アルティメットオシレーターは相場の強弱を測定するインジケーターですが、異なる3つの計測期間を設定することでオシレーター系の弱点であるダマシの多さを改善した中長期向けのテクニカル分析ツールです。
アルティメットオシレーターは日々の値動きから買いの圧力を計測し、買いに優位性があるのか売りに優位性があるのかを計測します。一般的なオシレーター系と同様に買われ過ぎや売られ過ぎの判断をしますが、主に利用するシグナルにダイバージェンスを使うところが特徴的と言えます。
出所:FOREX.com/USDJPY/1時間足/期間7.14.28/9月17日取得
通常のオシレーターは1つの期間を基に計算を行います。例えば期間を14とした場合、相場が14期間で推移すればそのオシレーターは有効に機能しますがそれ以外の期間だとダマシが頻発するなどの弱点も。アルティメットオシレーターは長期、中期、短期の3つの期間を同時に計測しながらも期間によって重要度を変化させることで、ダマシを軽減しオシレーターの弱点を改善しています。
アルティメットオシレーターを相場で使うときに見る場所や形、設定値などを解説していきます。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間7.14.28/9月17日取得
アルティメットオシレーターの買われ過ぎラインは70%、売られ過ぎラインは30%と確認する数値は他のオシレーターと特に変わりはありません。しかしアルティメットオシレーターは3つの期間設定がありその中には長期の期間も含まれているため、70%や30%のラインを超えても中々価格が転換しないこともあります。到達でエントリーするのでは無く、エリア突入後に脱出したときにエントリーするなどの工夫が必要です。
アルティメットオシレーターの向きは相場の大まかな方向性を示します。しかし細かい動きが苦手なテクニカル指標のため単体で使用するのでは無くトレンド系のインジケーターと組み合せて、アルティメットオシレーターの方向へトレードするようにしましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間7.14.28/9月17日取得
アルティメットオシレーターの基本戦略はダイバージェンスです。ダイバージェンスが起こるときは、例えば高値圏の場合高値を更新するという2つの波の動きがあります。2つの波が終わるくらいの時間の長さがアルティメットオシレーターが1番有効に機能する時間軸です。ダマシを少なくした反面サインが出るまで時間がかかりますが、出たサインは信頼度が高いとも言えます。
アルティメットオシレーターの開発者であるラリー・ウィリアムズが推奨する設定期間は以下の通りです。
● ファスト期間 = 7
● ミドル期間= 14
● スロー期間 = 28
時間足によってはもっと有効な期間があるかもしれませんが、変更して使う場合は過剰な最適化をし過ぎないように注意しましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/1時間足/期間7.14.28/9月17日取得
チャートパターンのダマシをUOのダイバージェンスで見破った実例です。上図は2020年3月のUSDJPY1時間足チャートです。チャート左側から続く上昇トレンドの小休止でアセンディングトライアングルが形成されつつあり、さらなるトレンド継続を示唆している場面です。緑丸の高値がわずかに更新された位置でアルティメットオシレーターとのダイバージェンスが発生しトレンドの転換示唆がでています。本来チャートパターンがこの形ならば価格は矢印線のように上昇側へブレイクしていくはずですが、ダイバージェンスが発生しているのでトレンドラインをブレイクしたところから売りエントリーしています。決済は同じく安値更新時点でのダイバージェンスで行いました。
この場面ではもちろん上昇する可能性もありましたが、ダイバージェンスを見ていたことでトレンドラインブレイクからの「売りも検討できた」ということが大きな結果です。
出所:FOREX.com/Japan 225/日足/期間7.14.28/9月17日取得
アルティメットオシレーター(以下UO)を使った買われ過ぎからのトレンド転換を狙った実例です。上図は2018年の日経225日足チャートです。チャート左側から緩やかな上昇トレンドを形成しておりUOも70を超えない位置で推移している場面です。レンジのような動きを見せた後に大きく上昇しUOも70を越えてきました。しかしUOはダマシを軽減した半面、すぐに転換しないことも多いのでまだエントリーはしません。その後UOが70のラインを下抜けるのを確認した次の足から売りエントリーを仕掛けました。決済はUOが30に到達した時点で行っています。
UOでは70や30の買われ過ぎ売られ過ぎのラインをしっかり抜けたことを確認してから、再ブレイクした際にエントリーが基本スタイルとなりますので焦りは禁物です。
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