CFDと先物取引、どちらも金融市場の価格変動を利用して利益を狙うための金融商品です。
本記事では、CFDと先物取引の基本的な仕組みから、それぞれの違い、そしてどちらがあなたに向いているのかを解説します。
CFDと先物取引の違いを理解し、自分に合った投資方法を見つけることで効果的な投資、トレードができるでしょう
※FOREX.comではCFDを様々な銘柄でお取引いただけます。先物取引は取扱いがないため、お取引をいただけません。
CFDと先物取引は、どちらもレバレッジをかけた取引ができ、価格変動によって利益を得る投資手法です。
対象となる金融商品は多岐にわたり、株価指数や商品、為替などを扱えるのも共通点です。
しかし、具体的な仕組みや取引方法には違いがあります。
ここではまず、CFDと先物取引とはどういった投資手法なのかわかりやすく解説します。
CFD取引は差金決済取引のことを意味しており、Contract for Differenceの略称です。差金決済取引とは、現物の受け渡しを行わずに、反対売買によって発生した差損益のみで決済する取引を指します。CFD取引では、世界中の株価指数にレバレッジをかけて取引することができます。投資家に人気の為替を取引するFXも、CFDの一種となります。
例えば、ある株価や通貨、商品(原油や金など)の価格が上がると予想したとし「買い」から取引を始めたとします。
価格が買った価格よりも値上がりして決済した場合、その値上がり分を利益として得られます。
逆に、価格が下がると予想すれば「売り」から取引を始め、価格が下がった分だけ利益を得ることも可能です。また、CFD取引の主な特徴は、少ない資金で大きな取引を行える「レバレッジ」の仕組みもがあることです。
これにより資金効率を高められる一方で、ちょっとした値動きにより投下資金(証拠金)に対して大きな損失が発生するリスクもあります。
CFD取引をするには、通常の投資と同じようにまずは取引口座を開設する必要があります。
FOREX.comでは日本平均株価、NYダウ、ナスダックなど、世界の主要株価指数を参照原資産としたと銘柄を取り扱っているので、分散投資がしやすく、さまざまな市場の変動を機会に変えることもできます。
先物取引とは、将来の特定の日時に、あらかじめ定められた価格で資産(商品や金融資産)を売買する契約を行う取引のことです。
先物取引は、株式や通貨、商品(原油や金、農産物など)の価格変動を利用して利益を狙うための金融商品です。
先物取引の特徴は、契約時点で価格が決まっており、将来の受け渡しを前提としている点です。
例えば、ある商品を1か月後に購入するという契約を今の価格で行う場合、その価格が1か月後にどう動くかによって、利益や損失が発生します。
価格が上がればその差額が利益となり、下がれば損失となる仕組みです。
また、CFD取引と同様に、先物取引も「レバレッジ」が利用できます。
先物取引は、投資だけでなくリスクヘッジの手段としても利用されます。
例えば、商品を扱う企業が、将来の価格変動によるリスクを避けるために、先物取引を使って価格を固定することで安定的に運営できるようになります。
CFD取引 | 先物取引 | |
取引場所 | 店頭取引 | 取引所取引 |
資産の所有 | 資産を所有しない | 資産の受け渡し前提だが、実際には所有しないことが多い |
取引期限 | ロスカットされるまで保有可能期限なし | 決まった取引期限(限月あり) |
レバレッジ | 株価指数CFD:レバレッジ10倍 商品CFD:レバレッジ20倍 株式CFD:レバレッジ5倍 | 商品により異なる(例: 30倍程度) |
取引対象 | 株価指数、通貨、商品、仮想通貨など | 商品、株価指数(特に商品が中心) |
取引コスト | 取引手数料なし(スプレッドあり) | 手数料が発生することが多い |
決済方法 | 差金決済 | 差金決済 |
CFDと先物取引は多くの共通点があり、トレードの視点で見ると仕組みは似ています。ただポジション保有期限の有無、取引可能時間を考えるとCFD取引のほうが自由度が高く多彩なトレード戦略が実現できる可能性があります。
結論からいうと、CFDと先物取引の違いは以下の7つです。
それぞれについて、以下で詳しくみていきましょう。
