FX取引では買値と売値の価格は基本的には同じではありません。この買値と売値の価格差はFX会社の両替手数料のようなものでスプレッドと呼ばれます。ここではスプレッドの基本的な仕組みについて解説していきます。
出所:FOREX.com/USDJPY/15分足/2月11日取得
FX取引では買い取引時の価格と売り取引時の価格に差=スプレッドが存在し、基本的には買い価格の方が高く、売り価格の方が安くなっているのが特徴です。例えばUSDJPYを100円で購入し、価格が全く変わらないうちにすぐに売却したとしても売り価格の方が安いのでスプレッド分の損失が発生します。この損失分が取引ごとにかかるコストとなるため、買い価格(Ask)と売り価格(Bid)の価格差=スプレッドが狭ければそれだけ取引にかかる実質的なコストが減ることになります。
FXではスプレッドの広さをpips(ピップス)で表します。pipsとは単位が異なる様々な通貨の変動幅を統一して表示できる共通単位のことです。例えばUSDJPYの買い価格が100.015円、売り価格が100.000円だった場合その差は「0.015(1.5銭)」となりますが、一方でEURUSDの買い価格が1.10015ドル、売り価格が1.10000ドルだった場合その差は「0.00015ドル」となります。比べてみると単位が違うので比較しづらいですが、どちらもpipsで表すと1.5pipsとなります。
出所:FOREX.com/2月12日取得
スプレッドは取引する通貨ペアによって大きく変わります。一般的に取引量が多い通貨ペアほどスプレッドは狭く、取引量が少ない通貨ペアほどスプレッドは広くなっていきます。例えば取引量が世界一の通貨ペアであるEURUSD(ユーロ/アメリカドル)はどのFX会社でも比較的スプレッドは狭く設定されていますが、GBPNZD(イギリスポンド/ニュージーランドドル)などのあまり馴染みのないマイナーな通貨ペアはスプレッドが広くなります。
スプレッドコストはどのように計算され、いつ支払い、どのような影響があるのか詳しくみていきましょう。
実取引を行う場合にスプレッドの狭さは取引コストを抑えるために必要な要素のひとつですが、同じぐらい重要なのが「約定力」です。約定力とは発注した価格と実際に約定された価格のズレの大きさを指し、スリッページと呼ばれます。
約定力が弱いと発注価格と約定価格のズレが大きくなります。例えばUSDJPYを100.000円で1万通貨成行買いを発注したが、実際には100.020円で約定されてしまい2pips(2銭)分のズレが生じた場合、スプレッドが1.5pipsのFX会社なら合計で3.5pipsの取引コストがかかったことになります。もしスリッページが全く発生しないスプレッド2pipsのFX会社があったとしたら、スプレッドだけを見れば後者が高く見えますが合計取引コストは安くなる計算となります。もちろん決済の時にもスリッページが発生する可能性があるため、さらに差は広がるかもしれません。
ご自身が狙った価格で約定してくれないということは、損益計算にも影響を与えます。FX会社を選ぶ時は公式ホームページ上でのスプレッド、実際の取引画面でのスプレッドを確認することをおすすめます。