経済指標や景気に関する発表は、トレードをするにあたり大変重要な判断材料となります。雇用統計や小売売上高のような重要指標は、それ自体が経済の強弱に関する青写真となりますが、一方で、それだけでは経済の状況を捉えにくいものの、重要な発表の結果を推測するのに役立つ指標というのがあります。それでは、景気先行指標(=重要指標がどのような結果になるかを予測するための手がかり)についてみていきましょう。
どんな出来事であっても、根本的には消費者の習慣や行動に起因します。そのため、その点を意識して経済指標の結果等を判断する必要があります。例えば、小売売上高は消費者の購買行動がダイレクトに反映し、国内総生産(GDP)は企業や消費者における支出の影響を受けます。雇用は、消費者が購入する商品需要がダイレクトに反映します。このような知見をトレードで活用できるため、消費者が楽観的なのか悲観的なのかを判断する基準を持つ、というのは非常に有効な手段です。そして、各調査がその判断材料となります。注意点としては、重要指標とは異なる調査対象期間の可能性もあるため、各調査の影響力は、慎重に判断しなければいけません。
各調査結果は、調査が実施されてから一般的には1〜2週間後に報告されますが、小売売上高のようなレポートは月末から2〜6週間後に報告されます。それゆえ、さまざまなレポートの調査対象期間を一致させて判断することが不可欠です。
ISMやIHS Markit等の機関により、様々な購買担当者景気指数(PMI)レポートが発表されますが、それらは全て異なる重要度を持っています。中でも、“flash” や “preliminary” といった速報にあたるリリースが最も重要です。その重要性の背後には、発表のタイミングが関係しています。速報値は、一般的に月の半ばまたはその少し後に発表されます。月初からその時点までの状況を購買担当者や供給担当者が分析します。50が変わらずで、数値が高いほど当月の改善度合いが強いことが示します。逆に、50を下回る場合、過半数の回答がネガティブであるため、景気後退のいちシグナルとして捉えられることになります。
政府による公式発表というのは、正確性へのこだわりや官僚的な理由によって、やや遅くなる傾向があります。その点、企業による発表はより柔軟です。一例を挙げると、前月の自動車販売台数に関し、企業は月末までには発表しますが、その後かなり遅れて、政府は公式発表をおこないます。自動車の販売が好調だとすれば、理論的には、他の消費に関しても好調であろうと推測できます。
以上は、景気先行指標のほんの一部に過ぎません。経済指標に関する知識はトレードで勝つための武器となります。より多くの経済指標を分析していただき、ぜひ、その知識をトレードに生かしてください。
また経済指標カレンダーもご活用ください。