日米間の利回り変動許容幅の拡大は、米ドル/円の上昇がファンダメンタルズの観点から正当なものであることを示唆しており、財務省が円を支えるために日銀に為替市場に直接介入するよう指示することで市場原理に対抗することを試みるべきかどうかは疑問だ。
米国債と日本国債の利回りの差が拡大しているのは、日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)プログラムを通じて日本国債(JGB)の利回りに上限を設け、短期国債など他のソブリン債の利回りを押し上げている市場の圧力に対抗する努力を続けていることが主な原因である。日銀は先月、国債買い入れプログラムに関してより柔軟な枠組みを発表し、ベンチマーク金利が0%の目標から逸脱する変動許容幅を0.5%から1%に広げたが、それ以来すでに何度か、利回りが0.66%を超えて上昇するのを防ぐために介入している。
為替介入をめぐる議論であまり語られない要因としては、円だけでなく、米ドルの強さがバスケット通貨に対しても反映されるということもある。例えば豪ドルや中国人民元を見てみよう。このような環境では、為替介入は短期的には効果がないことを示唆している。日銀が持続的に円を支えようとするなら、日本国債の利回りを上昇させた方がうまくいくだろう。日銀がより柔軟なYCCアプローチをとることで、今回はそれが可能になるかもしれない。
今週、鈴木俊一財務相が為替介入の可能性について最初の警告を発したものの、過去の介入エピソードの際に見られたように、円の動きについて当局者が大量のコメントを発表するという状況にはまだなっていない。口頭のコメントで為替を左右する試みに失敗したら、次のステップは通常、日銀がトレーディング・デスクと為替水準の「抜き打ちチェック」を行うことだ。過去の例に従うなら、このタイミングで米ドル/円のロング・ポジションの保有や追加を考え直すべきだろう。その後のステップは、日銀が介入の引き金を引くことである。
米ドル/円は堅調な上昇トレンドを維持しており、今週は7月のピークである145円を上抜けした後、米国債利回りの上昇と同時と合わせて夜間に再び上昇した。短期的には146円の下、そして145円でも買いが入るかもしれない。上値の見通しとしては、昨年10月は147.50付近に節目があった。ここまでくると、さらにその上に向かう可能性がある。
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