通貨ペアは「USDJPY」のようにアルファベット6文字で表されます。前半3文字と後半3文字は別々の通貨を示しており、USDJPYはアメリカドルと日本円の取引ペアであることを意味します。
アルファベット3文字は国とその国で扱われている通貨を示し、FXだけではなく外貨を指すときにも用いられる世界共通の表記です。例えばUSDはUnited States Dollar(アメリカドル)、JPYはJaPanese Yen(日本円)の頭文字を取って表記されます。
通貨ペアの表記順にはルールがあり左側の通貨には基軸通貨、右側の通貨には決済通貨を表記します。基軸通貨とは決済通貨を取引する際の基準となる通貨で、基軸通貨1単位を決済通貨で買う場合いくらなのかを表します。
USDJPYのペアでは基軸通貨がアメリカドルなので1ドル=140円の場合、基軸通貨のアメリカドルを日本円で購入するときは「1ドルにつき140円の支払い」となります。
注意点として世界的な取引の中心となる通貨も基軸通貨と呼びますが、それとは別の意味で使います。FXでの取引は左側の通貨で売買を行い右側の通貨で決済をするので、このペアで取引する場合の基軸になる通貨という意味だと覚えておきましょう。
それぞれの国の人種に特徴があるように通貨にも特徴があります。通貨の特徴を覚えることはFXでは多くの場面で役に立ちます。
●アメリカ合衆国で使用されている通貨で通貨表示はUnaited States Dollar
●世界の主要通貨であり国際間取引決済で多く使われる基軸通貨
●世界経済の中心国であるためアメリカの経済指標は市場変動の大きな材料となる
●取引用が多く流動性が高いため値動きが安定している
●日本で使用されている通貨で通貨表示はJapanese Yen
●主要3通貨の一つで取引高は世界第3位
●有事の円買いと呼ばれ安全通貨の側面があったが最近ではその動きも薄れている
●欧州連合(EU)で使用されている通貨で通貨表示はEuro
●世界で初めて複数の国で単一通貨を使用するために導入された
●2023年現在のユーロ導入国は20か国
●主要3通貨のひとつで取引高は世界第2位
●ドルと相反した動きになることが多くドルが売られるとユーロが買われやすい
●イギリスで使用されている通貨で通貨表示はGreat Britain Pound
●EUに属している頃から独自通貨を発行しているUSD以前の世界基軸通貨
●値動きが激しい通貨で知られ、特に対円での値動きは変動幅が大きい
●オーストラリアで使用されている通貨で通貨表示はAustralian Dollar
●資源国通貨と呼ばれ石油、石炭、鉱石などの価値に連動しやすい
●かつては高金利通貨の代表格で対円でのキャリートレードは大人気だった
●オージーと愛称で呼ばれることが多い
●スイスで使用されている通貨で通貨表示はConfoederatio Helvetia Franc(ラテン語)
●永世中立国であるため戦争などの影響を受けにくく安全資産として知られる
●有事の際に資金の避難先として選択されるため自国以外の動向に左右されやすい
●ニュージーランドで使用されている通貨で通貨表示はNew Zealand Dollar
●資源国通貨であり原油以外に乳製品など農作物価格にも影響を受ける
●高金利通貨として人気がありAUDに連動するように動きやすい
●国鳥のキウイにちなんで「キウイ」と愛称で呼ばれることも
●カナダで使用されている通貨で通貨表示はCanadian Dollar
●アメリカに隣接することからアメリカ経済の影響を受けやすい
●資源国通貨のひとつで特に原油価格に敏感に連動しやすい
●中国で使用されている通貨で通貨表示はChinese Yuan
●CNYは中国国内での利用に制限されており実際に取引するのはCNH
●高い経済成長率で2023年のGDPランキングではアメリカに次いで世界第2位
●南アフリカ共和国で使用されている通貨で通貨表示はSouth African Rand
●国名コードでは本来SAだがサウジアラビアがすでにあるためオランダ語のZを代用
●金やダイヤモンドなどの鉱石埋蔵量が世界トップクラスの資源国通貨
●国外からの資金流入を狙った高金利政策により高金利通貨として人気上昇
●国内経済の安定性に欠け、値動きが乱高下しやすいので注意が必要
●メキシコで使用されている通貨で通貨表示はMexican Peso
●石油や天然ガスなどが豊富に産出される資源国通貨
●2023年現在政策金利が11.25%の高金利通貨となっていて人気が上昇
●新興国の中では国債格付けランキングが高く信頼性が高い
●トルコ共和国で使用される通貨で通貨表記はTurkish Lira
●旧通貨のトルコリラ(TRL)と区別するためTRYと表記される
●取引量が少なく流動性がないため値動きが激しくなりやすい
