MT4を使った自動売買=EAで資金を運用し効率よく利益が狙える稼ぐためには優秀なEAを見つけることはもちろんですが、ご自身の取引スタイルも加味してEAの種類を選ぶことも上手く運用するポイントとなります。EAの種類やどこに注目して選べばいいのかを学んでいきましょう。
EAの取引スタイルにも裁量取引と同じようにいくつか種類があり、自動売買の特性を活かしたものから裁量手法を落とし込んだものまで様々です。
EAによって月間の取引回数が10回程度のゆったりしたものやスキャルピングのように高頻度で取引するものもありますので、ご自身の取引スタイルに近いものを選ぶとストレスなく運用できます。
ここではEAの種類について解説していきます。
一般的にEAとは売買ロジックをもとに自動で発注を行う自動売買プログラムのことをいい、MT4でのみ利用することができます。。
個人投資家に人気があるEAには大きく分けて2つのカテゴリーがあり、ポジションを1つ(両建て時は買いと売り2つ)だけ持つタイプと、ドルコスト平均法を利用し複数ポジションを保有しながらナンピンを行うタイプがあります。
通称:単ポジ型(単数ポジション型)のスキャルピングEAは高頻度で取引を行い小さな利益を積み重ねていく取引を行います。一般的に利益確定の値幅を小さくし損切り幅を大きくすることで勝率を高く保ちますが、損切り幅を大きくしていることでときに大きな損失を被ることもあります。レンジ帯を得意とするEAが多いのが特徴です。
単ポジ型のデイトレードEAはポジションを数時間から数日保有しトレンドに乗って大きな利益を狙う取引を行います。多くのEAがこのカテゴリーに分類されますが、トレンドの発生を待つため月間取引回数は10回から30回程度と少なく、場合によっては2、3日取引しないこともあります。裁量取引に似たロジックが多いのが特徴です。
単ポジ型のスイングトレードEAはポジションを数週間から数ヶ月の間、相場の細かい動きは気にすることなく大きな流れの方向にポジションを保有し続けます。一度ポジションを持つと大きな流れを取り切るまで保有し続けますが、相場トレンドの変わり目などでは数ヶ月ポジションを持たないこともあります。大きめの資金を用意してゆったりと資産運用する取引などに向いています。
ナンピン型のEAは初回ポジション保有後に取引方向と逆側に相場が動いた場合、あらかじめ決めた値幅やルールに基づき初回ポジションと同じ方向にポジションを積み増していきます。平均取得単価が下がることで含み損となったポジションの救済、またはポジションの積み上げによる利益幅の拡大を目的にした取引を行います。感情が入らない自動売買だからこそナンピンが有効に機能すると言えるでしょう。
ナンピン型EAの注意点として、損切りが設定されていないナンピン型のEAは一方に相場が動き続けた場合、必ず破綻してしまいますので利用を控えましょう。ナンピン型EAでは、設定画面でストップロスのpips幅を指定できるものを選択するなどの工夫も必要になります。
ナンピンマーチン型のEAはナンピンを行う際にマーチンゲール手法を利用してポジションロットを増やして積み増していきます。マーチンゲールとはカジノなどで利用される「負けた場合に掛金を倍にしていくことで一度の勝ちで負けをすべて取り戻す」手法のことですが、EAの場合は含み損を抱えている状態でロットを倍にしてナンピンを繰り返します。しかしこれを実現するには潤沢な資金が必要になります。投下資金量が小さい、FXにまだ慣れていない初心者はこのようなEAを選択しないことが賢明です。
EAの中にはある時間帯だけ、ある日付や曜日だけ、ある価格帯だけしか取引を行わない特殊なものもあります。アノマリーと呼ばれる相場の傾向を利用して取引を行うため勝率が高く、仕組みも単純なため人気があります。
朝スキャ型のEAはその名の通り日本時間の朝にだけ特化したEAです。朝方の値動きが小さくレンジ帯になりやすい時間帯を狙って、レンジ内での逆張りを繰り返し小さな値幅を細かく利益確定をしていきます。USDJPYなど比較的スプレッドの狭い通貨ペアが選ばれやすい傾向があります。
