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S&P500株価指数の基本から構成銘柄を解説

「S&P500」は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス※1が算出している株価指数です。ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している銘柄から選んだ、アメリカを代表する500銘柄で構成されています。※1 株式市場の指数やレポートを作っている会社です。

著者 forex.com
2024年6月10日 午後12:57

目次

S&P500は、アメリカを代表する500銘柄(現状では503銘柄)で構成されており、日本のTOPIXに近い存在と言われますが、日経平均225のほうが近いと思ったほうがいいでしょう。そのため、株式市場の動きを知りたいときは、他の指数よりもS&P500を見たほうが、より正確に把握できます。

株式市場の動きを見通す以外にも、資産形成のための投資先としても使えます。

 

リンク先: https://www.spglobal.com/spdji/jp/indices/equity/sp-500/#overview

 

S&P500は、米国大型株の動向を表す最良の単一尺度として広く認められている株価指数です。この指数は米国の主要産業を代表する500社により構成されており、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。

 

世界中の機関投資家がこのS&P500株価指数をベンチマークとしたミューチュアルファンドやETFを保有しています。ミューチュアルファンドのなかでもパッシブ運用のファンドやETFは指数とのトラッキングエラーを抑え、ほぼ連動することで、指数そのものとも言えます。市場には、S&P500指数ETFとS&P500指数先物、ミューチュアルファンド、組み入れ個別銘柄などの間でアービトラージ(裁定取引)を行っているプロの投資家も存在しています。こうしたことで取引量は大きくもっとも汎用性の高い株式指数ということができます。



S&P500株価指数は、時価総額が大きいだけでなく、安定的に利益を上げていないと採用されません。上場後、長い間赤字計上をしていたテスラ(TSLA)などは、時価総額は大きかったものの、つい最近までS&P500株式指数には組み入れられていませんでした。

 

取引をする際には、赤字経営のグロース系のハイテク企業などは組み入れられていないので注意が必要です。逆に、そうした赤字計上ながらも時価総額が大きい銘柄が黒字転換した際には、組み入れられることになり、個別株のパフォーマンスに大きく影響します。

 

世界のほとんどの機関投資家は、S&P500株価指数をベンチマークとして採用しています。S&P500株価指数に組み入れられると、必然的に新しく組み込まれた個別銘柄を購入することになります。実際に個別株を保有していない場合でも、S&P500株価指数に連動するETFやベンチマークとして採用しているミューチュアルファンドを保有している機関投資家は、そのETFやミューチュアルファンドが個別銘柄を購入することになります(指数に連動するファンドは購入しないといけない)。

 

逆に、新しく組み入れられる銘柄があるということは、除外される銘柄も出てきます。そうした除外された銘柄のパフォーマンスは低下することが多くなります。

 

こうしてみると、S&P500株価指数というのは、その時の旬である大型株で収益も上げている企業群ということもできます。こうした構成銘柄の変更は、サバイバー・バイアス(日本語では、生存者バイアスなどと訳される)がかかることになります。長く保有する長期投資家には、勝手に株価指数が勝者である個別銘柄を選んでくれるので、ほったらかし投資には有効ということもできますが、赤字企業に投資をして黒字転換した際の高パフォーマンスを狙う本当のプロ投資家も存在します。



参考資料:S&P 米国株価指数メソドロジー

https://www.spglobal.com/spdji/jp/documents/methodologies/methodology-sp-us-indices-japanese.pdf



*上位15銘柄

銘柄名

ティッカー

セクター※注

構成比

説明

アップル

AAPL

情報技術

7.19%

iPhoneやiPadなどの開発・販売

マイクロソフト

MSFT

情報技術

6.51%

WindowsやMicrosoft Officeを開発・販売

アマゾン

AMZN

一般消費財

3.33%

ECサイト「Amazon」やクラウドサービス「AWS」を提供

Nvidia

NVDA

情報技術

2.95%

生成AI用チップ(GPU)の半導体最大手

アルファベットーA

GOOGL

コミュニケーション

2.03%

検索エンジン「Google」を運営、議決権あり、クラスCも合わせ3.79%

メタ・プラットフォーム

META

コミュニケーション

1.84%

「フェイスブック」を運営、メタバースにも注力

テスラ・モーター

TSLA

一般消費財

1.83%

電気自動車の世界最大手。全車種で自動運転レベル2を標準装備

アルファベットーC

GOOG

コミュニケーション

1.76%

検索エンジン『Google』を運営、議決権なし

バークシャー・ハザウェイーB

BRK.B

金融(保険・投資)

1.67%

投資の神様「ウォーレン・バフェット」の保険・運用会社

ユナイテッド・ヘルス

UNH

ヘルスケア

1.25%

医療保険会社

JPモルガン・

チェイス

JPM

金融(銀行)

