22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反発。終値は142.41円と前営業日NY終値(142.12円)と比べて29銭程度のドル高水準だった。11月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)が前年同月比2.6%と予想の2.8%を下回り、変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが前年比3.2%上昇と予想の3.3%を下回ると、米連邦準備理事会(FRB)が2024年に利下げに踏み切るとの期待が高まり円買い・ドル売りが先行。23時過ぎには一時141.89円付近まで下押しした。
ただ、アジア時間に付けた日通し安値141.87円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。米長期金利の指標となる米10年債利回りが上昇に転じ、3.9193%前後まで上昇すると円売り・ドル買いがさらに強まり、一時142.66円と日通し高値を付けた。
もっとも、200日移動平均が位置する142.77円を上抜けることは出来なかった。昨日NY時間の高値142.98円や節目の143.00円もレジスタンスとして意識された。
ユーロドルは小幅続伸。終値は1.1014ドルと前営業日NY終値(1.1011ドル)と比べて0.0003ドル程度のユーロ高水準だった。米耐久財受注額が予想を上回ったことを受けて一時1.1002ドル付近まで売られたものの、米物価指標の下振れで米インフレの鈍化が再確認されると一時1.1040ドルと8月10日以来の高値を更新した。ただ、米長期金利が上昇に転じると上値が重くなり、2時過ぎには1.1000ドル付近まで押し戻された。
もっとも、NY市場に限れば値幅0.0040ドル程度のレンジ取引に終始した。来週のクリスマスに伴い長期休暇を取る参加者も多く、商いは低調。大きな方向感が出にくい面もあった。
ユーロ円は3日ぶりに反発。終値は156.84円と前営業日NY終値(156.46円)と比べて38銭程度のユーロ高水準。しばらくは156円台半ばでのもみ合いが続いていたものの、米国株相場が底堅く推移すると円売り・ユーロ買いがじわりと強まった。2時前に一時156.99円と本日高値を更新した。
本日はクリスマスのため、日本と中国以外のオセアニア・アジア・欧州・北米の主要国が休場となり、市場はリスクを取りにくい状況だ。また、東京の為替市場も、東京市場の締めとされている日本時間15時半以後は、更に流動性が悪化すると見込まれている。
通常ならばクリスマス・年末ということもあり市場が動意づくことは難しいのだが、本日のドル円相場は神経質な動きになる要素がある。一つ目のポイントは、22日に発表された2024年度予算案で、国債費の想定金利を23年度まで7年間続いた1.1%から1.9%に設定して、17年ぶりに引き上げたこと。すでに多くの報道で引き上げとなる可能性は報じられていたが、政府が今後の金利上昇を正式に織り込み始めたともいえ、アベノミクスの終焉により政府サイドも日銀によるゼロ金利政策解除を了承したともいえる。市場が今後どのようなスピードで、どこまで金利引き上げを容認するかを読み解く展開が予想される。
二つ目のポイントは、本日は経団連の審議委員会で植田日銀総裁が講演を行う予定となっていること。植田総裁は、6月にポルトガルのシントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでの総裁の発言が笑いを取ったことを、日本のマスメディアでは冗談と捉えられたようだ。しかしながら、海外メディアはデジタルトランスフォーメーションについての質問に対して、来年の新札発行について回答したことで、質問への回答にならず失笑を受けたとされている。
そして、今月7日の「チャレンジング」発言も、質問が今後の金融政策についてではないにもかかわらず、市場に誤解を与える結果を招いた回答をしている。本日の講演でも、市場流動性も悪い中で、空気が読めず(KY)、誤解を招く発言をするリスクがあるのではないかと市場参加者は恐れている。
また、主催する経団連の十倉会長も「消費税などの増税から逃げてはいけない」「消費税引き上げも有力な選択肢」などと述べるなど、国民のおかれた状況を認識できず、空気が読めないとの批判の声が多い。その十倉会長は先週18日に日銀のマイナス金利などの大規模緩和策について「できるだけ早く正常化すべきだ」と述べ、経団連が「前年以上の熱量で賃上げをめざす」と述べている。この発言に植田日銀総裁が気をよくして、再びチャレンジング発言のようなことを言いかねない可能性もあり注意したい。
※時刻表示は日本時間
<国内>
○未定 ◎ 植田和男日銀総裁、講演
○14:00 ◇ 10月景気動向指数改定値
<海外>
○ニュージーランド、オーストラリア、香港、シンガポール、韓国、インド、スイス、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、英国、南アフリカ、カナダ、米国、ブラジル、メキシコ(以上、クリスマス)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
22日08:50 10月30-31日分の金融政策決定会合議事要旨
「委員は、足もとの物価上昇率は、7月時点における想定よりも上振れているとの認識を共有した」
「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果などによって、ひと頃に比べればプラス幅を縮小しているものの、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足もとは2%台後半となっているとの認識で一致」
「先行きの不確実性は高く、現時点では、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を十分な確度をもって見通せる状況には、なお至っていないとの認識で一致」
「別のある委員は、予想物価上昇率や基調的な物価上昇率の動きも踏まえると、『物価安定の目標』の実現が視野に入ってきたと考えており、今年度下期はその見極めの重要な局面になると述べた」
※時間は日本時間
<ドル円=200日線を下回る水準での不安定な推移想定>
小陽線引け。3日ぶりに陽線となり下げ止まりの兆候を示した。
とはいえ強弱の判断の分かれめとなる200日移動平均線は下回ったまま。足もとの動きを示唆する一目均衡表・転換線が上下に振れていることから、200日線を下回る水準で不安定に推移する展開が想定できる。
レジスタンス1 143.05(12/19-22下落幅の38.2%戻し)
前日終値 142.41
サポート1 142.05(12/21安値)
サポート2 141.43(12/15安値)
<ユーロドル=高値圏で調整も視野に>
極小陽線引け。一時1.1040ドルまで上昇したものの頭打ちを示唆する上十字線に近い足型を形成している。8月10日以来の高値をつけたところでいったん調整が入る展開も視野に入れて臨みたい。1.0993ドル前後で推移する5日移動平均線を割り込む場面も想定しておきたいが、20日安値1.0930ドルや上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線(現在1.0907ドル)がサポートになるとみる。
レジスタンス1 1.1065(8/10高値)
前日終値 1.1014
サポート1 1.0930(12/20安値)
<ユーロ円=転換線を支えに21日線などの抵抗こなすか>
小陽線引け。日足一目均衡表・転換線156.22円を割り込む場面を挟みつつも下げ渋る動きが続いた。現在は横ばいながら上昇傾向を維持する見込みの転換線前後の底堅さを維持するとみる。同線を支えに158円付近で低下中の21日移動平均線などの抵抗をこなす展開が予想できる。
レジスタンス1 157.64(12/19-21下落幅の61.8%戻し)
前日終値 156.84
サポート1 156.13(12/21安値)
<豪ドル円=雲の上限前後の攻防>
小陽線引け。21日に下ひげを形成して下げ渋った際の安値96.33円付近の底堅さを維持した。一時97円台まで戻したもののやや押し返されて週の取引を終えている。一目均衡表・雲の上限96.83円前後の攻防だが、緩やかに上昇する雲の上限は強い抵抗にならないだろう。じりじり戻す展開を見込む。
レジスタンス1 97.41(12/20高値)
前日終値 96.88
サポート1 96.33(12/21安値)
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