ドル/円については、緩やかながら日米金利の縮小が見込まれることから、2025年も基本は円高を想定するが、日本の生産性成長の低迷や実質政策金利のマイナスといった構造的要因が引き続き円高を抑えるだろう。さらに、過度な円安は米国と日本の政策立案者双方にとって受け入れがたい。円安が加速すれば、円買い介入で相殺されるだろう。160円以上のレベルは、日本の当局による為替介入が実施されるだろう。さらに、為替介入が効かない場合は、日銀は利上げで円相場を支えることになるだろう。また、ドル/円相場推移の予想において160円以上の円安は長続きすることはないと想定されるため、カバードコール戦略も検討しておきたい。為替介入と金融政策の変更直後は、ボラティリティが急上昇する。想定外の相場変動も想定しておく必要がある。
ドル/円相場は、日米金利差が注目されており、2025年もこの環境は為替市場にて続くだろう。市場では、10年の日米金利差が注目されているが、機関投資家にとっては1カ月、3カ月金利が、もっと重要な為替変動要因である。米国のイールドカーブが立ってきている(短期金利よりも長期金利が高い)ことから、為替ヘッジの戦略が大きな影響を与える。為替ヘッジは基本、短期期間(1カ月~3カ月)で行われるため、日米の金融政策は、ドル/円にとって最も大きな相場変動要因である。将来の金利動向を見極めるためにも、2年金利の動向には注目したい。
出所:FRB St.Louisのデータをもとに作成
日経225が42000を超えてくるようだと日本銀行の利上げの可能性も大きくなる。
出所:stonextrading
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出所:Tradingview
ドル/円は2021年のブル(強気)相場始まりから2024年9月には、0.382戻し(139)を試した。このレベルを超えたら1/2戻し(132)が視野に入る。日銀の利上げ次第では、大きな円高への動きの可能性は十分にあるとみている。
出所:CFTCデータより作成
投機筋の円ショートポジションと為替レートは密接に連動している。投機筋の円ロングが縮小したことで円安に動いた。2024年春のような大きな円安ポジションを現時点では保有していない。24年夏のような大きな変動とはならないだろうと予想される。
出所:CFTCデータより作成
投資家別でみると、レバレッジマネー(ヘッジファンド)のポジションはほぼニュートラル、アセットマネージャーが円安ポジションを増やしている。その他投資家が円高ポジションを増やしている。円高に備えたヘッジの動きか?その他投資家の動きが気になる。
出所:CFTCデータより作成
米銀は円ロングポジションを持っておらず、円安方向のポジションしか保有していない。米銀の動向が気になる。
2025年のドル/円為替レベル |
年末:130~135 |
(最円安レベル:160円、最円高レベル:130円) |
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ユーロ/ドルについては、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に追随することになろう。大西洋を挟んで両中央銀行とも利下げが想定されていたが、トランプ政権の誕生でFRBの利下げペースは緩まるだろう。基本ドル高(ユーロ安)のシナリオが続くと予想できる。FRBの金融政策は、トランプ政権の選挙公約が早期にどの程度進むかのよって大きく変わる。早期に実施されるようであれば、米インフレ率には上昇圧力がかかり、FRBは利下げのペースを落とすかやめる可能性さえも出てくる。米財務長官もトランプ氏の息のかかったベッセント氏に代わることで、これまでのように労働市場の動向重視という傾向は変更されるだろう。よりインフレ動向が注目されることになるだろうが、トランプ大統領からの利下げ圧力が強まり、FRBは苦境に立たされるだろう。
ECBはFRBに先行して段階的に利下げを行うと思われる(ユーロ安要因)。トランプ大統領の経済政策で、新興国だけでなく、友好国である欧州連合(EU)に対しても関税引き上げが行われる場合には、ドル安となるだろう。トランプ政権によるエネルギー政策で米国内の原油・天然ガス価格が大きく下がり、EUへの輸出が現実化するようになれば、さらなるドル高(ユーロ安)要因である。ロシア・ウクライナの戦争への仲裁がどのような結末を迎えるかによってシナリオは大きく異なってくる。公約通りに関税を引き下げ、ロシア・ウクライナ紛争を解決した場合、米国の成長鈍化などの緩和要因も相まって、ユーロ/ドルは2025年年末には、1.08まで回復する可能性がある。
出所:FRB FREDデータより作成
過去の相場展開からみると、ユーロ/ドルは米FRB政策金利よりもECBの政策金利との相関が高いようだ。ECBがFRBに対して先行した利下げが続けば、ユーロはさらに売られると予想される。
出所:Tradingview
2024年2月の高値から2022年10月までのフィボナッチ1/2戻し(1.096)、618戻し(1.064)を超えてきている。心理的な節目である1.00、22年10月の最安値(0.961)まで調整してもおかしくはない。
出所:CFTCデータより作成
米銀は2024年の年初、ほとんどユーロロングのポジションを持っていなかった(0だった)が、ここにきてユーロロングが積み上がり始めている。
2025年のユーロ/ドル為替レベル |
年末:1.03~1.05 (最ユーロ安レベル:0.95) |
※当記事は、特定銘柄の見通しを紹介しているものであり、取引の推奨をしているものではありません。
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