ヘッドアンドショルダーとはチャートパターンのひとつで、チャート上に発生すると価格が下落転換する傾向があるとされています。テクニカル分析のひとつとして利用され、エントリーポイントの精査や決済タイミングの目安などにも使われます。
チャートパターンとはチャート上に価格が描く値動きの形を視認できるようにパターン化し、その後価格がどう動きやすいのかを分析するためのテクニカル分析を指します。
ヘッドアンドショルダーの他にダブルボトムやトライアングルなど様々な形状と名前がついているものがあり、そのほとんどがトレンドの継続や転換を示唆するものです。
テクニカル分析は価格が今後どう動いていくのかをチャート上の値動きから読み解く分析方法を指します。今すぐに上か下どちらに動くかどうかではなく、今後どちらに動きやすいのか過去の値動きから分析しその傾向が高い方向を示唆する分析をいくつも組み合わせて導き出す方法です。
もちろん傾向通りにならないこともありますが「相場は繰り返す」という格言通り値動きは似たような動きになることが多く、その癖を使って相場を予測していきます。
チャートパターンのひとつであるヘッドアンドショルダーはチャート上に出現するとその後価格が下落しやすいという傾向を持っています。発生すると必ず価格が下落するというわけではありませんが、過去の値動きから「ヘッドアンドショルダーがチャート上に現れるとその後価格は下落する確率が高い」と判断されています。
その他のテクニカル分析と上手く組み合わせることで精度の高い相場予想に利用することができます。
ヘッドアンドショルダーはその名の通り人間の頭と肩のシルエットのような形をしており、真ん中の高い部分が頭でその両隣が肩を示します。この形が形成される背景には多くの相場参加者の思惑が関係しており、買いと売りが拮抗している場面と言えるでしょう。
ヘッドアンドショルダーの基本は勢いよく高値を更新していた値動きが「高値の更新に失敗した」ことがポイントとなります。左肩で一つ目の高値を形成し、頭で左肩の高値を更新したにもかかわらず次の上昇(右肩)では高値を超えることなくネックラインを割ってしまうことで「上昇の勢いが弱まった」と判断されます。それによりロングポジションを持っていた投資家は決済をし新たに売りのポジションを持つ投資家が現れ価格が下落に転じていきます。
全てがこの通りになっているわけではありませんが、形が形成された後の値動きが起こる要因の一つとして覚えておくことでヘッドアンドショルダーという形だけに翻弄されずに使いこなすことができます。
ヘッドアンドショルダーには逆向きのパターンがあります。そのままひっくり返した形状をしており「逆ヘッドアンドショルダー」や「ヘッドアンドショルダーボトム」と呼ばれます。また日本語でヘッドアンドショルダーを「三尊」や「三尊天井」、逆ヘッドアンドショルダーを「逆三尊」と呼ぶこともあります。
三尊の名前は釈迦三尊像などに代表される仏像の三尊像に由来しており、真ん中の仏像だけが少し大きくなっているシルエットからそう呼ばれています。
ヘッドアンドショルダーがチャート上に出現すると価格が向かう方向が反転しやすいとされています。そのため進行中のトレンドの終焉や新たなトレンドへの転換、押し目戻り目などのタイミングなどを察知でき、エントリーやイグジットの根拠のひとつとして利用できます。
水平線や意識される高安値、インディケータなどの根拠に加えて反転示唆のチャートパターンが加わることでより信頼度の高いポイントを導き出せるのです。
ここではヘッドアンドショルダーを用いたトレード戦略を紹介します。出現すれば反転を示唆しますが、使い所を間違えるとダマシにばかり遭遇してしまいます。どのような場面なら有効に機能するのか、しっかりと覚えておきましょう。
ヘッドアンドショルダーはその形が完成することで初めて有効に機能します。相場参加者がその形を認識し始めるとこれまでのトレンド方向とは逆側にポジションを取ったり、保有ポジションの利益確定が行われます。そのため完成前は価格が迷いやすく素直に動かないことも多くあります。
ダマシを防ぐためにもエントリーはヘッドアンドショルダーが完成し、一度下落した価格がネックラインまで戻ってきたポイントで行います。後出しジャンケンのように完成を確認してからエントリーしても遅くありませんので、焦らずにじっくり待ちましょう。
ヘッドアンドショルダーを使って取引をする際に気をつけるのは出現したチャートの時間足です。短期足でヘッドアンドショルダーが出現しても反転示唆の方向が長期足とは逆方向の場合、その信頼度は高くはないでしょう。
例えば1時間足が上昇トレンド中に5分足でヘッドアンドショルダーが発生しても5分足のチャートパターンに1時間足のトレンドを反転させる力はありません。もちろん5分足の転換をきっかけに1時間足にまで派生することはありますが、基本的には長期足の方向に揃えてエントリーすることが勝率を高く保つ秘訣です。
ヘッドアンドショルダーはその形が完成するまでは様々な形に変化する可能性があります。ネックラインを割るまでは安値も切り下がっておらず上昇の力はまだまだ強い状態です。
節目の価格や意識される高安値付近であってもヘッドアンドショルダーが完成しネックラインを割るまでは突破される危険性があります。「きっと完成するだろう」でエントリーしてしまい無駄な損失を出さないように、完成するまでは想像でしかないことを覚えておきましょう。
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