ROCとはRate of Changeの頭文字をとったもので変化率と訳します。現在価格と過去の価格との変化率を比べることで買われ過ぎや売られ過ぎを判断するモメンタム系のテクニカル指標です。
モメンタム指標は相場の勢いを表すテクニカル指標のひとつで価格の変化率を数値化したものです。価格の変化率が小さくなればトレンドの勢いが弱まり転換の兆候とされ、価格の変化率が大きければトレンドの勢いが強く継続していくと判断するものです。変化率はトレンドの転換時に1番早く現れる兆候とされています。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間9/9月17日取得
ROCはそのモメンタム指標で示された数値を比率で表示したものです。通常モメンタム指標は現在価格と過去の価格との差をそのまま表示しますが、ROCではその差を比率で表します。価格差だけだと全体的にどれくらいの変動があったのかわかりづらいですが、比率で表すことで変化を%で見ることができるため使いやすい指標と言えます。
ROCを使って相場を分析するときにどこに気を付けて見ればいいのか、どういった使い方をすればいいのかを解説します。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間9/9月17日取得
ROCでまず注目するのは中央のラインのどちら側にROCが位置しているかです。ROCがプラス圏にあれば期間内での価格推移は強気で上昇基調にあり、ROCがマイナス圏にあれば期間内での価格推移は弱気で下落基調にあると言えます。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間9/9月17日取得
ROCはオシレーター系のテクニカル指標なので価格とROCのダイバージェンスでトレンドの転換点を判定することもできます。価格は高値を更新しているのにROCは高値を切り下げている場合や、価格は安値を更新しているのにROCが安値を切り上げている場合などです。特に天井圏や底値圏でのダイバージェンスはトレンド転換の信頼度が上がります。
ROCは過去の価格との変化を比率で表しており、トレンド中であれば過去の価格と比べて優位性のある方向を示すため順張りで使います。逆にレンジ中であれば過去の価格と比べて買われ過ぎや売られ過ぎの目安となるため逆張りで使います。相場状況によって使い分けが必要になりますが、予測力の高い先行性のあるテクニカル指標なので是非使いこなしてみましょう。
FXでROCを有効に使うために計算式を理解しておくとどんな場面で使えばいいのかのヒントにもなります。何に注目するのかも合わせて確認してみましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間9/9月17日取得
ROCが0ラインのどちら側で推移しているかは相場の状況を判断するため必要な情報ですが、ROCと0ラインのクロスも注目したい現象です。ROCが0ラインを上から下へクロスした場合は新たな下落トレンドの発生が見込まれますし、下から上へクロスした場合は新たな上昇トレンドの発生が見込まれます。ただしROCの角度が緩やかだったり0ライン付近で推移していたときのクロスは信頼度が低いのでダマシとなる可能性があることは理解しておきましょう。
ROCの計算式は以下の通りです。
(当日の終値 - n日前の終値) ÷ n日前の終値 × 100
モメンタムでは急激な価格変動があった場合、モメンタムの値は突然大きくなってしまいます。しかしROCでは比率で計算することから変化率として算出され過去の価格と相対的に判断できることが特徴です。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間9/9月17日取得
ROCを使ったトレンドフォローの実例です。上図チャートは2022年のUSDJPY日足で、チャート右側で形成されていたレンジをブレイクをして上昇トレンドが発生した場面です。その後のトレンドフォローで買いを狙うタイミングをROCで取っています。
①の位置でレンジ抜けを確認したらROCが調整下落を伴って一度0ラインを割るまで待ち、②の位置で再度0ラインを上抜けるところを第3波の発生タイミングとして次の足で買いエントリーをしています。決済は再度ROCが0ラインを割ったところで行いました。
調整の下落がどこまで落ちるかわからない状況では、過去の価格との差を見ることで上昇に転じるタイミングを知ることができるため、特にトレンドフォローでは効果を発揮します。
出所:FOREX.com/Japan 225/1時間足/期間9/9月17日取得
ROCを使ったダイバージェンスによるトレンド転換トレードの実例を紹介します。上図は2023年6月の日経225の1時間足チャートです。横ばいから下落トレンドへ推移した価格ですが、2回目の安値を付けた場面でROCとのダイバージェンスが発生しています。トレンドの転換示唆が出たのでROCが上昇示唆を示す0ラインの交差を待って次の足から買いでエントリーしています。決済はROCが0ラインを再度割り込んだ時点で行いました。
トレンド転換の示唆だけではダマシも多く発生しますので、上昇示唆を示す根拠まで待つこともトレードの勝率を上げる大事なことのひとつです。是非取り入れてみてください。
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