CFD取引と先物取引はどちらも価格変動から利益を狙う手法ですが、取引の仕組みには大きな違いがあります。
CFD取引では、資産自体を保有せず、価格の変動による差額で利益や損失が決まります。取引所を介さずに、売り手と買い手が直接取引を行う相対取引で行われるのが一般的です。
価格が上がると予想すれば「買い(ロング)」、下がると予想すれば「売り(ショート)」のポジションを取ります。
また、ロスカットされるまで原則、決済期限がなく、いつでも自由にポジションを保有・決済できるのが特徴です。
一方先物取引は、特定の商品を将来の特定の日付に、あらかじめ合意した価格で売買する契約を行います。
こちらは取引所を介した取引であり、決済期限(限月)が設定されており、期限内に決済する必要があります。
実際に商品や資産を受け取ることなく、価格変動による差額で決済が行われるのはCFDと共通していますが、限月をむかえ差金決済しない場合は投下資産を追加で預け入れることにより現物を受け取ることも可能な銘柄もあります。
CFD取引と先物取引ではどちらもレバレッジを利用して手持ち証拠金以上の取引を行うことができますが、その倍率には違いがあります。
CFD取引の最大レバレッジ倍率は株価指数CFDで10倍、FXは25倍となります(個人口座の場合)。
具体的に、FOREX.comのレバレッジは以下となっています。
CFD取引 | |
株価指数CFD (主要17銘柄) | 10.00倍 |
USD/JPY | 25.00倍 |
EUR/JPY | 25.00倍 |
GBP/JPY | 25.00倍 |
AUD/JPY | 25.00倍 |
CAD/JPY | 25.00倍 |
CHF/JPY | 25.00倍 |
NZD/JPY | 25.00倍 |
TRY/JPY | 5.00倍 |
SGD/JPY | 20.00倍 |
NOK/JPY | 25.00倍 |
HKD/JPY | 5.00倍 |
ZAR/JPY | 20.00倍 |
CNH/JPY | 25.00倍 |
一方先物取引におけるレバレッジはでは、通常、国内外の株価指数では10〜15倍程度、商品先物では最大25倍程度となっています。
先物取引もCFD取引と同様、レバレッジを利用した証拠金取引になるので資金効率が高い取引ができる一方、価格変動による資金の欠損率は高くなります。
CFD取引と先物取引では、取引の対象となる資産にも違いがあります。
CFD取引は取引所取引ではなく店頭取引となり、世界中の取引所に上場している株式、株価指数銘柄が取引できます。そしてCFDの取引銘柄は各証券会社が顧客に安定した取引環境が提供できると判断した銘柄を選定しCFDとして取引ができます。結果、CFD取引ではさまざまな資産クラスにアクセスできるようになっています。
そのため、株式、株価指数、通貨、商品など幅広い金融商品が取引対象です。
一方で、先物取引の取引対象は、主に商品(コモディティ)や株価指数が中心となります。
これは、先物取引の歴史的背景と目的に由来します。
先物取引は元々、農作物やエネルギーなどのコモディティの価格変動リスクをヘッジするために発展しました。
市場のリスク管理や価格安定化を目的としており、現物の商品や広範な市場指標(株価指数)を取引対象として銘柄提供されています。
つまり、CFDは多様な資産に柔軟にアクセスできるのに対し、先物取引は特定の市場や資産に焦点を当てた取引が多い傾向にあります。
以下は、CFDで取引できる銘柄です。
取引対象 | 例 |
株式 | 日本株や米国株などの個別株 |
株価指数 | 国内株価指数、海外株価指数など |
通貨 | USD/JPY、EUR/USDなど主要通貨ペア |
コモディティ(商品) | 原油、金、銀、農産物など |
債券 | 国債や社債などの債券 |
CAD/JPY | 25.00倍 |
CHF/JPY | 25.00倍 |
NZD/JPY | 25.00倍 |
TRY/JPY | 5.00倍 |
SGD/JPY | 20.00倍 |
NOK/JPY | 25.00倍 |
HKD/JPY | 5.00倍 |
ZAR/JPY | 20.00倍 |
CNH/JPY | 25.00倍 |
