中央銀行を一言で説明するならば、その国または一定の地域における金融システムを監督する責務を負う機関です。しかし実際には、金融政策から具体的な目標の実現まで(例えば、通貨価値の安定化、低インフレ、完全雇用など)、幅広い責務を負っている機関なのです。
また、一般的な中央銀行は、政府の銀行としてその国の通貨を発行する機能を持ち、クレジットシステムの統制を行い、市中銀行を監督し、外貨準備高を管理しています。さらに、ラストリゾート(最後の貸し手)としての役割を担います。
主要8カ国の中央銀行:
安定した雇用の実現と物価のバランス調整というのは非常に難しい課題です。そのバランスを調整する主なメカニズムとして、中央銀行には政策金利を変更する権限が与えられています。政策金利というのは、お金の流れ(投資)に最も影響を与える要素の1つです。
政策金利を変更する理由と、それがなぜ影響力を持つのかについては、上述の説明でご理解いただけたかと思います。では、市中銀行が経済の先行きを心配し、回収不能リスクの懸念から貸し渋るような経済環境について、少し考えてみましょう。
政策金利が高い場合、市中銀行にとってより安全な選択肢とは、お金を貸さないことです。そのため、高い金利でも返済が可能な相手にのみ貸し付けを行うようになります。このような環境下では、信用実績のない中小企業は、銀行からの借り入れが難しくなります。これに加え、高金利という条件によって、多くの企業が市中銀行からの借り入れを断念することになります。そして、住宅を購入しようとする個人でも、同じ現象が起こります。
もし、同様の景気シナリオ(経済の先行きが懸念される状況)にもかかわらず、政策金利が低い場合には、市中銀行は貸し付けに値する企業に対して、リスクをとって貸し付けるようになります。特に、極めて低い金利で中央銀行から借り入れができている場合にはなおさらです。このような環境は、住宅ローン金利を引き下げることにもなります。
業績アップのために資金を借り入れる企業と、住宅を購入する個人というのは、経済成長にとって不可欠な2大要素です。そのため、基本的に中央銀行は企業と個人のそのような行動を後押ししますが、それは時に、コントロール不能となったり、過剰なリスクをはらむ場合もあり、結果、厳しい景気後退を招く場合もあります。
このように、中央銀行は政策金利を管理することで、企業と個人のニーズのバランスを保っているのです。
トレーダーもまた、政策金利(の変動)の影響を受けます。外国為替取引において、ある通貨を買うということは、取引の資金として反対通貨を利用して、その通貨の所有権を持つことになります。例えば、NZD/JPYを買う場合、JPY(日本円)を借りてNZD(ニュージーランドドル)を買う、ということになります。資金を借りるというのは、借入コスト(金利)を支払って、資金を調達することを意味します。一方で、買った通貨に関しては金利を得ることになります。もしJPYの金利が0.10%でNZDの金利が2.50%だとすれば、この取引では、支払う金利よりも高い金利を得ることになります。
長期的なアプローチとして、低金利通貨を借りて、高金利通貨を買う投資家がいます。このような取引手法をキャリートレードといいます。キャリートレードは利益を得られる手法ではあるものの、それによって得られる利益だけを考えた場合、通常僅かな額に留まります。というのも、ポジションに関わる日々の損益において、反対通貨に対するその通貨の価値(為替レートの変動)の方が、圧倒的に比重が大きいため、金利で得られる利益というのは取るに足らない程度なのです。
中央銀行が、政策金利を実際に引き上げるか、またはそれについて言及した際に、用いられる用語です。
中央銀行が、政策金利を実際に引き下げるか、またはそれについて言及した際に、用いられる用語です。
量的緩和とは、中央銀行が市中銀行から国債等を買い上げることで、市中銀行の当座預金残高を増やし、市中のマネーサプライを増やすことで、結果として、市場金利を引き下げる効果を持つ、という手法です。主に、長期債(10年債)が対象となります。中央銀行が長期債のマーケットに参加するということは、債権の需要を高めることになりますので、そこから得られる利息(金利)を低下させることにもなります。このような政策の目的というのは、低金利を維持し、市中での借り入れを促進することにあります。
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