1.22%

米最大手銀行・証券サービス

ジョンソンエンドジョンソン

JNJ

消費必需品

1.17%

医療・ヘルスケア企業

エクソン・モービル

XOM

エネルギー

1.16%

石油・エネルギー総合サービス

ビザ

V

金融

1.03%

クレジットカード

ブロードコム

AVGO

情報技術

0.98%

各種半導体設計・開発

※注:GICS🄬業種分類による

 

2023年8月末時点

出所:https://etfdb.com/etf/SPY/#holdings

取得日:2023年9月14日12:30PM



セクター構成

米国株式市場の分類は「Global Industry Classification Standard」(=GICS)に基づいて11個のカテゴリーに分類されます。1999年に米国の格付け会社であるS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)と機関投資家向けに指数や分析ツールを提供するMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が共同開発した産業分類です。世界の産業を11のセクター、24の産業グループ、69の産業、158の産業サブグループに分類しています。

世界中の金融機関で標準化されており、投資信託や企業分析で業種分類する際に多用されています。

※注 https://www.msci.com/our-solutions/indexes/gics


セクター 構成比 事業内容 主な銘柄
情報技術 (テクノロジー) 28.20% ソフトウェアと情報技術サービスを提供する企業、通信機器、携帯電話、コンピューターと周辺機器、電子機器と関連機器、半導体などの技術ハードウェアと機器の製造業者と販売業者も含まれる。 マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)、Nvidia(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、アドビ(ADBE)、シスコ(CSCO)、セールスフォース(CRM)、など
ヘルスケア 13.20% ヘルスケア・プロバイダー&サービス、ヘルスケア機器&用品の製造・販売企業、ヘルスケア・テクノロジー企業が含まれる。また、医薬品やバイオテクノロジー製品の研究、開発、製造、販売に携わる企業も含まれる。 ユナイテド・ヘルス(UNH)、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)、イリ―・ライリー(LLY)、メルク(MRK)、アビー(ABBV)など
金融 12.50% 銀行、金融サービス、消費者金融、資本市場、保険業務に従事する企業が含まれる。また、金融取引所とデータ、モーゲージREITも含まれる。 JPモルガン(JPM)、バークシャー・ハザウェイ(BRK)、ビザ(V)、マスターカード(MA)、バンクオブアメリカ(BAC)など
一般消費財 10.60% 景気サイクルの影響を最も受けやすい企業。製造部門には、自動車・部品、家庭用耐久消費財、レジャー用品、繊維・アパレルが含まれる。サービス部門には、ホテル、レストラン、その他のレジャー施設が含まれる。 アマゾン(AMZN)、テスラ(TSLA)、ホームデポ(HD)、マクドナルド(MCD)、ローウェ(LOW)、ナイキ(NKE)、スターバックス(SBUX)など
コミュニケーション 8.80% 様々な媒体を通じてコミュニケーションを促進し、関連コンテンツや情報を提供する企業が含まれる。このセクターには、通信会社、メディア&エンターテインメント会社(インタラクティブ・ゲーム製品の製造会社や、独自のプラットフォームを通じてコンテンツや情報の作成・配信に携わる会社を含む)が含まれる。 アルファベット(GOOG/GOOGL)、メタ(MATA)、ネットフリックス(NFLX)、ウォルト・ディズニー(DIS)、コムキャスト(CMCSA)、ベライゾン(VZ)など
資本財 8.40% 航空宇宙・防衛、建築製品、電気機器、機械などの資本財の製造・販売業者や、建設・エンジニアリングサービスを提供する企業が含まれる。また、印刷、環境・設備サービス、オフィスサービス・用品、セキュリティ・警報サービス、人事・雇用サービス、調査・コンサルティングサービスなどの商業・専門サービス業者も含まれる。また、輸送サービスを提供する企業も含まれる。 キャタピラー(CAT)、ユニオン・パシフィック(UNP)、ジェネラル・エレクトリック(GE)、ハネウェル(HON)、ボーイング(BA)など
生活必需品 6.60% 景気サイクルの影響を受けにくい企業で構成されている。このセクターには、食品、飲料、タバコの製造業者や販売業者、非耐久性家庭用品や個人向け製品の製造業者が含まれる。また、食品・医薬品小売企業を含む消費財製品の流通・小売企業も含まれる。 プロクター&ギャンブル(PG)、ペプシコ(PEP)、コカ・コーラ(KO)、コストコ(COST)、ウォルマート(WMT)など
エネルギー 4.40% 石油・ガス、石炭・消耗燃料の探査・生産、精製・販売、貯蔵・輸送に従事する企業で構成される。また、石油・ガス機器やサービスを提供する企業も含まれる。 エクソン・モービル(XOM)、シェブロン(CVX)、シュランバーガー(SLB)、コノコ・フィリップス(COP)、マラソン・ペトロリアム(MPC)など
素材 2.50% 化学品、建設資材、林産物、ガラス、紙、関連パッケージ製品、鉄鋼メーカーを含む金属、鉱物、鉱業会社などが含まれる。 リンデ(LIN)、エア・プロダクト・ケミカル(APD)、シャーウィン・ウィリアムズ(SHW)、フリーポート・マクモラン(FCX)など
不動産 2.40% 不動産の開発・運営に携わる企業が含まれる。また、不動産関連サービスを提供する企業やエクイティ不動産投資信託(REIT)も含まれる。 プロロジス(PLD)、アメリカンタワー(AMT)、エクイニクス(EQIX)、パブリック・ストレージ(PSA)、クラウン・キャスル(CCI)など
公益 2.40% 電気、ガス、水道などの公益事業会社で構成される。また、独立系発電事業者やエネルギー・トレーダー、再生可能資源を利用した発電・配電を行う企業も含まれる。 ネクステラ・エナジー(NEE)、サザン(SO)、デューク・エナジー(DUK)、センプラ(SRE)など
2023年8月末時点