このように、CFD取引では株式や商品、通貨など、幅広い金融商品に投資することができ、柔軟な資産選択が可能です。
各市場の特性や動向を活用し、分散投資や短期売買などの戦略を立てやすいのが特徴です。
以下は、先物取引の主な投資対象の一覧です。
取引対象 | 例 |
エネルギー | 原油、天然ガス、ガソリンなど |
貴金属 | 金、銀、白金(プラチナ)、銅など |
農産物 | 大豆、トウモロコシ、小麦、コーヒーなど |
畜産物 | 牛肉、豚肉 |
債券 | 国債や社債などの債券 |
株価指数 | 国内株価指数、海外株価指数 |
通貨(外国為替/FX) | USD/JPY、EUR/USD、GBP/USDなど |
債券 | 日本国債、米国国債、ドイツ国債など |
金利先物 | ユーロダラー金利先物、米国短期金利先物など |
CFD取引と先物取引では、取引期限にも大きな違いがあります。
CFD取引では、基本的に取引に期限がありません。
これは、CFD取引がレバレッジを利用できる証拠金取引であるためです。口座内に十分な余剰資金があることが前提になりますが、ポジションを長期保有することも可能です。
CFD取引は長期的な投資が可能でありつつ、必要に応じていつでもポジションを決済ができる自由度が高い取引環境が用意されています。
ただし、ポジションを長期間保有する場合、保有コスト(金利差調整額)が発生することがあります。
一方、先物取引には必ず「取引期限(限月)」が設定されています。
先物取引では、将来の特定の日に資産を売買する契約を結ぶため、取引はその限月に達すると自動的に決済されるのが特徴です。
限月が近づくと、ポジションを持ち続けたい場合は、新しい限月の契約に「ロールオーバー」する必要があり、一般的な先物取引の限月は、3月、6月、9月、12月など定期的に設定されています。
CFD取引は期限のない柔軟な取引が可能である一方、先物取引はあらかじめ決まった期限(限月)での取引が特徴です。
CFD取引と先物取引の決済方法は多くの点で共通していますが、異なる部分もある点には注意が必要です。
まず、両者で共通している点は、差金決済であることです。
差金決済とは、実際に資産を受け渡さずに、取引開始時の価格と終了時の価格との差額を現金で決済する方式です。
これにより、現物資産の受け渡しを行わずに、価格変動のみで利益や損失が確定します。
また、両者ともに売りから取引を始めることが可能で、価格の上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙えるのが特徴です。
ただし、現物の受け渡しについては違いがあります。
CFD取引では、資産の物理的な受け渡しは行われず、すべて差金決済で取引が完了します。一方、先物取引では特定の商品(コモディティ)において現物の受け渡しも可能です。
CFD取引と先物取引では、取引にかかるコスト構造にいくつかの違いがあります。
両者のコスト構造の違いは以下の通りです。
CFD取引 | 先物取引 | |
スプレッド | 買い価格と売り価格の差が主なコスト | 通常発生しない |
ポジション保有にかかるコスト | ポジションをオーバーナイトによる翌営業日に持ち越す際に発生するコスト(金利調整額) | 発生しない |
取引所手数料 | 取引所手数料は不要 | 取引所手数料がかかる |
このように、CFD取引ではスプレッドが主要なコストであり、スポット取引銘柄の場合はオーバーナイトによる取引コストがかかる可能性がある一方、先物取引では取引手数料が主なコストで、限月に応じたロールオーバーの管理費用が必要になります。
FOREX.comでは入金手数料(クイック入金)、出金手数料、口座管理手数料は無料です。
CFD取引と先物取引の相場分析ではチャート分析を用いることになります。
特にCFD取引はアクティブに資金効率高く短期的な取引で利益を目指す取引になるので短い時間軸のチャートを参照することになります。
CFD取引はデイトレード、スイングトレードなどの短期トレード戦略に適しており、ローソク足チャートや移動平均線などを使い、短期のトレンドやサポート・レジスタンスラインを重視することが一般的と言われています。
