エマージングマーケットとは、生産能力が高まり、従来の農業経済から脱却しつつある国のことです。エマージングエコノミーは先進国市場になる途中であり、高い生活水準を作り出し、急速に工業化を進め、自由市場経済を採用しています。
そうした開発途上国のリーダーたちは、企業と投資家にとって魅力的な投資先となることで、世界市場との関りを深めようとしています。
世界通貨基金(IMF)によると、150以上のエマージングマーケットが存在します。しかしながら、何をもってエマージングマーケットとするか、その定義は議論が分かれるところです。
開発途上の経済で有名な国はブラジル、ロシア、インド、 中国の4か国です。これらの国はGDPでは世界有数の大国ですが、各経済圏内の生活水準は多様で、多くの場合、エマージングマーケットとみなされています。たとえば、中国はGDP世界第2位ですが、一人当たりのGDPは62位で、インドはGDP世界第5位ですが、一人当たりのGDPは145位です(2021年10月時点)。
それぞれのエマージングマーケットは異なりますが、次のような共通点があります:
対米ドルでの為替レートの変動は、融資、貿易、債務の多くがドル建てであるため、エマージングマーケット経済の見通しを形作る重要な要因です。
通常、米ドルの価値が上昇すると、エマージングマーケットの通貨価値は下落します。エマージングマーケットの輸出競争力が低下し、海外投資家が「リスク回避」に傾くからです。逆に、ドルが安くなると、エマージングマーケットの通貨は高くなり、財政政策がより自由に調整されます。
エマージングマーケットでの為替レートの急激な変動は、多くの場合、資本流出、資金調達条件の悪化、金融不安の増大と繋がっています。ですが、グローバルな力と国家の力が共同でこれらの通貨の相対的な強さを決定するため、そのような急変を起こす原因を解き明かすのは困難です。
エマージングマーケットの一人当たりの所得は平均よりも低い傾向にあります。このような国は、政府が工業化と製造業活動を推し進めているため、一人当たりの所得はGDPとともに増加することが期待されています。しかし、中国やインドなどの国でもみられるように、常にそうであるとは限りません。多くのエマージングマーケットでは、国が成長するとともに貧富の差が激しくなってしまうことがあります。
エマージングマーケット経済が大きく成長するかどうかは、通常、工業化が進むかどうかに基づいています。一般に、平均成長率はほとんどの先進国市場よりも高い水準で推移します。これはエマージングマーケットの政府が工業化と急速な経済成長に有利な政策を実施する傾向があるためです。そうした政策により、失業率が低くなり、優れたインフラが構築されます。
このような成長には多くの投資が必要ですが、これらの国の市場は先進国の市場よりも成熟していません。そのため、農業経済から先進国経済への移行期には、国内資本が不足し、多くの場合で海外からの多額の資本流入を必要とします。
工業化の割合が高い国は、投資収益率が高くなるため、海外投資家には魅力的に映ります。
多くのエマージングマーケットでは、金融政策がボラティリティの影響を受けやすくなっています。これは資産の流動性が乏しくなるためであり、投資家の意欲をそぐような減速や急変が発生します。このボラティリティにより、投資家は為替レートの変動や市場パフォーマンスの低下といったリスクにさらされます。
ボラティリティは、政治不安や自然災害による需給の悪化など、さまざまな要因によって引き起こります。エマージングマーケットのリーダーたちが工業化に必要な変革を行うと、農業など他の分野が苦しむことになります。時間の経過とともに、これらは社会不安、反乱、政権交代につながる可能性があります。産業が国有化されたり、政府の債務が不履行になったりすれば、投資家はすべてを失います。
エマージングマーケットの通貨は、他の通貨よりも為替レートの変動による影響を受けやすいです。顕著な例はアルゼンチンペソです。これは米ドルに対し国のインフレ率そのものよりも高い値で価値が低下しています。
エマージングマーケットの通貨はまた、原油や食料などのコモディティの変化に影響を受けやすいです。これは、こうした国々がそのような動きに影響を与えるほどの力を持っていないからです。たとえば、米国が2008年にトウモロコシエタノールの生産に補助金を出したところ、原油と食料の価格が高騰しました。このため、多くのエマージングマーケットの国で食料暴動が起きました。
なぜエマージングマーケットの資産に注目するのでしょうか?
