成功するためには、マーケットに関する卓越した知見と長年に亘る取引経験が必要だとよく誤解されますが、情報が多ければ多いほど、的確なプランを立てることが難しくなる、というのが現実です。情報が多いほど躊躇や疑念を生む傾向が強く、それに応じて感情的になりやすくなります。そして、冷静に考えたり、主観的に状況を判断することができなくなります。
もし目的地を定めずに歩みを進めるのであれば、どの道を進んでも正解といえるでしょう。しかしトレードにおいては、トレードプランを作成していない場合や、ストラテジーを策定していない場合、どんなにすばらしい結果となっても、そうではなくても、その結果を評価する基準が全くない、という状況となります。実は、大多数の人はトレードプランを持たずにトレードをおこなっているので、彼らが損失を被るのは至極当然といえます。トレードプランに従いトレードすることは、ビジネスの構築に相当します。私たちは決してマーケットに勝てるようにはなりません。それは一般的にいう、勝ち負けという意味ではなく、常に利益を上げ続けることはできない、という意味です。
全ての挑戦に共通しますが、トレードにおいても、ゴールから逆算してプランを作成することと、どんなタイプのトレーダーになるべきかを定めることは大変重要です。最も成功しているトレーダーというのは組み合わせて利用することができる複数のトレードプランを確立していたとしても、1つのトレードプランに基づいてトレードをおこないます。そして、常にメモをとります。それはなぜでしょうか?なぜなら、それによってトレードの目的にフォーカスし続けることができるからです。そして、厳守すべき判断材料が少なければ少ないほど良いのです。トレードプランを作成することで、トレーダーとしてルールを持つことができます。加えて、一貫したトレード、感情のコントロール、ストラテジーの改善に役立ちます。もちろん、トレードプランを実装することも重要です。現実的な話しをすると、トレードプランの作成に膨大な時間を費やしたにも関わらず、結局、それを実行しないというトレーダーもたくさん存在します。
まず重要なのは、自分のニーズに合わせて、マーケットリサーチをおこない、トレードプランを組み立てることです。自分の知見に自信を持ってください。どんなに精巧なストラテジーよりも、自分のストラテジーのために自分自身で選んだツールというのは、チャートのタイプから特定の描画ツールまで、全てが重要です。そして、自分で作成したトレードプランに根本的な誤りがないか、最初の段階でテストしてみてください。トレード開始後は、定期的にテストを繰り返してください。そのトレードプランで機能した点、そうではなかった点を明確に把握していくことで、トレードの結果を正しく評価することができるようになります。そうすることにより、最終ゴールに向けて、トレードプランの弱点や必要のない要素を微調整していくことができます。次の質問に答えてみてください。質問に対する答えは、自分のトレードプランの礎を築くのに必ず役立ちます。そして、そのトレードプランに基づくトレードが、順調か否かを確認するため、定期的に見返すようにしてください。
もし、「お金を稼ぐため」と即答してしまったのなら、すぐにトレードをやめるべきです。もし、唯一の目標が「できるだけ早く、できるだけたくさんのお金を稼ぎたい」ということであれば、行きつくところは目に見えています。なぜならその目標は全く論外だからです。実は、損失をコントロールするというのが、最初の目標となります。これによって、利益を生み出すことのできる環境(思考)が整います。
定年退職のため? 新しいキャリアとして? 家族や友人ともっと時間を共にしたいから?