●昔から高金利通貨として人気で2023年現在の政策金利は17.50%
取引量は世界第2位、国内での取引量は断トツの1位を誇る基本的な通貨ペアです。流通量が多いため流動性が高く価格が安定しておりスプレッドも低い特徴があります。一般的に「ドル円」と略して呼びます。
比較的テクニカル分析が効きやすく、初心者でも触りやすい通貨ペアとして人気があります。直近ではアメリカと日本の金利差が広がっていることでボラティリティが高くなっています。
取引量世界第1位の主要2通貨のペアです。流動性が高いため価格変動が緩やかでスプレッドも低いFX取引の基本通貨と言えるでしょう。一般的に「ユーロドル」と略して呼びます。
アメリカドルの動向に素直に動き、トレンドが発生するとその方向に準ずる動きを継続しやすい傾向があります。テクニカル分析が効果的で値動きも小さいため、相場の勉強をするにもおすすめの初心者向けの通貨ペアです。
EURJPYは合成通貨と呼ばれUSDJPYとEURUSDの価格を掛け算して計算されます(計算方法については後述)。そのためUSDJPYとEURUSDのトレンド方向が揃ったときにはそのどちらの通貨ペアよりも大きなボラティリティが発生することがありますが、一方で2つの通貨ペアのトレンド方向が逆の場合はほとんど値動きがなくなることもあります。一般的に「ユーロ円」と略して呼びます。
GBPJPYも合成通貨でUSDJPYとGBPUSDの価格を掛け算して計算されます。値動きが激しいポンドに加えて合成通貨であるためUSDJPYとGBPUSDのトレンド方向が揃ったときには大きな価格変動が発生することがあります。
ボラティリティが高く稼ぎやすい通貨ペアとして人気ですが、思惑の方向を間違えると一瞬でロスカットになってしまうため「殺人通貨」と揶揄されることもあります。一般的に「ポンド円」と略して呼びます。
AUDJPYも合成通貨でUSDJPYとAUDUSDの価格を掛け算して計算されます。資源国通貨の中ではトレンドが継続しやすいAUDの特徴を色濃く受け継いでおり、一度トレンドが発生すると一方向にだらだらと動く値動きが特徴です。
AUDの取引量が多くないためスプレッドは開きやすいので注意が必要です。一般的に「オージー円」と略して呼びます。
数日から数週間保有するスイングトレードには「ドル円」や「ユーロドル」がおすすめです。流通量が多く価格が安定しているため、暴騰や暴落が起こるというリスクが少なく、長期保有していても安心できる点が挙げられます。
数時間から1日程度保有するデイトレードには「ポンド円」や「ユーロ円」がおすすめです。短時間で利益を出すためにはボラティリティが必要ですが合成通貨であれば大きな値幅が期待できます。
数分から1時間程度保有するスキャルピングには「ドル円」がおすすめです。スキャルピングはわずかな値幅を狙いますのでスプレッドが低いことが第一条件に挙げられます。ドル円のスプレッドはどの通貨ペアよりも低いので十分に利益を上げられる可能性があります。
アメリカドルを軸として取引する通貨ペアを「ドルストレート」または「ストレート通貨」と呼びます。アメリカドルはインターバンク(銀行間取引市場)で直接取引されるため間を介さないのでストレートと呼ばれます。
ドルストレートでは必ずUSDが通貨ペア名に入ります。代表的なものにEURUSD、GBPUSD、USDJPY、AUDUSD、NZDUSD、CADUSDなどが挙げられます。
一方でアメリカドルを介さない通貨ペアを「クロス通貨」または「合成通貨」と呼びます。EURJPYやGBPJPY、AUDJPYだけではなく、EURGBPやAUDNZDなどアメリカドルが入らないものすべてをクロス通貨と呼びます。その中でも円が入っている通貨ペアをクロス円と呼びます。ただしUSDJPYだけはUSDが入っているのでドルストレートに分類されます。
クロスと呼ぶ理由は、例えばEURJPYを買いで取引する場合、EURを買う際にドルを介して買い、円を売る際にもドルを介して売ります。直接円を支払ってユーロを買うのではなくドルを介した取引を2回行っているので2つの取引が交差(クロス)するという意味でクロス通貨と呼ぶのです。
クロス円通貨ペアのレート計算は自動で計算されチャートに反映されますが、計算式を知っておくことでどのような時にクロス円が大きな値幅となりやすいのか知ることができます。クロス円のレートはUSDJPYのレートと対象通貨とドルの組み合わせペアのレートを掛け合わせます。例としてEURJPYのレートを計算してみます。
本来は一度円をドルに両替して、そのドルを基にユーロを購入する必要がありますが、FXでは2つの価格を掛け合わせたレートを使うことで、その手間を無くし素早く取引ができるようになっています。
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