出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間20.乖離2%/9月27日取得
移動平均線から乖離したところに線を引く理由は相場の過熱感を判断するためです。相場が加熱して行き過ぎてしまった価格は平均値に戻ってくる習性があり、それを利用した逆張りの指標として取引に活かしたり、勢いのあるトレンドがいつまで続くのかを見定める指標としても利用できます。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間20.乖離2%/9月27日取得
似たように上下にバンドがあるボリンジャーバンドとよく比較されますが、ボリンジャーバンドは移動平均線に対して標準偏差(データのバラツキ量)を使って計算するため、ボラティリティによりバンド幅が変動します。一方でエンベロープは移動平均線をそのまま乖離させるのでバンド幅が一定になることが特徴です。
エンベロープでの相場状況の確認方法はいたってシンプルです。ここではエンベロープの見方を解説します。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間20.乖離2%/9月27日取得
基本となるのは中央に位置する通常移動平均線です。この移動平均線の傾きに加えて上にローソク足があるのか、下にローソク足があるのかによって買いか売りかが判断できます。そしてローソク足と上下のバンドに距離があればまだまだ伸びる可能性があるので積極的に取引できますし、距離が近ければそろそろ伸びは収まりつつあると判断できるのでエントリーを控えることも考えます。順張りのエントリーをする際に利用できますので、ローソク足と移動平均線がどれくらい乖離しているかで相場状況を判断してみましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/1時間足/期間20.乖離0.25%/9月27日取得
エンベロープに到達しているときはバンド内に価格が収まることを想定してエントリーを控えることを検討しますが、強いトレンド時はエンベロープの外側にローソク足が突き抜けたまま推移することがあります。ボリンジャーバンドのバンドウォークに該当するもので勢いよく突き抜けた後にローソク足がバンド内に戻ってこない現象です。勢いよく突き抜けた際は順張りでついていくことも検討してみましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/日足/期間20.乖離2%/9月27日取得
値動きに勢いのない相場では価格はバンドの中に収まるように推移します。その習性を利用してバンドの上下に到達した際の逆張りサインとして利用することもできます。移動平均線の傾きに一貫性が無い場合や緩やかなトレンド、明らかなレンジ帯では有効に機能する売買シグナルです。ポイントは反対側のバンドに到達時点で利益を確定することです。もしかしたら大きく伸びるかもしれませんが値幅が小さいところで取引をしているので伸びる確率は高くありません。逆張りでは利益確定は早めに行うことで高い勝率を得ることができるので小さな値幅をたくさん取るイメージで使うようにしましょう。
実際のチャートでエンベロープを使った取引を解説します。順張りの場面と逆張りの場面を見ていきましょう。
出所:FOREX.com/USDJPY/1時間足/期間20.乖離0.25%/9月27日取得
上図チャートは2023年5月のUSDJPY1時間チャートです。上昇トレンドを形成していた価格は突然勢いよくバンドを下抜けました。バンドの外側に抜けた価格は黒点線のように平均に戻る動きをすることが多いですが、このときは黒枠内でもみ合いとなりました。バンド内に戻ってくる気配がないので十字線が出たことをきっかけとして順張りで売りエントリーをしています。その後バンド内に戻ることなく下落トレンド継続となりました。決済は中央の移動平均線へのタッチで行っています。
その後価格は下落していますが、継続して下落するのかどうかは決済時点ではわかりませんのでルールで決めた通りに行うことをおすすめします。
出所:FOREX.com/Japan 225/4時間足/期間20.乖離1%/9月27日取得
上図は2022年11月の日経225の4時間足です。緩やかな上昇トレンドの場面ですので下側のバンドに実体で到達した時だけ買いでエントリーをする逆張りでの取引です。青丸の位置は価格が下側のバンドに実体で到達し価格がバンド内に戻ってきたところです。そこで買いのエントリーを入れ、決済は反対側のバンドに触れた時点で行っています。
今回は緩やかとはいえ上昇トレンドなので買いのみで攻めるようにしており、いつ転換してもおかしくないので上側のバンドに触れた時点での決済としています。価格が完全に横ばいであればドテンでのエントリーも可能ですので、大まかな流れの方向を確認しながら行うといいでしょう。
エンベロープを使用する際の設定やその計算式を解説していきます。
エンベロープの計算式は、単純に表示している移動平均線を何%乖離させるかだけです。
計算式は次の通りです。
n=移動平均線との乖離率
上側のバンド = 移動平均線 + 移動平均線 × n%
下側のバンド = 移動平均線 – 移動平均線 × n%
移動平均線の期間設定は基本的に期間20、または期間25が使われることが多いです。これは1ヶ月間の相場の開場が概ね20日から22日であることや、昔は土曜日も開場しており25日から26日の営業日があったことに由来します。基本は20でいいでしょう。
また乖離率は価格に対して設定します。価格に対してというのは例えばUSDJPYの移動平均線が100円の時に1%と設定すればエンベロープは101円と99円に表示されます。日足など時間軸や値幅が大きい時間足では問題ありませんが、5分足など時間軸や値幅が小さい場合は1%では設定値が大きすぎます。各時間軸に沿った推奨値は以下の通りですので参考にして設定を行なってください。ただし使う通貨ペアによって多少の前後はありますので微調整をすることをお勧めします。
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