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【FXの基礎知識】ナンピンは負けにくいって本当?甘い言葉に隠れた恐ろしい罠

ナンピンは保有ポジションに損失が出ている状態で同じ方向にポジションを積み増す手法で、平均取得単価を下げ損失の回復を早める、または利益を増やすために行います。この記事ではナンピンの概念や計算方法について詳しく解説します。

Article By forex.com
2024年8月5日 午前10:49

目次

FXのナンピン(難平)とは?

FXにおいてのナンピンとは、ポジションを保有している通貨ペアが思惑と逆行し損失が出ている状態で「同じ通貨ペアを同じ方向に買い増したり売り増したりする取引」を指します。平均取得単価を下げる(上げる)ことで損失の回復を早めたり、利益を拡大させる目的で行います。

ナンピン(難平)の語源

ナンピンは漢字で書くと「難平」と表記されます。被っている難(損失)を平らにする(取得単価を平均化する)ことが由来とされており、もともとは株式相場で使われていた言葉です。

ナンピンが負けにくいと思われている理由

ナンピンが負けにくいとされている理由の一つとして「平均取得単価を下げる」ことが挙げられます。平均取得単価とは複数ポジションを持っている際の各ポジションの取得単価の平均値を指し、損失が出ている際に新たにポジションを持つことで取得単価の平均値が下がり、順行時の損失解消タイミングを早くすることができます。これにより損失が出ているポジションが助かりやすく負けにくいと考えられています。

しかし価格は必ず順行するとは限らず、ポジションを積み上げることで逆行時には想定外の損失を被ってしまう恐れもあります。過去の例でいえば、金融危機などが引き金となり大暴落が起こった際にFX会社が定めるロスカットが間に合わず、ナンピンにより積み上げたロットを引き連れたまま価格が暴落していく事例がいくつもありました。そうなると実現損失、未実現損失は大きくなり、口座内証拠金の欠損率が著しく高くなってしまいます。場合によっては口座内証拠金を超える損失を生じて支払いが発生する可能性もあり得るのです。


ナンピンは計画的かつ適切に行えば効率よく取引を進めることができる手法です。まずはナンピンを行う際に必要になる計算を3つ覚えておきましょう。

ナンピン時の平均取得単価を計算する

FXのナンピン(難平)でポジションの平均値を下げる方法

ナンピンを行う最大の理由は平均取得単価を下げることです。ナンピンを行った場合に平均取得単価がどれほど下がるのか、その平均取得単価は効率的なのかを計算する必要があります。平均取得単価の計算方法は以下の通りです。

 

合計取引価格 ÷ 合計ロット数 = 平均取得単価

 

上記の図では買い取引後に3回のナンピンを繰り返し合計で4ロットの取引を行った例です。ナンピンを繰り返すことで平均取得単価が下がり、最終的には1度目のナンピンをした価格にさえ到達しなくとも含み損が解消されることになります。

ナンピン時の損益を計算する

ナンピンを行うとポジションが増えていきます。そこから順行した場合は問題ありませんが、さらに逆行されると損失はこれまでの2倍の速度で増えて行くことになります。損切をする価格(決済価格)に到達した際の合計損失額はしっかりと計算し、損失許容量を超えていないかを確認してナンピンをしていかなくてはいけません。ナンピン時の損益の計算方法は以下の通りです。

(決済価格 平均取得単価) × 合計ロット数 = ナンピン時の損益

23度とナンピンを繰り返すごとに損失の拡大速度は上がっていきます。損切時に失う金額が損失許容額を超えてしまわないよう必ず計算を行いましょう。

ナンピン後の証拠金維持率を計算する

ナンピンを行うと増やしたポジションごとに維持証拠金が加算されていきます。維持証拠金が増えるということは口座内証拠金の余裕金額が減ることになり、口座全体に対して拘束される資金の占める比率が上がり証拠金維持率が下がっていきます。証拠金維持率が下がるとロスカットの危険性が高くなりますので、証拠金維持率は必ず計算して取引の安全性を確認しましょう。ナンピン時の証拠金維持率の計算方法は以下の通りです。

純資産 ÷ (保有ポジション数 × 維持証拠金) × 100 = 証拠金維持率

損失を抱えたポジションを助けるためにナンピンを行うはずなのに、ロスカットになってしまっては元も子もありません。ナンピン時には証拠金維持率に細心の注意を払う必要があります。


ナンピンは仕組みを理解して使えば大きな武器になります。ナンピン時に享受できるメリットはどんなことなのかしっかり理解して使いこなしましょう。

含み損の回復が早くなる

FXのナンピン(難平)のメリット(含み損)を減らす方法
ナンピンを行うと保有する複数ポジションの平均値に損益分岐点が移動し、最初のポジションを保有した位置まで価格が戻らなくとも含み損が解消されます。上図ではナンピンを1度だけ行った例ですが、逆行された値幅の半分だけ戻れば含み損が無くなります。これは新たなポジションの含み益が最初のポジションの含み損と相殺されるからで、含み損の回復速度を大幅に軽減します。

