米ドル/カナダドルは、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定後の下落を戻そうと今週の高値(1.3238ドル)に接近しているが、米国から発表される個人消費支出(PCE)価格指数はインフレ率の鈍化を示すと見込まれているため、米ドル価格の足を引っ張る可能性がある。
米ドル/カナダドルは今月初めに今年の安値(1.3093ドル)を記録した後、価格が収束してレンジ相場で推移していた。FRBの利上げに対する反応は限定的で、政策の歩行転換が間近に迫っているとの思惑の中、為替レートは規定のレンジ内に収まる可能性がある。
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出典: CME
CMEのFedWatchツールによると、市場関係者は2023年末にフェデラル・ファンド金利が5.25%~5.50%になる確率を60%以上と見ている。FRBが利上げサイクルの終わりに近づいているように見えることから、米国の金融政策をめぐる思惑が米ドル/カナダドル価格を左右するだろう。
結果として、PCEの最新値公表が米ドル/カナダドルの足を引っ張る可能性がある。FRBがインフレの指標として重視しているコアPCEは、前月の前年比4.6%から6月には4.2%に縮小すると見られており、FRBは「会合の都度意思決定を行う」と公言していることから、物価上昇率の著しい鈍化によって連邦公開市場委員会(FOMC)は傍観の姿勢に転じる可能性がある。
しかし、コアPCEが予想を上回った場合にはFOMCに引き締め政策を求める圧力がかかるため、ドルは強気に反応するだろう。9月の会合では経済予測サマリー(SEP)の更新が予定されているが、パウエル議長らがフォワードガイダンスを調整するかどうかは未知数だ。
それまでは、FOMCとカナダ中銀(BoC)がインフレ対策を続けてる中、米国とカナダから発表されるデータが米ドル/カナダドルに影響を与える可能性がある。とはいえ為替レートは狭いレンジ内で推移しているため、今年の安値(1.3093ドル)からの回復は短期間で終わる可能性がある。
以上をまとめると、米PCEの顕著な鈍化が米ドル/カナダドルの足を引っ張る可能性がある。為替レートは前月中に移動平均線を押し上げることができなかったことから、50日間移動平均(1.3309ドル)の負の傾斜に追随する可能性がある。
チャート作成:ストラテジスト、David Song TradingViewの米ドル/カナダドル価格
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