一方、先物取引では、期限(限月)が設定されており、長期的なトレンドや価格の動きを見据えた取引も重要になると言われています。
限月までの時間を意識し、日足や週足などの長期チャートを使って、全体的な市場の動向や価格のボラティリティを分析します。
また、特に市場の需給やファンダメンタルズにも注目し、価格の動きを予測することが求められます。
このように、両者はチャート自体は同じものを使うものの、時間軸や注目する指標に違いがある点が特徴です。
例えば、この画像に表示されているチャートは、ローソク足チャートで、CFD取引において非常に一般的に使われるものです。
ローソク足チャートは、一定期間内の始値・高値・安値・終値を視覚的に示すため、トレンドの変化や価格の動きを把握するのに優れています。各ローソク足の色や形状で、相場の上昇(陽線、緑)と下落(陰線、赤)が一目でわかります。
チャート分析で最も有名な指標の一つに「移動平均線」があります。
移動平均線は、過去の価格の平均を滑らかにした線で、短期と長期の移動平均線を使うことで、トレンドの方向を確認します。
短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回る「ゴールデンクロス」は買いシグナル、逆に下回る「デッドクロス」は売りシグナルとして判断されます。
なお、FOREX.comでは30種類以上のテクニカル指標と、9種類の時間軸、さらにはカスタムインジケーターも追加可能です。
先物取引のチャートを分析する際には、トレンドを確認し、サポートラインやレジスタンスライン、出来高、ボリンジャーバンド、RSI、MACDなどのテクニカル指標を駆使してトレード戦略を立てることが重要です。
例えば、この画像はJapan 225のローソク足チャートにボリンジャーバンドを追加したものです。
ボリンジャーバンドでは、バンドの幅が広いときは価格変動幅が大きいことを示し、バンドが狭いときは価格変動幅が小さく、安定していることを意味します。
このチャートでは、9月初めに価格が急落し、ボリンジャーバンドが大きく広がっていることがわかります。
現在の状況ではバンドがやや収縮してきており、ボラティリティが少しずつ収束しつつある可能性を示しています。
さらに詳しい解説は「CFDで勝つためのおすすめ戦略3選」で詳しく解説しているので、ぜひあわせてお読みください。
最後に、CFDと先物取引の違いを比較表でまとめます。FOREX.comではCFD取引のみご利用いただけます。先物取引はご利用いただけません。
CFD取引 | 先物取引 | |
取引の仕組み | 差金決済取引。現物を所有せず、価格差に基づいて決済する。 | 差金決済取引。基本的には現物を所有せず、価格差に基づいて決済する。 |
レバレッジの倍率 | FOREX.comは10倍 | やや低め(一般的に10倍から15倍程度)。 |
取引対象 | 幅広い(株価指数、コモディティ、為替など)。 | 主にコモディティや株価指数などが中心。 |
取引期限 | 取引期限がない。 | 取引期限がある(限月)。 |
決済方法 | 差金決済のみ。現物の受け渡しは行わない。 | 差金決済が一般的だが、コモディティによっては現物の受け渡しが発生する。 |
コスト構造 | 主にスプレッドとスワップポイントや金利差調整分の払いが発生する場合がある。 | 取引所手数料やブローカー手数料が発生する。 |
チャートの見方 | 短期トレードを意識。ボリンジャーバンドや移動平均線で短期のトレンド確認。 | 長期トレンドの確認が重要。移動平均線やMACD、出来高に注目。 |
このように、CFDと先物取引は多くの点で違いが存在します。
簡単にいえば、CFDは決済期限がなく、取引所を介さずに少額で柔軟な取引が可能です。
一方、先物取引は決済期限があり、取引所で標準化された契約が行われ、リスクヘッジ目的で使われることが多いです。
「日経225マイクロ先物」が2023年に上場されて以降、身近な株価指数が先物取引で取引が可能になったということもあり、先物取引のすそ野が広がったと言われています。
こういった背景もあり、もともと先物取引をトレードしていた方の中から新たにCFD取引へ興味を持たれる投資家の方も増えてきているようです。
そこでここでは、CFDと先物取引はどんな人に向いているのか簡単に解説いたします。