確率で考えてみてください。 レバレッジは諸刃の剣だとすれば、リスク管理と資金管理が重要となります。
自分がどんなタイプのトレーダーかを決めることは大変難しいことです。 自分がなりたいタイプのトレーダーと、なるべきタイプのトレーダー(=自分の行動パターンや特性を考慮した上であてはまるタイプ)が、全く異質の場合はなおさらです。目標、リスク選好、長所、短所がはっきりすると、自分に最も適したタイプのトレードというのが明らかとなります。
チャート上に3本のラインがあります。 3本の違いは、短期(線)、中期(線)、長期(線)となります。中期線が、あなたが設定したタイムフレームに基づくチャートで、分析および意識的に時間を最も割かなければいけないチャートです。もし、いまいちピンとこないようでしたら、事あるごとに常に意識しないといけないチャートだと理解してください。 短期線および長期線というのは、中期線(基本となるチャート)で何が起こっているのかを判断する際に、肯定要素または否定要素として活用します。トレーダーに共通する誤りというのは、時と場合によって、判断基準とするメインのタイムフレームを変えてしまうことです。
自分がどのようなタイプのトレーダーであるかを認識したら、その後は、知見の深掘りとマーケットリサーチに時間を費やすべきです。優先して学ぶべきことに時間を割きましょう。人それぞれストラテジーやメソッドというのは固有であり、決して同じではありません。つまり、自分のトレードプランが、自分自身のニーズに基づいていれば、それが正解です。そして、自分のニーズを見つめ直し、そのニーズを満たすために必要となる労力というのを試算してみてください。なぜトレードをしているか、その意味をしっかり理解してください。初期投資というのは資金的なものかもしれませんが、長期的に得られるものというのは、金銭的なものだけではありません。そのため、時間を費やすこと、マーケットリサーチを常におこなうこと、この投資をしっかり継続してください。
世界中の最新情報をリサーチするファンダメンタルズ分析、最新の分析ツールを使用したテクニカル分析、これらの分析はトレードのあらゆる側面において、知見を深めることになります。それでは、「ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析、どちらを重視すべきなのか」考えてみましょう。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の双方を応用した1つのストラテジーを開発することも重要なのですが、まずは、両者の違いについて少し学んでおきましょう。トレーダーによっては、ファンダメンタルズ分析を、最終判断の材料に利用する人もいます。ニュースに基づいて分析するタイプです。しかし、ニュースをベースにするということは、経済、政治、あるいは環境的な出来事等、あらゆるジャンルに意識を向けるということになります。ということは、ファンダメンタル分析というのは、かなり主観的な側面が強いということです。
一方で、テクニカル分析を最終判断に利用するトレーダーもいます。このタイプの分析は、非常に判断しやすく、そしてトレードの背景にある数学や確率に依存することになります。特定の分析方法が1つのテクニカル指標となりますが、テクニカル指標というのは、先行指標と遅行指標に大別されます。ちなみに、マーケットの方向性に関するヒントをくれる先行指標というのはそう多くはありません。中でも、フィボナッチが最も人気があるのですが、実際には、最も誤解および誤用されている指標です。
使用する分析のタイプ等を決めたら、その後はトレードストラテジーを策定しましょう。ファンダメンタル分析か、テクニカル分析か、またはその双方を組み合わせて使用するか等を決めることになります。ストラテジーを策定し、それをトレードプランに組み入れることが重要となります。
ストラテジーというのは、段階的かつ体系的なアプローチです。トレードに必要となる一連の分析結果を出すために、ツールをいつどのように利用するか、ということを定めます。以下は、トレードストラテジーにおいて決めなければいけない項目です。
これらの項目を定め、使用する指標と分析に基づくことで、高確率で利益を得やすいトレードというものがどのようなものか、視覚的にとらえることができるようになります。以上で、ストラテジーを策定する上で必要なことがご理解いただけたかと思いますので、次に、トレードにおける資金管理とリスク管理について見ていきましょう。
