トレードで大きな利益を上げるには、相場の波に逆らわずにトレンドの方向へ順張りでついていく必要があります。しかしトレンドの方向を常に把握することは高いレベルの知識と経験値が必要になります。そこでトレンド把握に特化した2つのテクニカル指標を組み合わせ、トレンド状態を常に把握できるトレード環境を疑似的に作ってしまう方法を紹介します。まずは2つのテクニカル指標を簡単に解説していきます。
出所:FOREX.com/US SP 500/日足//11月19日取得
平均足はローソク足の四本値を使って計算されたもので、ローソク足にとてもよく似ていますがローソク足よりもトレンドの流れを視覚的に掴みやすく修正したものです。上昇トレンドでは陽線が連続して出現しやすく、下降トレンドでは陰線が連続して出現しやすいなどトレンドをより明確に捉えることが可能になるテクニカル指標です。
出所:FOREX.com/US SP 500/日足//11月19日取得
ボリンジャーバンドは多くの方が使用している人気のテクニカル指標です。ローソク足を挟むように上下に配置されたバンドと呼ばれる線の傾きによってトレンドの方向を、バンドの広がりや収縮でトレンドの勢いを、バンドの幅によって価格の変動幅を予測することができるとても便利なインジケーターで、最強のテクニカル指標と呼ばれることもあります。
今回はこの2つを組み合わせたトレードアイデアと使い方を紹介していきます。
今回紹介するトレードアイデアはFXよりも株価指数CFDでとても有利になります。株価指数では2か国間の通貨価値をやり取りするFXと違い、企業の株価を基に計算がされています。企業には自身が成長することで株価が上がっていくことが前提としてあるため、株価指数は一方向に進みやすい傾向があります。もちろん常に上昇し続けるわけではないので、2つのテクニカル指標を使って「トレンドが発生している」ことが確認出来てからエントリーを行う「後出しトレード」でも十分間に合うことがこのトレードの特徴です。
投資においてトレンドとは「一方向に価格推移が偏っている状態」を指します。対義語としてレンジというものがありますが、レンジは一定の範囲内で価格が行ったり来たりしている状態を指します。トレードをするにあたって狙える値幅が限られているレンジよりも、偏りがある限り狙える値幅が大きくなり続けるトレンドを追いかけた方が効率がいいということです。
手法によってはレンジ内を狙うこともできますが、価格がどこで反転するのかを把握する必要があり難易度が高いとされています。まずはトレンドを後出しで追いかけ利益を出すことを優先してみましょう。
出所:FOREX.com/US SP 500/日足//11月19日取得
ここからは実際のチャートを使って平均足とボリンジャーバンドを使用してどのようにトレードをしていくのかを解説していきます。トレンドの発生を確認してからトレンドフォロー方向にポジションを取りますが、基本的にはロング(買いポジション)がメインとなります。それぞれ細かいルールがありますが難しくないのでまとめて覚えてしまいましょう。解説は上図の番号に沿って進めていきます。
Point①
下ヒゲのない平均足の陽線が2本連続で出現したらエントリーしていいかの確認に入ります。平均足に下ヒゲのない陽線が出る条件は「価格が一方向に進んでいること」なので、価格推移に勢いがついてきていることが読み取れます。それが2本連続で続いた場合はトレンドが発生した可能性が高くなる場面です。補足として実体が小さくなり過ぎていないこと、または上ヒゲの長さがあることが望ましいです。
Point②
ボリンジャーバンドのバンド幅がある程度開いていることが必要です。「ある程度」の目安はレンジ状態のバンド幅と比べて広がっていればOKです。極端に狭くなければそこまで厳しくすることもないでしょう。表示するバンドは2σ(シグマ)に設定しておきます。
Point③
平均足がミドルラインよりも上にあることが最後の条件です。付け加えるならボリンジャーバンド全体が右上がりに傾いている状態でエントリーを行いましょう。ボリンジャーバンドが横向きの場合はポジションが含み益になるまでしばらくかかる場合もあります。右下がりになっているときはトレンド発生前なのでエントリーはNGです。
Point④
上記3つの条件が揃ったときに足の確定を待ってロングエントリーを行います。エントリーした後は決済条件が出るまで放置します。
Point⑤
平均足の陰線が2本連続して出現したらすぐに次の足の始値で決済を行います。実体の大きさやヒゲの状態は確認しません。陰線2本が確定した時点で即時決済です。陰線が2本続いている状況は、下げの勢いが強くなりトレンドが終了する可能性を否定できませんので、利益を減らしてしまう前に利益の確保を行います。
