MT4による自動売買=EAは一度設定をしてしまえばシステムが自動で取引を行い取引が完結する便利なものです。EAだけで利益を出しているトレーダーもいれば、一方でEAは儲からない・使い方に注意が必要と否定をするトレーダーもいます。果たしてMT4でEAは使うべきなのか。実はEAの選び方と使い方にコツがありました。そのコツを深堀していきましょう。
MT4(Meta Trader4)とはFX取引を行えるプラットフォームで、カスタマイズ性が高く世界中で利用されている取引ツールのことです。このMT4はチャートの分析や注文機能に加えてEA (Expert Advisor)と呼ばれるプログラムを読み込むことで自動で取引を行うこともできます。その仕組みを見ていきましょう。
自動売買を簡単に説明すると「MT4に取引ルールをプログラミングしてそのルール通りに売買を繰り返させる」仕組みとなります。例えば「20MAが100MAをゴールデンクロスしたら買いエントリーしてデッドクロスしたら決済する」のようなルールを淡々と繰り返すようなイメージです。もちろん機械なのでもっと複雑な取引ルールを決めたとしても完璧にこなしてくれますし、MT4が起動していれば24時間休みなく相場を監視してくれるため常にチャートの前にいる必要もなくなります。
MT4で自動売買を使うにはどのような方法があるのでしょうか。プログラミングなんかできないという方も多いと思いますが心配はいりません。ここでは2つの方法を解説します。
MT4は世界中で利用されているため、MT4の自動売買=EAも世界中で開発されています。MT4を利用することによって世界トップレベルのトレーダーや開発者たちが製作したEAを使用できます。EAは販売されているものや、IBを利用しEAの使用を特定の口座に限定して無料配布するもの、単に無料で配布されているもの、期間限定で使用ができるものなど様々あります。たくさんの選択肢から選べることがEAの強みです。
MT4ではMQL4という独自のコンピュータ言語を使ってEAを自作することもできます。独自の言語と言ってもプログラミングをかじったことがある方ならすぐに理解しやすいモノですので、自信がある方は挑戦してみるのもいいでしょう。
EAの内部ロジック(取引ルール)は開示されていないものが多いので、利用者としてはどのようなロジックかわからない状態で使用しなくてはいけません。その点自作をすれば自分で内部ロジックを組み立てるので、どのような取引をするのかご自身で決めることができます。
自動売買を使って運用した場合に儲かるかどうかは「相場次第」となります。裁量取引においても得意な相場、不得意な相場があるように、自動売買を行うEAにも得意な相場と不得意な相場が存在します。そのため優秀なEAをいくつか同時に稼働させてリスクヘッジをしながら運用するポートフォリオを組むことが重要です。
次の章では優秀なEAを見抜くコツを解説していきます。
MT4でEAを利用し儲けるためには「優秀なEA」を選ぶことが重要となります。プログラミングの知識があれば誰でも作れてしまう反面、過剰最適化と呼ばれる特定の時期だけ成績のいい(見栄えがいい)EAも作れてしまいます。利用者側としてもある程度のEAの知識を持ち粗悪なEAを見抜かなければいけません。ここでは優秀なEAを選ぶためのポイントを紹介します。
過剰最適化されたEAを避けるポイントとして「直近から10年以上の長期間にわたるバックテストの開示」があります。10年を超えるバックテストで右肩上がりの損益グラフは、長きにわたる相場への優位性がある取引ロジックでなければ描けません。また直近の成績が含まれていることで過去の相場だけに合わせたもので無いことも確認できます。
さらに2008年のリーマンショックや2010年のフラッシュクラッシュなどが含まれている期間のバックテスト結果なら信頼度はさらに高いでしょう。
EAの取引ルールはいくつも追加することができます。ルールを追加すればするほど優位性が上がっていき損益の成績は向上しますが、取引回数がどんどん少なくなっていきます。極端な例では10年で資金は3倍まで増加しますが取引回数は10年で30回程度というものもあります。あまりにも少なすぎる取引回数は過剰最適化の恐れもありますので最低でも年間平均100回程度の取引回数が確保できているEAを選びましょう。
最大ドローダウンとはそのEAのバックテスト期間中に一番大きな損失が出た金額を指します。右肩上がりのバックテストを持つEAであってもこの最大ドローダウンが準備資金を超えるような大きな金額の場合、ドローダウン期が稼働初期に訪れてしまうとそのEAを稼働させている口座は破綻してしまう可能性があります。