仲値取引型のEAは仲値と呼ばれる「金融機関が外国為替を取引する際の基準となるレート」が決まる時間帯に合わせて取引を行います。特にゴトー日である毎月5日、10日、15日、20日、25日、30日などは外国で事業を行っている日本企業が取引先への支払いや従業員への給与支払いのために、保有している外国為替を日本円に換金する日が集中しています。そのため銀行が仲値前に外貨を大量に調達することで一度円安になり、仲値以降に企業の換金が始まり円高となる傾向がみられます。そのアノマリーを利用して取引を行うのが仲値型のEAです。
グリッド取引型のEAとは、ある価格帯の上限と下限を指定しその間で取引を繰り返す手法を使用したEAです。相場がレンジとなることを想定し、指定した価格内であれば価格が上がっても下がっても一定の間隔で取引を繰り返すため、裁量要素が無く相場の細かい動きに翻弄されないため自動売買としてとても優秀な仕組みです。
ただしレンジを想定しているので一方向にトレンドが発生すると負けが続くという欠点もあります。
優秀なEAを見つける際に必ず必要なのはバックテストデータです。どれくらいのロットでどれくらいの損失が想定され、どれくらいの取引回数がありどれくらいの期間でテストをしたのか。ご自身の大事な資金を預けるに足るEAなのかを判断できるのがバックテストデータなのです。ここでは特に大事な4つのポイントを解説していきます。
バックテストデータでまず見ておきたいのは「バックテスト期間と取引回数」です。バックテスト期間は過去どれくらいの期間でEAの稼働テストを行ったかを確認するために見る項目です。このバックテスト期間が1年や2年分しかない場合、その時期に合わせて成績がよく見えるように作られたEAである可能性が高くなります。いわゆる「過剰最適化」の一種と言えるでしょう。最低でも5年、できれば10年以上のバックテスト期間があるEAを選ぶことが第1です。
次に見るべき項目は取引回数です。バックテスト期間が10年としても取引回数が300回程度の場合、年間で30回しか取引を行いません。月に換算すると3回に満たない取引回数です。月に3回程度の取引回数では自動売買である必要はありませんし、少なすぎる取引回数はエントリーするタイミングに色々な条件を組み合わせ過ぎた過剰最適化の疑いもあります。最低でも年間100回(10年なら1000取引)程度の取引回数があるものを選ぶといいでしょう。
最大ドローダウンは「DD」と略して呼称されることもあります。これはEAのバックテストデータで必ず見ておきたい項目のひとつで「その期間内で被った一番大きな損失額」が表示されています。この最大の損失額が初期資金を下回っているかがポイントとなります。
例えば初期資金100万円で10年で500万円になる右肩上がりのグラフを持つ利益が出そうなEAがあったとします。そのEAの最大ドローダウンが300万円だった場合、そのテスト期間では300万円以上利益が出てから300万円の損失を受けた場合は破綻しませんが、もし稼働当初に出たドローダウンの時期が来ていた場合、シミュレーション上、破綻しています。
これはテスト開始時期をずらすことで大きく利益が出るように見せられるテクニックのひとつですが、最大ドローダウンの意味を理解していれば、このような見せかけとも言える可能性があるEAを選択することはありません。
推奨する最大ドローダウンは設定されている初期資金の1/10の額までに収まっているかどうかを目安にしましょう。
リカバリーファクターとは「リスクリターン率」とも呼ばれ、EA運用の安定性と収益性を示す指標となります。計算方法はバックテストデータの純利益を最大ドローダウンで割ることで求められ、10年間のバックテスト期間で10以上(年間1.0以上)が優秀なEAの目安とされます。
リカバリーファクターが10年で10以上の数値というのは10年間の運用で最大ドローダウンの10倍の純益があることを意味し、運用中に被る損失からの回復能力が高いことやリスクに対してリターンが大きいことを示します。デフォルトのバックテストデータには記載がない項目ですが純益と最大ドローダウンから計算できますので、ひと手間かかりますが必ず確認しましょう。
最後に確認しておきたいことは「バックテストを行った際のスプレッド」です。スプレッドは買値と売値の差のことでこの差が小さければ小さいほど取引には有利になります。