まず、CFDに向いている人の特徴は以下の3点です。
以下で詳しく見ていきましょう。
CFD取引の最大の特徴は、取引期限がないため、投資家が自由にポジションを保有・決済できる点です。
これにより、トレンドの状況や市場の変動に合わせて、好きなタイミングで売買が可能です。
先物取引のように期限が決まっているわけではないため、相場が自分の思惑通りに動くまでポジションを保有し続けたり、逆にすぐに決済して次の機会を狙えます。
また、CFDでは上昇相場だけでなく下落相場でも利益を狙うことができるため、相場の状況に応じて買いからでも売りからでも始められ、柔軟性が非常に高いです。
以上の特徴から、特に多忙なスケジュールを持つ人や、取引のタイミングを自身でコントロールしたい人にCFD取引は向いているといえるでしょう。
CFD取引は、比較的少額の資金で始めることができる金融商品でレバレッジ効果を利用して取引ができます。
レバレッジを使うことで実際に必要な証拠金は少なくても、より大きな金額の取引が可能です。
先物取引や現物取引では多くの資金が必要なことが多いですが、CFDでは1万円程度の資金からでも取引を始められるため、まずは差金決済取引投資を体験したい投資家、トレーダーに適しています。
また口座状況はほぼ平日24時間リアルタイムでシステム監視がされており、自動的に強制決済が行われる仕組みもあるため、証拠金取引の中でも口座管理がしやすいという特徴もあります。
このようにこれから証拠金取引を学んでいきたい投資家の方にはFXを含むCFD取引は始めやすい金融商品かもしれません。
CFD取引は、特に短期トレードやデイトレードを好む投資家に向いています。
これは、CFDが相場の短期的な価格変動を捉えて利益を狙うのに適しているためです。
取引対象が幅広く、株価指数や為替などの値動きが活発な商品を選ぶことで、わずかな時間でも大きな利益を得られる可能性があります。
短期トレードのスピード感を好み、迅速に意思決定ができる人には、CFDの取引環境は非常に魅力的に感じられるでしょう。
次に、先物取引に向いている人の特徴は以下の3点です。
以下で詳しく見ていきましょう。
先物取引は株価指数など、特定の商品に対して深い知識を持っている人に向いています。
これは、先物取引の対象となる商品が主に限られた分野(原油、金、小麦、Japan225など)に集中しており、これらの市場や商品に関する情報をしっかり理解していることで、より精度の高い投資判断が可能になるからです。
特定のコモディティは、経済状況や需給バランス、天候、地政学リスクなどの外部要因によって価格が大きく変動します。
そのため、これらの要因に対する理解が深い人は、市場の動向を予測しやすくなります。
また、株価指数についても経済指標や企業の業績に詳しい人はトレンドを見極めやすく、取引機会を増やすことができます。
こうした背景から、特定の領域の専門知識を持ち、それを活かして投資を行いたい人にとって先物取引は魅力的な選択肢です。
先物取引は、中長期的な投資戦略を立てている人に適しています。
これは、先物取引では限月(取引期限)があるため、あらかじめ建玉の保有期間を見据えた投資戦略が必要になる側面があるからです。
短期的な値動きを捉えるCFD取引とは異なり、先物取引では将来の価格変動を予測し、一定の期間内に利益を狙うことも重要なポイントです。
例えば、原油や金などのコモディティは世界的な経済動向に大きく影響されるため、長期的なトレンドを把握しておくことで、適切なエントリーポイントを見つけやすくなります。
また、株価指数なども中長期的に成長が見込まれる国や地域の経済状況を分析することで、リスクを抑えながら資産を増やすことができます。
時間をかけてじっくりと戦略を立てることが得意な人や、将来的な値動きに対して自信を持って取引を行いたい人にとって先物取引は理想的です。
先物取引は、CFD取引に比べて高い証拠金が必要なため、十分な資金を用意できる人に向いています。
先物取引では、商品や市場によって異なる証拠金が定められており、大きなレバレッジをかける場合でも、それなりの初期資金が必要です。
また、取引期間中に相場が急激に変動すると、追加の証拠金を求められることがあります。