資金管理とリスク管理は、多くの人にとって、難解なステップとなります。自身のリスク許容度を定義するというのはなおさらです。現実と向き合い、現実的に可能な範囲で、「実際に、どのくらいの資金でトレードすべきか」を考えてみてください。多くの方が犯している誤りは、トレードを投資活動または貯蓄の類と捉え、資金を投じ続けてしまうことです。トレードは決して貯蓄の類ではありません。保有ポジションに対して、必要証拠金総額が100%を満たされなくなれば、強制決済となります。お金稼ぎを優先する人は、勝つ回数よりも負ける回数の方が多くなります。そのようなトレーダーは、負けたトレードをなんとかカバーしようとするため、勝つ時の利益額が大きくなります。もちろん、勝つ回数が少ない方が簡単です。しかし、結果的に1回のトレードで得る利益を増やすことになります。新米トレーダーに共通する特徴というのは、すぐに利益を得ようとしますが、負けているトレードでは損切が遅れてしまいます。その結果、彼らはよりリスクリターン率の低い取引(リスクの高い取引)をしないといけなくなります。
確率の観点からも考えてみましょう。3%ルールを用いて考えてみましょう。(ここでは、概算による説明となります。) 以下は、実際のトレードにおける3%ルールの一例です。 100万円の資金(証拠金)で取引する場合、1度の取引で許容するリスクは、その3%の3万円となります。そして、証拠金額をリスク額で割ることで、負けられる取引数(概算)=100万円/3万円=33.3(回)という数字を得られます。はじき出された数字は、目標を実現できるかどうか判断するのに役立ちます。このような計算によって、気持ちの面で柔軟性を持つことができるようになります。損失に対して柔軟な気持ちがない場合、トレード自体も、トレードのルールであるはずのトレードプランをも制限してしまうことになります。なお、トレードプランやストラテジーを策定する際は、その他のコストやリスクを考慮することが重要です。各コストやリスクには、影響力の大小はありますが、事前に考慮した要素全てが、あなたのトレードプランにおいて、あなたの投資に寄与することになります。以上で、ストラテジーを策定し、リスクテイクの設定ができましたので、次は、トレードのタイミングについて理解を深めていきましょう。
トレード中は、あらゆる出来事が注文を出すタイミングとなりえます。マーケットがオープンするタイミング。マーケットがクローズするタイミング。どの銘柄(通貨ペア等)を今トレードしているのか。そして、オープンしているマーケットがあれば、クローズしているマーケットもあり、共にオープンしていたり、共にクローズしていたり。下図では、主要なマーケットにおけるオープンとクローズの時間帯が示されています。マーケットのオープンやクローズのタイミングには、ボラティリティが高まる一方で、そのタイミングでは、各種レポートやニュースというのが既に公開されています。ちなみに、トレードに関して優れている点を1つあげると、東京市場がクローズの時間帯であっても、ニューヨーク市場でトレードができる、というように、どこに住んでいるかを問わないということです=四六時中トレードが可能。また、下図より、オープンしている時間がかぶっているマーケットも確認できます。同時に2つのマーケットがオープンしている時間帯というのがあります。EST(東部標準時)で午前8時から12時の間、またはGMT(グリニッジ標準時)で午後1時から5時までの間で、最も広範なエリアにおいてマーケットがオープンしていることが示されています。世界中のどこかには、オープンしているマーケットが存在するため、トレードをしたりマーケットを覗くというのは、いつでも簡単にできます。
トレードプランにおける重要な要素を確認することができましたので、最後に、実際のトレードを計画し、トレードを理想的に進める方法について考えてみましょう。
魔法のような組み合わせはありませんが、トレードの勝率を改善しようとする際に役立つポイントというのは存在します。
記録と記録に基づく改善というのは、トレードの成功において極めて重要です。もし、自分で決めたメソッドに従わないトレードをしたとすれば、トレードプランが機能したか否か、その精度の正確性を遡って判断することは極めて難しいといえます。トレード中に、勝率がどの程度かということを正確に判断することはできませんが、そのトレードがいつものトレードプランに基づくものだとすれば、勝率はかなり高いといえます。ストラテジーというのは、微調整を繰り返し続けることで、限りなく自動的なものにしていくことができます。そして、感情を排除することで、理想的なトレードが可能となります。
SSE総合指数は2015年9月から12月にかけて若干の回復を見せたものの、2016年に入ると急落に転じました。2016年1月4日、中国政府は新たなサーキット・ブレーカーを導入し、2015年にSSE総合指数が被ったような大幅な下落を回避することで、市場に安定性をもたらそうとしました。
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