例えば利益額が10年で150万円、取引回数1500回、グラフは右肩上がりのEAがあったとしても最大ドローダウンが80万円であった場合、初期自己資金が80万円では口座は破綻してしまいますのでそれ以上の資金を準備しなくてはいけません。取引回数や利益額だけでなく稼働期間にどれだけの損失が出る可能性があるのか最大ドローダウンを確認しておきましょう。優秀なEAと判断できる目安としては10年以上のバックテスト期間で最大ドローダウンが10万円以下(資金100万円とした場合)とされています。
リカバリーファクターとはリスクリターン率とも呼ばれ、そのEAが損失に対してどれくらいの利益が期待できるかを示す指標として使われます。リカバリーファクターの計算式は「純利益÷最大ドローダウン」で求めるため、リカバリーファクターが高ければ高いほど少ないリスクで大きなリターンを得られることになります。優秀なEAの目安として10年のバックテストでリカバリーファクター10.0以上(年平均1.0以上)あるといいでしょう。リカバリーファクターは通常のバックテスト結果では表示されませんのでご自身で計算をする必要があります。
似たような言葉に「プロフィットファクター」がありますが、プロフィットファクターは総利益を総損失で割ったものであるためそのEAが利益を出せるかどうかを見るための指標です。プロフィットファクターがいくら良くてもリカバリーファクターが低いとそのEAのパフォーマンスはよくないことが多いので、必ず計算をして確認することをお勧めします。
EA選びをする際に優良なEAを見抜くポイントの他に、絶対に儲からない粗悪なEAの特徴も併せて覚えておくとEAを選別する目を更に養うことができます。ここでは特に選んではいけない2つの特徴と初心者が避けるべきEAを解説します。
EAがどのような性能なのかを知るための必須情報のひとつにバックテストがあります。そのEAを過去の相場で稼働させたときに発生する利益や損失、取引回数や勝率やリスクリワードなどほとんどの情報が掲載されている取引レポートです。
これが開示されていないときはバックテストを見せると不都合が生じると自ら申告しているようなもので、大げさでもなくバックテストの開示がされていないEAは「嘘八百」であることがほとんどです。どんなにいい宣伝がされていてもバックテストの開示がないEAは絶対に選んではいけません。
またバックテストの懸念点として「バックテストの期間を短くすれば儲かっているように見えるEAを簡単に作れてしまう」ことがあります。例えば上記のバックテストをみてどう感じますでしょうか。これはバックテスト期間を短くして「過剰最適化」と呼ばれる指定した期間内だけ異常に勝てるように細工をしたEAのバックテストです。ここだけを見るととても儲かるEAのように見えます。過剰最適化されたEAを避けるには優秀なEAを選ぶとき同様バックテストの期間がどれくらいあるのかを必ず確認しましょう。
EAをweb上で探していると「月利100%」や「勝率100%」など射幸心を煽る言葉で宣伝をしているものを見かけます。楽をして儲けることは誰しも望んでしまうことですが、もし長期的に月利100%で稼働するEAが存在したのなら「10万円で投資を始めたとしても1年後には2億」を超えてしまいます。投資の神様と呼ばれる投資家の「年間リターンが20%程度」で推移しているにもかかわらず、ほったらかしのEAで月利100%はあり得ません。またランダム要素が多く介在するFX相場において勝率100%は「損切りをしない」こと以外にはあり得ず、損切りをしないということは「どんなに思惑と逆方向に相場が動いたとしても含み損に耐えられる潤沢な資金量」が必要になります。
もしこのような宣伝がされているEAを見かけたら「詐欺まがいのEAだ」と関わるのをやめましょう。
最後に初心者が避けるべきEAを紹介します。それはナンピン系のEAとマーチンゲールを利用しているEAです。ナンピンとは初めに持ったポジションの思惑と逆に価格が進んでしまった場合に、初めのポジションと同じ方向にポジションを積み立てる投資方法を言います。平均取得価格が下がることにより利益を上げやすくし資産を増やしていきます。
マーチンゲールとはバカラやポーカーなどカジノで使われる手法のひとつで、負けるたびに賭け額を2倍(正確には2倍プラス1)の倍率で増やしていくことで一度勝つだけですべての負けを取り返せる仕組みです。
FXではマーチンゲールとナンピンは組み合わせて利用されることが多く、ナンピンでポジションを増やすたびにロットを2倍にしていくことで「わずかな戻しでポジション損益がプラスに転換する」ため資金効率のいい投資ができる可能性を持ちます。
ただし資金管理が難しく、破産確率などを理解して使用しないと一瞬で口座が破綻することもあります。FX初心者だけでなくEA初心者も「ナンピン・マーチンゲールのEA」は避け、しっかりと利益を上げられるようになってから取り組むようにしましょう。
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