出所: file:///C:/Users/kingm/Downloads/fs-sp-500.pdf

取得日:2023年9月14日12:30PM


CFD取引

S&P500株価指数は、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に先物取引として上場しており、多くの機関投資家が日々取引を行っています。もっとも流動性の高い株式指数ということができます。

取引額の違いによって、いくつかの株式指数金融商品になっています。その中でももっとも流動性が高いのが、「E-mini S&P 500 Futures」です。また、小口取引用に「Micro E-mini S&P 500 Index Future」という金融商品も存在します。


CMEにおいて、「E-mini S&P 500 Futures」はもっと取引されている金融商品の一つとなっています。しかしCME上場の金融商品・取引は、個人投資家には、取引をするためのハードルが高く、多くの個人投資家は、より取引が簡単なCFD取引を利用しています。CFD取引についての説明は別の資料に譲り、ここでは割愛します。また、S&P500株価指数に連動するETFも存在しており、そのETFを使って取引する個人投資家も多いです。ETFのなかには、2倍とか3倍レバレッジが効いた金融商品も存在しますが、ETFよりもレバレッジが大きく設定できるCFD取引を好む個人投資家も多数存在しています。

日計りで取引する個人投資家には、CFD取引のほうがいいのかもしれません。



2023年9月

変更内容

企業名

ティッカー

実施日

追加

Blackstone

BX

9月18日

追加

Airbnb

ABNB

9月18日

除外

Lincoln National

LNC

9月18日

除外

Newell Brands

NWL

9月18日

 

2023年8月

変更内容

企業名

ティッカー

実施日

追加

Kenvue

KVUE

8月25日

追加

Advance Auto Parts

AAQP

8月25日

 

2023年6月

変更内容

企業名

ティッカー

実施日

追加

Palo Alto Networks

PANW

6月19日

除外

DISH Networks

DISH

6月19日

 

2023年5月

変更内容

企業名

ティッカー

実施日

追加

Axon Enterprise

AXON

5月4日

除外

First Repbulic Bank

FRC

5月4日

 

2023年3月

変更内容

企業名

ティッカー

実施日

追加

Bunge

BG

3月13日

除外

Signature Bank

SBNY

3月13日

追加

Insulet

PODD

3月15日

除外

SVB Financial Group

SIVB

3月15日

追加

Fair Issac & Co

FICO

3月20日

除外

Lumen Technologies

LUMN

3月20日

 

このようにS&P500株価指数の構成銘柄は定期的に変更されます。

ボリンジャーバンド分析(日足、200日3σ)


他の米国株式指数との比較

株式指数

構成銘柄数

対象株式

特徴

指数採用ETF

S&P500株式指数

503

NY証取、Nasdaq 市場合わせた企業から500種を選定

米国株式市場の大型優良企業群

Nasdaq100株式指数

100

Nasdaq市場に上場する時価総額上位100銘柄

ハイテク中心の大型グロース株

NYダウ工業株指数

30

NY証取、Nasdaq 市場合わせた企業から各業種を代表する30社を選定

米国を代表する超大型優良企業群

Russell 2000株価指数※注

2,000

時価総額上位1000社を除いた時価総額1001位から3000位の2000銘柄で構成。構成銘柄の時価総額は合わせて、ラッセル3000種指数の8%を占める。

小型株を代表する株式指数

FT Wilshire 5000 株式指数※注

約3,500

米国株式市場の全体像を的確に反映した時価総額加重平均型の株価指数。約3500銘柄から構成。

中小型株も含む米国の株式市場全体を表す株式指数

 

※注 ラッセル2000株式指数

https://research.ftserussell.com/Analytics/FactSheets/temp/5cfe028a-981e-4572-9b32-189a71b6e8f2.pdf

 

※注 Wilshire 5000 Indexについての説明は以下の資料参照

https://assets-global.website-files.com/63e3e50fdce0bcaff7861530/6500769140545d608b152e56_WilshireIndexesSeeingThroughTheSizeMirageInUSEquities-ResearchNote-Update.pdf

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