28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。終値は141.41円と前営業日NY終値(141.83円)と比べて42銭程度のドル安水準だった。米国のインフレ鈍化が鮮明になる中、米連邦準備理事会(FRB)が来年前半にも利下げに転じるとの観測がドル売りを促し、0時30分過ぎに一時140.25円と7月28日以来5カ月ぶりの安値を付けた。ただ、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円売り・ドル買いのフローが観測されると141.59円付近まで急速に値を戻した。米7年債入札後に米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.85%台まで上昇したことも相場を下支えした。
市場では「年末年始を控えて取引参加者が少なく、市場流動性が低下。薄商いの中、値が振れやすい面があった」との声が聞かれた。
ユーロドルは5営業日ぶりに反落。終値は1.1061ドルと前営業日NY終値(1.1105ドル)と比べて0.0044ドル程度のユーロ安水準だった。米金利先安観などを背景にドル売りが進むと、欧州序盤には一時1.1139ドルと7月27日以来約5カ月ぶりの高値を付けた。ただ、NY市場では年末年始を控えたポジション調整目的の売りなどが出て軟調に推移した。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いも相場の重しとなり、3時30分前には一時1.1055ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円は4日ぶりに反落。終値は156.43円と前営業日NY終値(157.51円)と比べて1円08銭程度のユーロ安水準。ドル円が下値を試したタイミングで156.00円を下抜けると一時155.83円まで値を下げたものの、そのあとはドル円と同様にロンドン・フィキシングに絡んだ買い戻しが急速に進み、156.83円まで下げ渋った。
本日のドル円も昨日同様に方向感がなく、月末・年末の特殊玉にかき乱され乱高下を繰り返すことになりそうだ。昨日のドル円は米金利の上下があったとはいえ、1円50銭を超える大相場となった。本日は本邦からだけでなく、オセアニア・アジア諸外国から市場を動意づけるような主だった経済指標の発表や、金融関係の要人講演が予定されていないながらも、流動性が枯渇することが予想されることで激しく動くことになるだろう。
年末にかけては、日銀のゼロ金利政策の行方に対する憶測でドル円は上下したが、依然として今後の方向性は明確に示せないままだ。データ的には今週発表された、11月の全国消費者物価指数(CPI)から算出した「刈込平均値」「加重中央値」「最頻値」のインフレ基調3指標が、生鮮食料品を除くコアCPIが2%を超えてからは22年4月以来となる3指標の伸び率が同時にすべて縮小した。日銀政策決定会合の主な意見で「少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」との見解が示されたことも裏付けられる内容だった。
その一方で、インフレ基調3指標が公表された同26日に行われたNHKでのインタビューで、植田日銀総裁は「中小企業の賃金データが出てなくても、ほかの中小企業に関する指標が好調で、好循環を生み出すであろうということがあれば、ある程度前もっての判断ができる」と述べるなど、経団連が催促する「できるだけ早い正常化」へ舵を取る可能性を示している。同インタビューではチャレンジング発言について「政策的な意図を強く込めたものではなかったが、市場がどういうことを思っているのか、欲しがっているのかというのは非常によく分かった気がした」と述べた。しかし、この中小企業発言などを聞くと、市場はむしろより混迷を深めてしまい、年明けも市場との対話が成り立ってないことで乱高下となりそうだ。
リスクを持つのが難しい要因としては、来週本邦が休場の3日に12月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数、11月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数、12月12-13日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表など、重要イベントが予定されていることもある。個人投資家などはFX業者での取引でポジションを保持することはできるが、本邦の金融機関や一般投資家などは連休中は通常通りとはいかず、年明けにかけての大相場には警戒していることだろう。
また、東京の金融機関は午後からはユーロドル、ポンドドルなど東京が休場となる3日がスポット応当日の通貨の取引は極力避ける傾向が高まる。同様にクロス円も、ばらしてカバー(例、ポンド円をポンド円でカバーするのではなく、ポンドドルとドル円でカバー)することも難しくなってくることで、市場流動性が一気に悪化することには備えておきたい。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○全国の証券取引所、大納会
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
<海外>
○16:00 ◇ 12月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○16:00 ◇ 11月トルコ貿易収支(予想:59.0億ドルの赤字)
○17:00 ◇ 12月スイスKOF景気先行指数(予想:97.0)
○21:00 ◎ 11月南アフリカ貿易収支(予想:58億ランドの黒字)
○23:45 ◎ 12月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:51.0)
○30日01:00 ☆ 7-9月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比5.5%)
○30日01:00 ◎ 12月ロシア消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.9%)
○米債券市場は短縮取引
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
28日18:20 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「現時点で利下げを考慮するのは時期尚早」
「2024年の利下げについて保証はできない」
※時間は日本時間
<ドル円=5日線を試す局面、転換線は重し>
下影陰線引け。7月末以来の141円割れとなり勢いづき、140.25円まで下振れが先行した。7月28日以来の同安値水準では反発。141円台を回復してNYを引けている。
本日141.88円前後で低下中の5日移動平均線を試すことにまずは注視。ただ、低下傾向が続く見込みの転換線142.61円は重しとなるだろう。
レジスタンス2 142.61(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 141.88(5日移動平均線)
前日終値 141.41
サポート1 140.85(12/28レンジ38.2%水準)
<ユーロドル=深押しとなっても転換線前後にとどまるか>
上影陰線引け。前日高値1.1123ドルを上回り1.1139ドルまで上値を伸ばした。7月27日以来の高値圏でさらに上振れたこともあり、その後は反動安のような調整が進んだ。ただ、反落は1.1055ドルまでと、1.1046ドルで引けた5日移動平均線を割り込まない範囲にとどまった。上向きの基調はまだ続いていることが確認できたといえよう。深押しとなっても一目均衡表・転換線1.1027ドル前後にとどまるか。
レジスタンス1 1.1139(12/28高値)
前日終値 1.1061
サポート1 1.1027(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=転換線回復できず目線は下向き>
下影陰線引け。27日に一目均衡表・基準線158.48円が抵抗となり伸び悩んで以降の下落が155.83円まで進んだ。19日以来の安値をつけている。下げ渋って156円台に戻したものの、サポートが期待された一目・転換線156.98円を回復できすにNYを引けた。目線は下向きで、155円付近に位置する200日線も意識されそうだ。
レジスタンス1 157.03(21日移動平均線)
前日終値 156.43
サポート1 155.83(12/28安値)
<豪ドル円=下振れるも転換線を回復>
下影陰線引け。27日に一時97.60円と、目先の上値の節目だった19日高値97.59円を若干ながら上回った。しかし滞空時間はわずか。上昇は勢いづかず昨日は96.10円まで下振れている。しかし一目均衡表・転換線96.34円を回復しており、現水準96.14円から低下する見込みの一目・基準線に追随する展開は回避できた。本日の水準96.54円からもう少し上昇が続く見込みの転換線前後で支えられる展開が続くか。
レジスタンス1 97.24(12/28高値)
前日終値 96.57
サポート1 96.10(12/28安値)
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