もし証拠金が不足した場合、強制的にポジションを決済されて損失を被るリスクがあります。
これを防ぐためにも、十分な資金を事前に準備し、急な相場の変動にも対応できる余裕を持つことが重要です。
さらに、先物取引は中長期の視点で取引するケースが多いため、証拠金を長期間にわたって維持する力も必要です。
安定した資金管理ができる人や、一定以上の資産を確保してリスクを取りながらも着実に取引を進めたい人に、先物取引は向いています。
CFDと先物取引では、分散投資の効果が高い株価指数に投資するのが初心者に注目されていまおすすめです。
初心者でも始めやすいにもおすすめできる株価指数は以下の6種類です。
それぞれの株価指数の特徴について、以下で詳しく見ていきましょう。
株価指数名 | US SP 500(S&P500が原資産) |
設立年 | 1957年 |
構成銘柄数 | 500銘柄 |
主な業種 | テクノロジー、金融、ヘルスケア |
代表的な構成企業 | Apple、Microsoft、Amazon |
算出方法 | 時価総額加重平均 |
対象地域 | アメリカ |
流動性 | 非常に高い |
投資対象としての特性 | 長期的な安定成長、幅広い分散効果 |
リスク要因 | 米国経済依存、景気後退の影響を受けやすい |
対象投資商品 | US SP 500 |
配当再投資の有無 | 再投資型ETFも存在 |
US SP 500(S&P500が原資産)は、アメリカを代表する500社の企業のパフォーマンスを基に算出される株価指数です。
時価総額加重平均型で計算されるため、特に規模の大きな企業が指数に強く影響を与えます。
長期的に見てもUS SP 500は安定した成長を続けています。
過去の経済危機(例:リーマンショック、コロナショック)においても、時間の経過とともに回復しており、安定したリターンの期待値が高いです。
特に、米国経済は世界最大の経済圏であり、その成長力に投資することができるのも大きな魅力です。
さらに、ETF(上場投資信託)や投資信託など、さまざまな金融商品が用意されており、初心者でも少額から投資を始めることが可能です。
US SP 500はこちらの記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひあわせてお読みください。
株価指数名 | Japan 225(日経平均株価が原資産) |
設立年 | 1950年 |
構成銘柄数 | 225銘柄 |
主な業種 | 自動車、電機、金融、通信 |
代表的な構成企業 | トヨタ、ソニー、ソフトバンク、ファーストリテイリング |
算出方法 | 株価平均型 |
対象地域 | 日本 |
流動性 | 高い |
投資対象としての特性 | 日本経済の動向に連動、長期的な成長期待 |
リスク要因 | 日本経済に依存、円高・円安の影響を受けやすい |
対象投資商品 | Japan22 |
配当再投資の有無 | 配当金は指数に含まれない |
日経平均株価は、日本経済新聞社が算出する日本を代表する株価指数です。
東京証券取引所プライム市場に上場している企業のうち、225銘柄で構成されており、日本の経済や株式市場全体のパフォーマンスを反映する重要な指標です。
構成企業には、トヨタ、ソニー、ファーストリテイリング(ユニクロ運営企業)などの主要企業が含まれており、業種のバランスも取れています。
流動性が高いことでも知られ、CFD取引においてもスムーズな取引が可能です。
また、日本経済の動向を反映するため、ニュースや経済指標と連動した動きが多く、相場の予測がしやすいです。
世界的なイベント(例:米国の経済政策、アジア市場の動向)にも影響を受けやすいため、グローバルな視点から分析できるのも特徴の一つといえるでしょう。
情報収集がしやすいという点は、特に初心者には大きなメリットになります。
Japan 225については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひあわせてお読みください。
株価指数名 | Germany 40(DAX 40が原資産) |
設立年 | 1988年 |
構成銘柄数 | 40銘柄 |
