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アメリカ中央銀行(連邦準備銀行)のFED・FRBについて知っておくべきこと

米国の中央銀行制度、連邦準備制度を構成する連邦準備銀行とFRBの運営構造について、そしてその決定がいかに市場に影響を及ぼすかについて解説します。

著者 forex.com
2024年9月20日 午後17:36

目次

連邦準備制度とは米国の中央銀行で、金融政策と金利の規制を担当しており、FRBの決定は米国内外の主な基礎的価格決定要因と密接に関係しています。ここからは、連邦準備制度とは何か、どのように運営されているのか、どのように市場に影響を与えるのかを説明していきます。

連邦準備制度とは米国の中央銀行制度であり、物価の安定を通じた経済の安定的な維持と成長、法定金利の規制、投資需要の向上を通じた最大限の雇用の確保に寄与する機関です。連邦準備制度では金融政策を実施して通貨供給量をコントロールしており、その政策はインフレ、消費者行動、様々な金融商品に影響を与えます。

連邦準備制度は1913年の12月23日、より安全で安定、かつ柔軟な金融制度と通貨制度の提供を目的として、アメリカ合衆国議会によって設置されました。

連邦準備銀行は全部で12行あり、それぞれ米国内の特定の地域で業務を行っています。各支社は地域経済の利害を監督する役割を担い、連邦準備制度理事会(FRB)を通じて中央政府が定めた政策を実行します。12か所の連邦準備銀行の所在地は次のとおりです。

ボストンアトランタニューヨークフィラデルフィア
クリーブランドリッチモンドシカゴセントルイス
ミネアポリスダラスカンザスシティサンフランシスコ

連邦準備銀行は、政府機関と民間組織の両方に所有されています。連邦準備制度理事会は政府機関であるものの、各銀行それ自体は民間企業として営業しており、傘下の銀行が株式を保有して配当金を得ています。

連邦準備制度は連邦準備理事会(FRB)が管理しており、各地域に分散した連邦準備銀行によって代表されています。連邦準備制度の業務には、銀行の準備金の預託、他の銀行への融資、流通通貨としての紙幣の発行、連邦政府の預金口座の管理などがあります。

政策決定は連邦公開市場委員会(FOMC)を通じて行われます。これは12名の委員からなる組織で、議長とFRBの理事、ならびに一部の連邦準備銀行の総裁が参加しています。

FOMCを通じて、連邦準備制度は金融政策を決定し、健全な経済発展を監督します。定期的に開催される年8回の会合で、経済および金融情勢を検討します。FOMCの会合では、消費者物価指数やGDPなどのさまざまな経済指標を踏まえ、フェデラル・ファンド金利、つまり銀行が翌日物ローンとして互いに資金を貸し出す際の利率を決定します。

FOMCはまた、公開市場で国債を売買することで価格を制御します(これは公開市場操作と呼ばれます)。国債を買うということは、金利を下げる目的で資金を投入するということであり、国債を売るということは、金利を上げる目的で通貨供給量を抑制するということです。

FOMCはまた、銀行が連邦準備制度で資金を借り入れる際に支払う金額の割合、つまりディスカウント・レートの監督も行います。このレートが低いと、フェデラル・ファンド金利も低くなる傾向があります。

FRBは準備金要件の管理を通じて通貨供給量に影響を与えます。準備金要件とは、顧客の預金に対して銀行が保持しなければならない現金の比率を指します。FRBが銀行の準備金要件を引き上げると、銀行による貸付が抑制され、市中経済に出回る資金の量は少なくなります。逆に準備金要件を引き下げると、銀行の貸付を促進し、市中経済に出回る資金の量は増えます。

FRBの発表は、特にフェデラル・ファンド金利の差し迫った変更が明らかになった場合、金融市場に大きな影響を与えることがあります。ここからは、株価指数から外国為替まで、FRBの決定がどのような影響を及ぼすかを紹介しましょう。

FRBは、フェデラル・ファンド金利の変更を通じて外国為替に影響を及ぼす場合があります。米国の利上げによって、海外の投資家が債券の高い利回りに惹きつけられます。米ドルが支配的な投資が増えれば、他国通貨に対する米ドルの価値は上がります。

一方、FRBがフェデラル・ファンド金利を引き下げて利率が下落すれば、他のリターンが低い環境で債券に対する初期需要が高まり、価格は上昇し、利回りが押し下げられます。一方で投機筋は米ドルメインの投資を避けるようになり、他国通貨に対して米ドルは弱くなります。

金利が変わると在庫保有コストに影響が出ることから、FRBはコモディティ価格に影響を与える場合があります。金利が上がると在庫保持のための資金調達のコストがかさむことから、コモディティ価格は下落する傾向にあります。供給のインセンティブが下がり、需要パターンが変化するためです。逆に金利が下がると、在庫保持のコストが下がり、供給量が一定になって需要が上がることから、コモディティ価格の上昇につながります。

さらにFRBによる利上げが米ドルに影響を与えることで、コモディティ価格に影響が及ぶこともあります。利上げによってドル価格が上がると、外国での米国商品の価格が上がることから、米国のコモディティ輸出には圧力がかかります。当然ながらその逆も真であり、利下げによってドルが弱くなると、海外から米国商品が買われやすくなります。

フェデラル・ファンド金利の引き上げや引き下げによって、FRBの発表は株価に影響を与えることがあります。高金利の環境では企業が負債を返済するためのコストが高くなる一方、低金利ではこのコストが下がるため、企業の資金借り入れの促進につながる場合があります。

そのため金利が低いときは、企業によっては資金借り入れコストの安さを活かして成長のための投資を行うかもしれません。そこから特定の銘柄に対する強気な動きが生まれることがあります。逆に金利が上がると企業の投資抑制につながり、市場の投機筋は株式から他の証券に移ることがあります。

とはいえ、銀行、証券会社、住宅ローン会社といった金融機関は利上げによって資金貸付け時の利息を高く設定できることから、資金の借り入れが必要な他のセクターに比べると業績が良くなります。

S&P 500などの米国の主要株価指数は、2020年3月3日のコロナウイルスリスクに端を発する利下げの時など、金利が下がった直後には強気に反応することもある一方、先行きの暗いファンダメンタルズに影響されることもあります。たとえば、2週間も経たずに利下げが予定されている段階でパウエル議長が第2四半期の経済の弱体化を予測した際は、市場では弱気な見方が広がりました。

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