RCIはRank Correlation Indexの頭文字を取ったもので日本語で順位相関指数と訳します。価格だけでなく日付にも順位をつけ計算するため、時間的要素を加えた買われ過ぎや売られ過ぎを判断することができるオシレーター系のテクニカル指標です。数値は+100%から-100%で表されます。
出所:TradingView/USDJPY/日足/期間9/9月28日取得
RCIとよく比較されるテクニカル指標にRSIがあります。どちらも買われ過ぎや売られ過ぎなど相場の過熱感を見るものですが、大きな違いは時間の概念を取り入れるかどうかです。
RCIは日付にも順位をつけて計算するため値幅だけで左右されない特徴があります。また順位を付けることで値幅がない時でも買いと売りのどちらに優位性があるのかを確認することもできます。
そのためトレンドの強さを測ることができ、レンジ相場だけでなくトレンド相場でも使用することがあります。
RCIの特徴として、計算式に時間が加味されていることで直近の価格推移を同時に見ることができます。そのため相場の過熱感を見るだけでなく、現在価格の優位性がある方向をRCI位置や傾きで知ることができ、その方向に従って順張りを仕掛けることもできます。
ここでは、RCIのどこに注目して見ればいいのか、どんなときに売買サインがでるのかを確認していきましょう。
出所:TradingView/USDJPY/15分足/期間9/9月28日取得
RCIは連続して価格が上昇すればするほど+100%に近づき、買われ過ぎと判断します。逆に連続して下降すればするほど-100%に近づき、売られ過ぎと判断します。過熱し過ぎた相場であるとする目安としては±80%のラインがよく使われており、価格の到達または到達後のライン割れのタイミングが売買サインとなります。
例えば上昇した価格が+80%ラインに到達したときに売りエントリー、または+80%ラインに到達後+80%のラインを割ったときに売りエントリーのサインとして使います。
出所:TradingView/USDJPY/15分足/期間9/9月28日取得
0ラインを使うことで相場の方向性を見定めることができます。0ラインを境にトレンドがどちらの方向に優位性があるのかの目安として、RCIが0ラインより上で推移しているなら上昇トレンド、RCIが0ラインより下で推移しているなら下降トレンドと判断し、±80%までの到達を見越して順張りでも攻めることができます。
出所:TradingView/USDJPY/15分足/期間9/9月28日取得
RCIを使って±80%ラインに到達したところでエントリーをしてもさほど勝率は高くなりません。RCIの計算では直近の価格の方が順位が高く価格の推移に時間を加味しているからで、RCIが高いということは直近の価格は一方的であるとも言い換えられます。例えば期間9のRCIが100%になっているということは9日間価格が上昇を続けていることになります。ここまで強いトレンドが発生しているなら安易に逆張りの売りをするのは考えられません。
しかしその後+80%のラインを割るようなら過熱感も冷めてきており、トレンドが転換することも視野に入れることができます。このように過熱感を見るだけでなくトレンドの強さを時間を加味して見ることで確度の高い分析を行うことができるのです。
RCIにはどのように時間要素が組み込まれているのか推奨のパラメーター設定とともに確認していきましょう。
RCIの推奨設定値は取引するスタイルによっていくつかパターンがあります。
デイトレードなど短期売買を行う際の期間設定は「9」を使用します。理由としてサイクル理論の考え方の中で1番短いサイクルが9であるためですが、比較的敏感に反応するので短期売買で使いやすいことも挙げられます。
セミスイングトレード(1週間程度)などの中期売買を行う際の期間設定は「26」を使用します。こちらもサイクル理論の考え方を採用しており、RCIが価格に沿って滑らかに動くことで中期的な取引で使いやすい数値です。
スイングトレードなどの長期売買を行う際の期間設定は「52」を使用します。サイクル理論の中でも大きいトレンドの変わり目が52期間とされており、相場の大まかな方向性も合わせて確認することができます。長期保有する場合は目先の値動きよりも大きな流れの方向に従う必要があるため、期間の長い数値を使用することをお勧めします。
RCIの計算式は次の通りです。
d=日付の順位と価格の順位の差を2乗して合計した値
n=指定した期間
この計算式は日付と価格の順位が似ていればプラス圏、差異があるほどマイナス圏に数値が傾きやすいようになっています。例えば期間5とした場合、5日間の価格が毎日上がっていれば+100、5日間の価格が毎日下がっていれば-100になるような計算式なので、±100でない場合は期間内で価格がジグザグしているとも言い換えられます。計算式の中身を知ることで単に数値が〇〇以上だから買いではよくないことがわかってきます。
計算例は下記の通りです。
リアルタイムで動く相場でRCIを使ってどのような場所で取引をすればいいのか、実際のチャートを用いて取引実例を解説していきます。
出所:TradingView/USDJPY/日足/期間14/9月28日取得
上図は2018年のUSDJPY日足チャートです。画面左側から勢いのある下落トレンドが発生しており、RCIも低い水準を保っていました。その後画面中央あたりでは下落の勢いが衰えないまま安値が更新され続けていましたが、RCIは下値を切り上げ価格とRCIでダイバージェンスが発生。トレンドの転換サインがでた直後に大きな陽線が確認できたのでRCIが0ラインを上抜け、価格の方向に上向きの優位性が確認できた次の足で買いエントリーを仕掛けています。
ダイバージェンス直後に買いを入れてもいい場面ですが、大きな陽線が発生し0ラインを下から上抜けるまで待つことでトレンド転換の根拠が重複するタイミングでポジションを持つことができます。
上図は2020年の日経225の日足チャートです。2020年1月までレンジを形成していた価格が2020年2月に急落した場面で、その下落トレンドの転換を3本のRCIを使って捉えた取引実例です。期間の違うRCIを複数本表示することでトレンドの転換タイミングを確度が高い状態で知ることができます。設定期間は短期RCI=9、中期RCI=26、長期RCI=52です。
2020年2月に急落した価格を追いかけるように赤丸の地点で3本すべてのRCIが−80の売られ過ぎラインに到達しました。しかしRCIの特性上まだ転換とはなりません。その後中期RCIが長期RCIを下から上へ上抜けゴールデンクロスが発生し転換の予兆が確認できましたのでここから注意深く監視を行います。その後緑丸の地点で長期RCIが−80のラインから脱出、ここでトレンドの転換が発生したとして次の足で買いエントリーをしています。
3本のRCIを使う理由としては、大きなトレンドが転換するには短期的にも中期的にも長期的にも売られ過ぎとして確認される必要があり、そしてそのエリアからすべてのRCIが抜ける必要があります。しかし常時監視しているわけにもいかないので転換の予兆を確認し、サインが出た後にいつでもエントリーできる準備をするためです。