主な業種 | 自動車、化学、金融、ヘルスケア |
代表的な構成企業 | BMW、ダイムラー、シーメンス、BASF |
算出方法 | 時価総額加重平均 |
対象地域 | ドイツ |
流動性 | 高い |
投資対象としての特性 | 欧州最大級の経済圏であるドイツの経済に連動、安定した成長期待 |
リスク要因 | 欧州経済やユーロ圏の政治リスクに影響されやすい |
対象投資商品 | Germany 40 |
配当再投資の有無 | 配当金は指数に含まれない |
Germany 40(DAX 40が原資産)は、ドイツを代表する株価指数で、フランクフルト証券取引所に上場する40社の大企業を対象としています。
2021年までは「DAX 30」として運用されていましたが、構成銘柄数が30社から40社に拡大されて現在の形となりました。
構成企業には、BMW、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)、シーメンス、BASFなど、製造業や自動車業界を中心に、エネルギー、化学、テクノロジーの分野でも有名な企業が含まれています。
Germany 40は、ユーロ圏最大の経済国であるドイツのパフォーマンスを代表する指標であり、ヨーロッパ市場全体の経済動向を把握する上でも重要です。
ヨーロッパの経済動向や世界経済の中でもドイツ経済は信頼性が高く、特に自動車産業や機械工業においては世界的なリーダーです。
日本と同じく製造業や機械関連の業種に強く依存するため、初心者でも理解しやすい株価指数といえます。
Germany 40については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひあわせてお読みください。
株価指数名 | UK 100(FTSE 100が原資産) |
設立年 | 1984年 |
構成銘柄数 | 100銘柄 |
主な業種 | 金融、エネルギー、消費財、通信 |
代表的な構成企業 | HSBC、BP、GlaxoSmithKline、Unilever |
算出方法 | 時価総額加重平均 |
対象地域 | イギリス |
流動性 | 高い |
投資対象としての特性 | イギリスを代表する企業が多く、国際的な影響を受けにくい |
リスク要因 | イギリス経済やブレグジットなど、政治的要因に影響されやすい |
対象投資商品 | UK100 |
配当再投資の有無 | 配当金は指数に含まれない |
UK 100(FTSE 100が原資産)は、イギリスの代表的な株価指数であり、ロンドン証券取引所に上場している時価総額の大きい100社のパフォーマンスを基に算出されています。
イギリス国内だけでなく、グローバルな企業が多く含まれており、国際的な影響力が強い指数としても有名です。
金融、エネルギー、消費財、ヘルスケアなど、多様な業種の企業が含まれており、例えばHSBC、BP、GlaxoSmithKline、Unileverなどがその代表的な構成企業です。
イギリス経済だけでなく、欧州や世界経済の動向を反映する指数として、国際的にも投資家から注目されています。
例えば、UnileverやBPはイギリスだけでなく、世界中で事業を展開しており、地域リスクの分散にも役立ちます。
そのため、特定の地域の経済動向に依存せずに安定した投資が期待できるため、初心者向けにもおすすめです。
UK 100については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひあわせてお読みください。
株価指数名 | France 40(CAC 40が原資産) |
設立年 | 1987年 |
構成銘柄数 | 40銘柄 |
主な業種 | 金融、エネルギー、消費財、産業 |
代表的な構成企業 | LVMH、TotalEnergies、Sanofi、BNP Paribas |
算出方法 | 時価総額加重平均 |
対象地域 | フランス |
流動性 | 高い |
投資対象としての特性 | フランスを代表する大企業のパフォーマンスを反映 |
リスク要因 | ユーロ圏経済の影響やフランス国内の政治リスク |
対象投資商品 | France 40 |
配当再投資の有無 | 配当金は指数に含まれない |