主なメリットは成長可能性です。国営企業や、情勢を利用した海外企業は、組織が安定するにつれ収益が上がり、株価も上昇する可能性が高いです。そして企業が安定して成長すれば、その国の通貨もまた強くなります。
国際的なポジションは、米国を含む1か国または地域の景気後退を他の国の成長で相殺することができるため、取引口座や投資ポートフォリオの分散に有効な手段です。
CFDでトレードする場合、通貨、 株価指数を含むエマージングマーケットの資産が上昇するか下落するかを予測できるようになります。この点は重要ですので覚えておくべきでしょう。これには各国の今後の成長、そしてボラティリティを利用できます。
エマージングマーケットでのトレードを開始するにはForex.comの口座を開設するか、最初にリスクのないデモ口座でトレードを練習してください。
エマージングマーケットにはエキサイティングなチャンスがありますが、他とは異なるリスク要因が複数存在するため、注意することが重要です。それらは以下のようなものがあげられます:
「国際通貨基金2021年世界経済見通し」によるエマージングマーケットの総合リストは以下の通りです。
地域別エマージングマーケット | |
アジア | |
バングラデッシュ | |
ブータン | |
ブルネイ・ダルサラーム | |
カンボジア | |
中国 | |
フィジー | |
インド | |
インドネシア | |
キリバス | |
ラオス | |
マレーシア | |
モルディブ | |
マーシャル諸島 | |
ミクロネシア | |
モンゴル | |
ミャンマー | |
ナウル | |
ネパール | |
パラオ | |
パプアニューギニア | |
フィリピン | |
サモア | |
ソロモン諸島 | |
スリランカ | |
タイ | |
東ティモール | |
トンガ | |
ツバル | |
バヌアツ | |
ベトナム | |
ヨーロッパ | |
アルバニア | |
ベラルーシ | |
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ | |
ブルガリア | |
クロアチア | |
ハンガリー | |
コソボ | |
モルドバ | |
モンテネグロ | |
北マケドニア | |
ポーランド | |
ルーマニア | |
ロシア | |
セルビア | |
ターキー | |
ウクライナ | |
南米・カリブ | |
アンティグア・バーブーダ | |
アルゼンチン | |
アルバ | |
バハマ諸島 | |
バルバドス | |
ベリーズ | |
ボリビア | |
ブラジル | |
チリ | |
コロンビア | |
コスタリカ | |
ドミニカ | |
ドミニカ共和国 | |
エクアドル | |
エルサルバドル | |
グラナダ | |
グアテマラ | |
ガイアナ | |
ハイチ | |
ホンデュラス | |
ジャマイカ | |
メキシコ | |
ニカラグア | |
パナマ | |
パラグアイ | |
ペルー | |
セントクリストファー・ネービス | |
セントルシア | |
セントビンセント及びグレナディーン諸島 | |
スリナム | |
トリニダード・トバゴ | |
ウルグアイ | |
ベネズエラ | |
中東・中央アジア | |
アフガニスタン | |
アルジェリア | |
アルメニア | |
アゼルバイジャン | |
ベーレーン | |
ジブチ | |
エジプト | |
ジョージア | |
イラン | |
イラク | |
ヨルダン | |
カザフスタン | |
クウェート | |
キルギス共和国 | |
レバノン | |
リビア | |
モーリタニア | |
モロッコ | |
オマーン | |
パキスタン | |
カタール | |
サウジアラビア | |
ソマリア | |
スーダン | |
シリア | |
タジキスタン | |
チュニジア | |
トルクメニスタン | |
アラブ首長国連邦 | |
ウズベキスタン | |
ヨルダン川西岸・ガザ地区 | |
イエメン | |
サブサハラアフリカ | |
アンゴラ | |
ベナン | |
ボツワナ | |
ブルキナファソ | |
ブルンジ | |
カーボベルデ | |
カメルーン | |
中央アフリカ共和国 | |
チャド | |
コモロ | |
コンゴ民主共和国 | |
コンゴ共和国 | |
コートジボワール | |
赤道ギニア | |
エリトリア | |
エスワティニ | |
エチオピア | |
ガボン | |
ガンビア | |
ガーナ | |
ギニア | |
ギニア・ビサウ | |
ケニア | |
レソト | |
リベリア | |
マダガスカル | |
マラウイ | |
マリ | |
モーリシャス | |
モザンビーク | |
ナミビア | |
ニジェール | |
ナイジェリア | |
ルワンダ | |
サントメ・プリンシペ | |
セネガル | |
セーシェル | |
シエラレオネ | |
南アフリカ | |
南スーダン | |
タンザニア | |
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