CFD取引で安定的に利益を出せるようになると気になるのが税金です。取引を事業として法人化をすると個人取引とは異なる「法人税」と呼ばれる税率で計算されますが、法人化することで節税はできるのでしょうか?その効果について詳しく解説します。
※本サイトに記載されている内容は、2024年7月時点の法令に基づき作成していますが、今後法令の改正などで内容が変更される場合があります。詳しくは国税庁や、確定申告について所轄の税務署などにご確認ください。
※当社及び当サイトでは個別に税務相談をお受けすることはできません。また税理士のご紹介なども行っておりません。
個人取引と法人取引では得られた所得金額に対する税率や税種別が異なります。せっかく稼いだ利益なので少しでも有利な方を選択しておきたいところですが、稼いでいる金額によっては税金額が逆転することも。ここでは法人化による節税効果の是非について解説します。
CFD取引を法人化をすると得られた所得に対する税種別は法人税として計算され、個人口座とは異なる税率で計算されます。
個人口座で得られた所得に対しては一律20.315%の税率がかけられますが、法人口座で得られた所得に対しては法人税や事業税など様々な税金が加わり概ね30%前後の税率がかけられます。両者を比べてみても税金の面でのメリットはさほど無いと言えるでしょう。
CFDの経費とはトレードをする(利益を出す)ために必要になったお金のことで、書籍やセミナーなどの代金の他にトレードをする部屋分の家賃や電気代なども計上できます。
しかし個人口座の場合、使用割合の線引きが難しく経費として認められないものも多くあるのが現状です。一方で法人化している場合、例えば自宅の1部屋を事業所としていれば家賃の一部を経費として計上できたり、自分に対して役員報酬を支払いその報酬を経費として計上することもできます。その他にも個人の場合とは違い、経費にできたりと範囲が広がり、利益から差し引く経費を増やすことで法人化による節税に効果が期待できます。またFX、CFDでの取引と、定款で定めた事業との間で赤字(欠損金)の相殺することもできます。詳しくは国税庁や、確定申告について所轄の税務署などにご確認ください。
個人口座での損失の繰越は3年までとされておりますが、法人化していれば損失の繰越を10年まで延長できます。もし大きな損失を被ってしまった場合に、個人口座では3年を過ぎるとその損失を返しきれていなくても、4年目以降は残っている損失を利益から引くことができず所得に対して税金がかかります。10年に渡り損失の繰越ができることは法人化の大きなメリットと言えるでしょう。
前章で税金のメリットはさほど期待できないとしましたが、両者にはどのような違いがあるのか個人口座と法人口座の税率を見比べていきます。合わせて法人化した場合の諸費用(固定経費)も解説します。
FXやCFD取引を個人口座で行って得られた所得は「先物取引に係る雑所得等」に区分されます。
所得金額に関わらず一律で所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の計20.315%がかけられ、給与などとは区別して税金を納める「申告分離課税」として扱われます。
FXやCFD取引を法人口座で行って得られた所得は「事業所得」として法人税がかけられます。法人税は資本金1億円以下の法人の場合、800万円までの利益に15%、800万円を超えた部分に20.20%の税率が課税されます。
この他に地方法人税(法人税額の10.3%)、法人事業税(地方自治体に支払う税金で所得に対して3.5%〜7%)、法人住民税(地方自治体に支払う税金で法人税額の7%+均等割)も併せてかけられ概ね30%前後になります。各詳細は以下の一覧で確認できます。
区分 | 所得金額 | 法人税率 |
資本金1億円以下 | 年800万円以下の部分 | 15% |
〃 | 年800万円超の部分 | 23.20% |
それ以外 | ー | 23.20% |
区分 | 法人事業税率 |
年400万円以下の所得 | 3.5% |
年400万円超〜800万円以下の所得 | 5.3% |
年800万円以上の所得 | 7.0% |
区分 | 都道府県民税 | 市町村民税 |
令和元年10月1日以降 | 1.0% | 6.0% |
区分 | 従業員数 | 都道府県税相当 | 市町村税相当 |
資本金1000万円以下 | 50人以下 | 20,000円 | 50,000円 |
〃 | 50人以上 | 20,000円 | 120,000円 |
資本金1000万円超 〜1億円以下 | 50人以下 | 50,000円 | 130,000円 |
〃 | 50人以上 | 50,000円 | 150,000円 |
法人化をする場合、会社を新たに設立しなければいけませんので設立費用がかかります。最低でも合同会社で6万円(登録免許税)、株式会社で20万円(登録免許税、定款認証手数料)が必要になります。
設立してからも事務所を借りる場合は毎月の家賃や光熱費、通信料など、その他にも毎年の決算、税務関係、社会保険の手続き、役員報酬など事務処理をする必要があり、経理の知識がない場合はこれを外注するための費用も必要になります。
また法人税や法人事業税は赤字の場合は支払う必要がありませんが、法人住民税(均等割分の約7万円前後)は赤字でも支払う必要がありますので覚えておきましょう。
当ここまで見ていると法人化するメリットがないように感じますが、金額が大きくなれば法人化することで大きく節税することもできます。どのあたりの金額が法人化のボーダーラインなのか詳しく見ていきましょう。
所得課税額だけを見れば年間純利益(総収入額から経費や所得控除を差し引いた後の事業所得)が800万円までは法人の方が税率が安いのですぐにでも法人化を考えてしまいますが、支払う税金の総額や費用なども考えると年間利益が800万円(月間66万円前後)を超えたタイミングがひとつの目安となります。
課税対象は「所得」に対してなので純利益額が800万を超えていても経費にできる部分が増えれば納める税金の種類が増えても実際の税金額は個人口座よりも安くなる可能性があります。
法人化すると代表者としてご自身の名前が法務局に登録されることになります。企業によっては副業が禁止の場合、法人の設立も副業とみなされることもあります。
設立したはいいが本業に支障が出ないように、ご自身の本業の就業規約などを今一度確認しておきましょう。
個人法人口座ともに確定した年間の純利益が800万円がひとつの目安としましたが、例えば経理関係を完全外注したり、自宅ではなく別に事務所を構えたり、従業員を雇い入れる場合などは、それぞれの維持費を計算して万が一利益が減ってしまった場合にどれくらいの期間会社を保つことができるのかよく検討する必要があります。
なお法人口座の場合、期末時点の未実現損益を申告する必要があります。
FX取引やCFD取引では常に利益を上げ続けられる保証はどこにもありませんので、万が一のことも視野に入れて計算しておきましょう。
個人法人口座ともに確定した年間の純利益が800万円がひとつの目安としましたが、例えば経理関係を完全外注したり、自宅ではなく別に事務所を構えたり、従業員を雇い入れる場合などは、それぞれの維持費を計算して万が一利益が減ってしまった場合にどれくらいの期間会社を保つことができるのかよく検討する必要があります。
なお法人口座の場合、期末時点の未実現損益を申告する必要があります。
FX取引やCFD取引では常に利益を上げ続けられる保証はどこにもありませんので、万が一のことも視野に入れて計算しておきましょう。