France 40(CAC 40が原資産)は、フランスを代表する株価指数で、フランスの主要な40社の大企業で構成されています。
フランス証券取引所(ユーロネクスト・パリ)で取引されており、時価総額加重平均型で算出される指数です。
構成企業には、LVMH、トタルエナジーズ(TotalEnergies)、サノフィ(Sanofi)、BNPパリバなど、幅広い業種が含まれています。
特にフランスは、世界的に有名なラグジュアリーブランドを数多く持つ国であり、LVMH(Louis Vuitton Moët Hennessy)、ケリング(Kering)などの消費財・ファッション関連企業が大きな割合を占めています。
そのため、観光シーズン(夏や冬の休暇シーズン)やクリスマスシーズンなど、消費が増加する時期には価格が上昇する傾向が強いです。
トタルエナジーズ(TotalEnergies)などのエネルギー企業の比率も比較的高く、原油価格の高騰や地政学的な不安定要素がある際には、CAC 40全体が変動しやすくなります。
France 40については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひあわせてお読みください。
株価指数名 | Australia 200(ASX 200が原資産) |
設立年 | 2000年 |
構成銘柄数 | 200銘柄 |
主な業種 | 金融、資源、エネルギー、ヘルスケア |
代表的な構成企業 | BHP Group、Commonwealth Bank、CSL、Westpac |
算出方法 | 時価総額加重平均 |
対象地域 | オーストラリア |
流動性 | 高い |
投資対象としての特性 | オーストラリア経済を代表する企業に分散投資ができる |
リスク要因 | 資源価格の変動や中国経済への依存度が高い |
対象投資商品 | 0 |
配当再投資の有無 | 配当金は指数に含まれない |
Australia 200(ASX 200が原資産)は、オーストラリア証券取引所(ASX)に上場している時価総額が大きい200銘柄で構成される株価指数です。
多様な業種で構成されており、特に金融、資源、エネルギー、ヘルスケアなどの業種が中心となっています。
主な構成企業には、BHPグループ(BHP Group)、コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank of Australia)、CSL(ヘルスケア)などが含まれており、これらの大企業のパフォーマンスがAustralia 200に大きく影響を与えます。
オーストラリア経済は、豊富な資源と安定した政治環境に支えられており、安定した成長が期待できます。
特に資源関連企業や金融業界の存在感が強く、経済が世界的な不況に見舞われても、資源価格の上昇や金融市場の動向がポジティブな影響を与えることが多いです。
また、オーストラリアは地理的にアジア市場に近いものの、経済的には他の地域(特に欧米市場)の影響を比較的受けにくいという特徴もあります。
資源を軸にした経済構造により、他国の株価指数とは異なる動きをすることも多く、分散投資の一環としても有効です。
Australia 200については、こちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひあわせてお読みください。
本記事では、CFDと先物取引の基本的な仕組みから、それぞれの違い、また向いている投資家の特徴について詳しく解説してきました。
CFDと先物取引は少ない投資金(証拠金)でレバレッジ効果を利用してアクティブにトレードができる、また上昇局面のみならず、下落局面でも売りから取引を始めることにより利益を目指せるなど、魅力的な金融商品です。
その一方、CFDも先物取引ともにレバレッジ商品であるため、ちょっとした値動きで投資金(証拠金)に対する利益・損失が大きくなります。このようなことから事前に確保したい利益、許容できる損失を予めシミュレーションしておく、資金管理とポジション管理の方法で何かしらのルールを事前に決めておくなどの事前準備が必要になります。この点も覚えておくようにしましょう。
次の記事:
これが最後の文章です