Point⑥
その後Point①~③の条件が揃ったら足の確定を待って再度エントリーを行っていきます。勝率の高い後出しトレードを行うので、トレンド発生条件がすべてそろってからポジションを持つようにすることがコツです。
Point⑦
2本の陰線が連続したら即時決済を行います。この作業を繰り返すだけで勝率の高いトレードが行えますので是非参考にしてください。トレードの辞め時は条件が揃わなくなったときですが、明確な目安としては平均足がミドルラインを下側に割り込んだタイミングとなります。
このトレードのコツは「焦って底から取ろうとしないこと」「まだ伸びると思って決済サインを自己都合で無視しないこと」です。決められたルールを守ることに徹しましょう。
トレードを行う時間軸のおすすめは日足です。一度エントリーを行えばチャートに張り付かなくてもいいですし、この手法でも取れる値幅が比較的大きくなります。また決済時も1日の猶予があるので慌てることなく落ち着いて取引ができます。
1時間足程度まででしたら効果的な組合せ手法ですが、いくら株価指数と言えども1時間以下の時間軸では上下に激しく揺さぶられることも多くあります。勝率をキープするためにも日足での利用をおすすめします。
出所:FOREX.com/US SP 500/日足//11月19日取得
それでは最近のチャートを使ってどのようにエントリーができたのか解説していきます。上図チャートはS&P500の2023年6月を中心とした日足チャートです。チャートに記した番号に従って進めていきます。
①赤枠で囲った位置でエントリー条件(2本連続した下ヒゲのない平均足の陽線・ボリンジャーバンドの広がり・ミドルラインよりも平均足が上側にある)が揃いました。
②条件が確認できたので足の確定を待って次の足の始値でエントリーしていきます。
③決済条件の2本の陰線が出現したので決済を行います。
④決済タイミングは足確定時に次の足の始値で行うのが理想ですが、日足だと足の切替りが早朝なので2本目の平均足が陰線で確定しそうだと予想できる場合はその時点で決済してしまっても構いません。
⑤このチャート内にはエントリー位置の少し前に、2本の下ヒゲのない陽線が出現しミドルラインの上側に位置している場面がありますが、ここではエントリーしていません。その理由は2本目の陽線が出現したタイミングでその前のバンド幅と比べて十分にボリンジャーバンドが開いていなかったことや傾きがまだ横向きであったことが挙げられます。実際にその場所でエントリーしていた場合、4日ほど含み損が続くことになります。このトレードのポイントは「後出し」ですので明らかな条件が揃うまでは待つことも大切です。
出所:FOREX.com/US SP 500/1時間足//11月19日取得
最後にトレードのヒントとして、多少のリスクを取りながらも大きく獲得値幅を増やすための考え方を解説していきます。今回のルールでは決済サインが出た時はいかなる時でも決済を行うことが条件でしたが、ボリンジャーバンドの傾きが強い時のみミドルラインを割るまでは保有し続けることを検討して構いません。ただしリスクがあるとお伝えした通り、決済サインが出た時点では含み益だったものが急落により損失になる可能性は否定できません。建値に損切りラインを引き上げるなどの対策をしてください。
上図は2023年11月2日から7日にかけてのS&P500の1時間足です。チャート内の番号に沿って解説していきます。
①エントリー条件は特に変わりはなく3つの条件が揃うまで待ちます。
②条件が揃ったら次の足の始値でエントリーしていきます。
③その後陰線の平均足が2本連続で出現し本来なら決済する場面ですが、ボリンジャーバンドの傾きが大きく上昇方向に優位性が認められるので決済せずに保有を続けます。
④この場合の決済条件はトレンド判断のひとつである「価格がミドルラインよりも上側にあること」が目安となります。ミドルワインを割るまでは価格は上昇を続けると判断するということです。
⑤その後3回にわたり2連続陰線の平均足が出現していますが、ミドルラインを割っていないので保有し続けます。
⑥ミドルラインを割ったので決済を行います。
今回の場面では決済時に2連続陰線の平均足、バンド幅の収縮、ミドルラインを価格が下抜けるなどトレンドを確認する項目がすべて無くなる現象が同時に起こっていますが、同時に起こっていなくてもミドルラインを実体で割った場合は即時決済を行いましょう。すでに2連続の陰線という決済条件を反故にして無理をして値幅を伸ばしている状態です。欲張りすぎずに行うことが重要です。