ダブルボトムはチャート上で価格が描く特定の形状を指すチャートパターンのひとつで、発生すると価格の上昇転換を示唆するとされています。一方でダマシが多く当てにならないという声も聞かれますが、古くから使われている分析方法のひとつであることは間違いありません。この記事ではダブルボトムの使い方やダマシを回避するテクニックなどをご紹介します。
ダブルボトムがチャート上に出現するとトレンドの転換や価格の反転を示唆すると言われています。テクニカル分析のひとつとして多くの投資家が注目する形ですが、それはいったいどのような形なのか詳しく見ていきましょう。
価格がチャート上で形成する値動きをパターン化し、その後の値動きの傾向を予測するために使う分析方法を「チャートパターン」と呼びます。ダブルボトムはチャートパターンのひとつで、チャート上に出現するとその後の価格が上昇しやすいとされています。
出現しやすいのは価格が下落しているときで、下降トレンドを形成中にダブルボトムが確認されるとその後価格は上昇トレンドへ転換していく傾向があるとされます。ただし出現すればいいわけではなくいつ出現するのかが重要です。
チャート上にダブルボトムが出現したからといって必ずしも価格が上昇するとは限りません。しかしダブルボトムが機能しやすい場所は存在します。それは「意識されやすい高値安値付近と前回の高安値値付近」です。
何度も価格が揉み合った価格帯や、直前につけた高値や安値には多くの注文が集中しており相場に参加する多くの投資家の様々な思惑が交錯して価格が伸び悩みます。
このような目立つ場所でダブルボトムが出現すると、価格は上昇しやすい傾向がありますので出現する場所に注目するのも勝率を上げる方法のひとつです。
ダブルボトムを逆さまにした形をダブルトップと呼びます。意味はダブルボトムの逆で、チャート上に出現するとその後の価格が下落しやすいとされており、上昇トレンドを形成中に出現するとその後下降トレンドへ転換する傾向があるとされます。
下降トレンド中に2つの谷、上昇トレンド中に2つの山が作られるとその後の価格が逆方向へ動きやすいと覚えておきましょう。
ダブルボトムはその値動きの性質上、チャート上に出現したからとすぐにエントリーしていては「ダマシ」に多く引っかかってしまいます。そのため勝ったり負けたりを繰り返してしまい「使えないテクニカル」として倦厭する方も。
ダブルボトムの性質をしっかり理解しておけば有利に取引を進めることもできますので、ダブルボトムの弱点を覚えておきましょう。
ダブルボトムやダブルトップにダマシが多い理由はその形状にあります。例えば上図のようなダブルボトム形成途中の形は、もう一度折り返してしまうとダブルトップにもなってしまったり、ダブルボトムと見せかけてそのまま下落する場合や価格が転換せずにレンジになってしまうこともあります。
また長期足の方向に逆らうように短期足で出たダブルボトムなどはほとんど機能することはありません。例えば4時間足で下降トレンド中に5分足で発生したダブルボトムは転換するどころか戻り売りのチャンスであることもあります。
ダブルボトムやダブルトップは形成途中にエントリーしたり、発生した状況を無視してしまうとダマシにあいやすいと覚えておきましょう。
ダブルボトムやダブルトップには同じような意味合いを持つ近い形状を持った親戚のようなチャートパターンが存在します。例えばダブルボトムに似ているものとして、トリプルボトムや逆ヘッドアンドショルダー等が挙げられます。チャートパターンを相場分析に取り入れる際は「現在どの形を形成する可能性があるのか」を思い描きつつ、思い込みでエントリーしないように注意することも必要です。
ダブルボトムやダブルトップは完成後にプルバック(あや戻し)を伴うことで初めてチャンスとなります。つまり「誰がみてもダブルボトムであると認識できる」形状になってからエントリーするタイミングが訪れるのです。
ダブルボトムやダブルトップは完全に完成してから初めて認識できるため、形成途中は他のチャートパターンに変化することを理解しましょう。エントリータイミングは完成を確認してからでも遅くありませんので焦らずに待つことが勝率を上げるポイントです。
ここではダブルボトムを使った取引戦略を紹介します。チャートパターンをエントリーのトリガーとして利用するには相場環境をしっかり理解しておく必要があります。トレンドフォローと逆張りでの使い方について順を追って解説していきます。
ダブルボトムを根拠にしたエントリーは「ダブルボトムが完成した後にネックラインまで価格が戻した」位置で行ないます。一度付けた安値を再度試したが抜くことができず、直近の高値であるネックラインをブレイクし、そのネックラインへのプルバックが完了したポイントがエントリーを行なうタイミングとなります。
このタイミングはダウ理論によるダウントレンドの条件「安値と高値を切下げ続ける」が崩れたポイントでもあり、新たな上昇トレンドの発生条件が揃いかけている位置となります。エントリータイミングがダブルボトムの完成が確認出来てからでも遅くないのは、このネックラインまでのプルバックを待つからであり待つからこそ高い勝率を保つことができるのです。
ダブルボトムを根拠にしたエントリーの精度をさらに上げるには、長期足が向かっている方向に従い短期足のダブルボトムを使ってエントリーすることです。ダブルボトムは価格の転換を示唆するものですが、ダブルボトムが発生した時間足以上の価格方向を転換させるほどの力は持っていません。例えば1時間足が上昇トレンドを形成している状況でそれに反するように下落していた5分足でダブルボトムが発生すれば上昇転換のチャンスとなりますが、1時間足が下落トレンド中に同じように下落していた5分足でダブルボトムが発生しても上昇転換する可能性は高くありません。
時には5分足のダブルボトムが大きなトレンドの転換のきっかけになることもありますが、確率が低く勝率も悪くなりますので、まずは長期足に対するトレンドフォローで使ってみましょう。
ダブルボトムはトレンドフォローの他に節目となる水平線付近では長期足に逆らった逆張りを行うこともできます。長期足でも節目となる水平線付近では相場に多くの投資家が参加することで、トレンドを止めたり跳ね返したりする力が起こりやすい場所です。
上図のように過去に何度も価格を止めた水平線付近での短期足のダブルボトム発生は、大きな値幅を獲得するチャンスとなり得ます。ただし逆張りという長期足に逆らった取引を行うので損切り注文の設定は必ず入れるようにし、資金を守ることを最優先に考えましょう。