根拠が揃ったときは売買判断としても機能します。ここではDMIだけを使った取引実例を解説しますが、他のインジケーターと組合わせるとより確度の高いサインとして活用できます。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間14/9月16日取得
DMIの数値は20.0を境に価格の勢いを測る目安として使うこともできます。例えば20のラインを+DIが上回り−DIが下回れば上昇力が強いと判断され、逆に20のラインを−DIが上回り+DIが下回れば下降力が強いと判断されます。
上図チャートは2022年上半期のUSDJPY日足で、年初からレンジを形成している場面です。チャート内では緑丸の地点で+DIが20のラインを上回り−DIが下回ったタイミングで、買いサインである+DIのゴールデンクロスが発生しています。同時に3つの根拠が発生する珍しい場面ですがその後価格はしっかりと上昇しています。利益確定の位置は根拠が崩れる位置なので+DIのデッドクロスで決済しています。
出所:FOREX.com/Japan 225/日足/期間14/9月16日取得
相場の勢いが出始めるときはADXが20.0のラインを越える動きを伴います。この特性を使って他の売買根拠の確度を上げることができます。
上図チャートは2020年末頃の日経225日足です。チャート左側では±DIやADXも20以下の位置で推移していることが多い状態です。その後+DIが勢いよく上昇をはじめ20のラインを越えてゴールデンクロスが発生していますが、価格の伸びは指標の動きに比べてイマイチな伸びです。その後ADXが20のラインを越えたところで大きな陽線が発生、ボラティリティの拡大が確認できたので次の足で買いエントリーです。ボラティリティが拡大しているうちは決済を行う必要が無いのでチャート内では決済はしていません。ADXが20のラインを割り込みボラティリティが無くなったことが確認出来たら決済でいいでしょう。
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