※解説のためスプレッド、スワップポイントは考慮していません

成功時の利益額が大きくなる

ナンピンを行う時点ではポジションは含み損となっていますが、実は買い取引で考えた場合、価格はこれまでよりも有利な位置に下がっていることになります。これによりナンピンが成功(価格が順行して目標まで到達)すると本来想定していた倍以上の利益を獲得できます。またポジション量が増えているため、目標価格の到達を待たずとも本来の目標金額に到達することになります。

機会損失を極力減らすことができる

FXのナンピン(難平)を計画的に活用する方法
計画的にナンピンを行うことで機会損失を減らすこともできます。上図は上昇トレンドの場面を想定していますが、①の位置では価格は一度押し目をつけてから上昇するのか、そのまま上昇するのか判断できません。そこで複数回にエントリーを分け、根拠が崩れるところまでは買い下がっていく「計画的ナンピン」を行います。図内では3回に分けてエントリーを行う計画にしていますが、これにより赤線のように現在地から上昇しても、青線のように押し目をつけてから上昇しても、上昇トレンドが継続すれば必ず利益になり機会損失を防ぐことができます。
ナンピンは計算式を使い損失額や証拠金維持率を求めてから「計画的に」行うことがポイントです。


ナンピンを行うことで被るデメリットを解説します。ご自身の資金を守るためにも必ず理解しておくべき項目です。

ロスカットリスクが大きくなる

ナンピン後にうまく価格が順行すれば問題ありませんが、さらに逆行してしまうとロスカットリスクが非常に高くなります。ポジションが増えるほど維持証拠金が口座内証拠金を圧迫し、逆行時の損失拡大の速度も早くなり証拠金維持率の著しい低下を招きます。
ナンピンをする際は逆行したからと安易に行うのではなく、その地点から価格が順行する根拠や可能性があるのかを見極める能力や経験値、知識などが必要になります。

資金力が必要になる

ナンピンを行い損失に耐えるには潤沢な資金が必要です。価格が逆行を続けポジションを増やせば増やすほど証拠金維持率は低下します。ロスカットを避けるために証拠金維持率を高く保つためには追加入金ができる余力が必要になります。
もし口座へ入金しているお金以外に余剰金が無いのであれば、ナンピンは決して手を出してはいけない手法と言えるでしょう。

無限にナンピンを繰り返してしまう

ナンピンを行うことで損失の回避や想定外の大きな利益などの成功を体験してしまうと「ナンピンすれば負けない」という意識になりがちです。それにより逆行するたびにナンピンを繰り返してしまうトレーダーが後を断ちません。価格はいつか戻ってくるかもしれませんが、それが明日なのか5年後なのかは誰にもわかりません。いくら潤沢な資金があったとしても無限にナンピンをしてしまうと資金の拘束量が増える他、マイナススワップがついてしまう場合は損益分岐点が上がっていきます。本来得られるはずのナンピンのメリットも薄れていきますので、ナンピンの回数や価格に限界点を決め、損切りしなければいけないときはしっかり行うようにしましょう。

計画的に行うこと

FXのナンピン(難平)の損切り利食いを管理する方法
ナンピンを成功させるコツは計画的に行うことです。上記図はレンジを上抜けてトレンドが発生した場面を想定しています。①の位置ではこのまま上昇する可能性の他、一度押し目をつける可能性もありますが「レンジ上限だった意識される価格を割り込むことはなく今後上昇していくだろう」とシナリオを立てました。そこで価格が赤線を割り込むまでは買い下がる計画的ナンピンを行います。ただし、赤線を割り込んだ時点で全てのポジションを損切りすることが前提となるので、各ポジションのロットは損切り位置で損失許容範囲を超えない範囲で設定しなくてはいけません。

このようにチャート分析によるポジション方向の決定から損切り位置や損失許容額に合わせたロット設定、何回までナンピンを行うかなど全て計画的に行うことが必要になります。  

資金管理を絶対に行うこと

チャート分析によるシナリオ変更によりどこでナンピンを入れるかなどは柔軟に変更していくことが必要ですが、合計ロットや損切り地点での損失額などの資金管理は絶対に変更してはいけません。ナンピン成功のポイントは資金管理にあります。損失が大きくなり一発逆転を狙って資金管理を無視することや、計算されていない値頃感でのナンピンはロスカットへの最短ルートです。

マーチンゲール手法と併用しないこと

マーチンゲールとはギャンブルで用いられる戦略の一つで「負けたら掛け金を2倍にしていく」手法を指し、理論的には何度負けていても一度勝った時点でプラスになるという考え方です。
FXではナンピン時にマーチンゲール手法を使ってロットを2倍にしていくと通常のナンピン時よりも含み損の回復がさらに早くなり、目標達成時の利益もさらに大きくなります。一方で損失の拡大はポジションがひとつ増えるごとに3倍、7倍、15倍となります。ギャンブルで行われるマーチンゲール手法と違い、ナンピンでは含み損を抱えるポジションがそのまま残りますので通常のマーチンゲールよりも損失の拡大スピードが大きくなります。絶対に併用しないようにしましょう。
FX
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通貨ペア売り買いスプレッドオープン
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