上図はあるEAのバックテストをスプレッド0.1pipsと4pipsで行った結果で、スプレッド以外はなにも変更せずに比較しています。
スプレッドを0.1pipsと狭くしたEAは純益も高く最大ドローダウンも純益の1/10以下となっておりリカバリーファクターが10.58とほぼすべての値をクリアしています。一方スプレッドを広く4pipsで設定したバックテストは純益が悪く、最大ドローダウンも純益の1/5程度まで増えています。そのためリカバリーファクターは5.83と大きく10を割り込みました。
テスト結果をよく見せるために現実的ではないスプレッドでバックテストを行っている場合もありますのでバックテストデータからスプレッドの項目を必ず確認しましょう。設定されているスプレッドはご自身が利用する証券会社の「平均スプレッドよりも大きな数値」であることが望ましいです。
ここで注意してほしいのはバックテストデータの成績はあくまでも過去のデータによる結果であって「未来の成績を保証するものではない」ことです。そこでバックテストデータから外れたところでどのような挙動をするのかに注目すると利益が出る可能性のあるEAなのか、バックテスト期間に照準を合わせてテスト結果がよくなるように作られたEAなのかを見抜くこともできます。ここでは利益が出る可能性が少ないEAを見抜くいくつかの方法を紹介します。
これは購入や利用前にバックテストを利用者が行える環境であったり、製作者がバックテストデータ期間外のバックテストを行ってくれる場合のみ有効となります。例えば2012年から2021年の10年間でバックテストを行ったテストデータがある場合、それ以外の2006年から2011年などの期間や2022年から現在までの期間でバックテストを行うことです。
極端に負けてしまうような結果が出てしまった場合はバックテストデータの期間に過剰最適化された可能性がありますが、大きく負けておらず横ばいや微増で推移している場合は利用してもいいと判断できるでしょう。
最大ドローダウンの項でも触れましたが、初期資金と最大ドローダウンを見比べて最大ドローダウンが初期資金を越えている場合はそのEAはシミュレーション上、破綻します。最大ドローダウンが初期資金を越えてもバックテスト時に破綻しないのは「EAが稼いだ後に大きなドローダウンが訪れただけ」のことで、もし稼働初期にそのドローダウンが訪れた際には破綻します。
これを防ぐにはバックテスト期間を1年ごとに区切ってテストをしてみることでも見破ることができます。例えば2014年から2023年末までのバックテスト期間でテストをしたデータがある場合、2014年から2014年末、2015年から2015年末、2016年から2016年末…のように1年ごとに区切ってバックテストを行います。そして10年分のデータで一度でも破綻したならば安定的に利益が期待できないEAであると言えます。
またこのテストで破綻しないことがEAを利用する条件ですが、破綻が無くともマイナスの年が出ることもあります。理想はすべての年でプラスで着地ですが、もし微損程度の場合は翌年の前半で巻き返すこともあるので破綻するかどうかに重点を置いてテストを行うといいでしょう。
EAを利用するうえで一番重要視したいことは開発者によるリアル口座での運用成績です。開発者自身が自分のお金をリスクにさらしても運用したいと思わないEAは「販売するだけが目的」のEAとなります。つまり勝てるか勝てないかではなく「売れるか売れないか」の観点で製作されているものでEAの運用によって利益を得ることが希薄になっている可能性が高いと言えます。
上図はEAの販売サイト「GogoJungle」の人気製作者様のリアル成績ページです。ご自身のリアル口座での成績を公開しており、製作者自身もEAを運用していることがわかります。バックテスト結果だけでなく実運用の成績も公開にでしているEAを選ぶことが重要です。
大げさに言えば作った本人が使おうと思わないEAを使う気になれるかどうかとも言い換えられますので、そのEAの製作者がフォワード成績の公開をしているのかどうかも確認してみましょう。
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